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理科の時事問題から見えてくるもの

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身のまわりの理科 2019年12月09日22時39分
今年の11月、中学入試においての「時事問題」という題材で、ウェブメディアの「日経DUAL」の企画で子どもたちとの授業イベントを行いました。
理科の場合は社会ほど「今年は◯◯の年だから来年はあちこちの学校で出題される」というわけではありません。
たとえば消費税が10%に変わったトピックスはとても大きなことだと思います。
それに加えて「軽減税率」というわかるようなわからないような仕組みもできて、日本国民、生活者にとってはとても大きな出来事です。
・・・でも理科の勉強とは直接関係ないですね。
消費税が10%になったからといって、豆電球に流れる電流の大きさが変わるわけでも、てこにぶら下げるおもりの重さが変わるわけでもありません。
なら、理科の勉強は日常身の回りのことと何の関係もないのかというと、全くその逆です。
理科の場合は天体や気象の現象、たとえば日食、月食や台風の襲来、地震などが時事問題的な扱いで出題されます。
「はやぶさ2」などの探査機や人工衛星の話題などもそうですね。
さすがに「はやぶさ」を聞いたことがない子どもは少ないのかもしれませんが、「じゃ、何しに行ったの?」と聞かれたら、お母さんたちもちょっと困ってしまうかもしれません。
「宇宙探査機のことなんて知らなくても、生きていく上で困らないよ」という子もいるかもしれません。
でも「はやぶさが降り立つ小惑星(「はやぶさ2」の場合はリュウグウ)は引力がとても小さく、地球にピタッと立っているみたいなことができないから、はやぶさが急降下して獲物をさっと掴んで飛び立つように、一瞬のすきに小惑星の表面(正確には表面のちょっと下の地下の岩石)を削り取って飛び立つということで『はやぶさ』っていうんだよ」と教えてもらうと、ちょっと誰かに言いたくなるかもしれません。
今年経験した台風などの気象現象に関していえば、入試に出るとか出ないとか以前に、台風のこと、台風からの身の回り方を知っていないと危ない、と実感した方もとても多いでしょう。
そういったことを伝え合うのも、とても大切なことだと思います。
地震に関しても同じですね。
遠くで起こっていると思ってしまいがちなアマゾンの森林火災も、僕たちと無関係な話であありません。
森林には中心とそのまわり、場所によっていろんな「役割」があって、森林を半分に減らしたら半分の森林になるわけではないのです。
少々乱暴なたとえですが、私たちが住んでいる家を半分壊されたら、もはや家の役割を果たしませんね。
「森林と家は訳が違うだろう」と思う方もいるかもしれませんが、あながち上記のたとえも荒唐無稽なものではないんです。
小学生の理科でも習うことですが、森林の縁の部分には「マント群落」と呼ばれる植物群が生育します。
つる性の植物で、森林をおおうマントのような役割をしています。家でいえば壁のようなものです。
あるとき急に、家の壁がなくなったらどうでしょう。
外の熱気や冷気、水分や乾燥した空気が容赦なく入ってくるようになりますね。
森林はマント群落のおかげで内部の湿度を保っているんです。
伐採によってマント群落がなくなると、森林の中は乾燥し、それまで湿ったところで生育してきたシダやコケは枯れてしまうでしょう。
湿った落ち葉はやがて腐って植物の肥料になりますが、乾いた落ち葉は火がつくといとも簡単に燃え広がってしまいます。
だから森林の伐採はけしからん、と言うのは簡単なのですが、それは人が生きるために、食料を栽培する農地を確保するためにやっていることです。
食料が足りない地域では、森林を燃やしてでも農地がほしい現実があるのです。
ではどうすればいいのか。
難しい問題です。
理科の問題でもあるし、社会の問題でもあるし、人間の問題です。
理科や社会の勉強をするというのは、たとえばこんなことを考えられるようになることだと思います。
「受験に出るから」と勉強していると、勉強はどんどんつまらなくなってきます。
受験に出るからがんばっていたはずなのに、その受験までにすっかり勉強が嫌いになってしまう子もいます。
だからできるだけ「自分たちが生きている世界のことなんだ」と思って勉強できるように、子どもたちの勉強をサポートしてあげたいですね。
・・・なんだか大変なことをしなくちゃいけないような気分になったかもしれません。
でも、そんなことはないと思いますよ。
いろいろな学校の最新の入試問題を見ていると、まさにそういう勉強をしてきた子に入ってきてほしい!というメッセージが見えてくるからです。
お子さんが「なんで?」と言ったときに、できるだけ誠実に対応してあげること、全部説明できなければ一緒に調べてあげること、一緒に不思議がってあげること、一緒に感動してあげることができれば、お子さんたちは「ほんものの勉強」ができるはずです。
変な話ですが、そういう子はテストでもとっちゃうんです(笑)。

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たまに空を見上げてみるのも大切なことです(^^)
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身のまわりの理科 2019年12月09日22時39分
主任相談員の辻義夫
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である辻義夫が家庭学習で悩んでいる方にすぐに実践できる効果的な学習方法をお教えします。
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