教えるのではなく「受け止める」ことの大切さ
■ 著書『つまずきやすいところが絶対つまずかない!小学校6年間の図形の教え方』をご紹介いただきました
「塾ソムリエ」西村則康さんとの共著『つまずきやすいところが絶対つまずかない!小学校6年間の図形の教え方』(すばる舎)を「ママが知りたい教育・受験情報 エデュナビ」でご紹介いただいています。
エデュママブック「算数の苦手意識は克服できる!目から鱗のつまずきポイント解説書」
エデュママブック「算数の苦手意識は克服できる!目から鱗のつまずきポイント解説書」
この書籍は、お子さんの算数・図形分野でのつまずきに対して、親がどう教えるかがテーマとなっています。
「教え方」という書名ですが、実は教え方というよりは「受け止め方」がテーマの本になっているんです。
なぜ「受け止め方」がテーマの本を書いたか、今回は説明したいと思います。
なぜ「受け止め方」がテーマの本を書いたか、今回は説明したいと思います。
塾の先生の仕事は、もちろん教えることです。
大勢の子どもたちそれぞれが、解き方や考え方を理解して自分で手を動かし、問題を解けるようにすることです。
子どもそれぞれによって、思考のスピードや理解のしかたは違います。
だから先生は、できるだけ多くの子が理解できるスピードで、できるだけ多くの子がわかりやすいと感じるであろう表現、考え方で問題を紐解いていきます。
それが塾の先生や学校の先生、つまり「一斉授業」を行う先生の仕事だと思います。
■ 一斉授業と個別指導の先生の違い
一方、僕が塾講師をやめたあと、長年身をおいていた個別指導の世界では、先生の仕事は少し(実際にはかなり大きく)違います。
一対一の関係なので、生徒をこちらの枠に当てはめてわからせる、というのではなくて、目の前の子どもがどのように理解しているのか、何に困っているのかなどを理解することに、まずは全力を注ぎます。
一斉授業では、先生が子どもたちに対して話している時間、伝達している時間が多くなりますが、一対一の授業では子どもに対して先生が質問し、それに子どもが答えている時間がとても長くなります。
「塾の先生はどんな解き方を教えてくれた?」
「この問題の、どのあたりが分かりにくい気がする?」
「今、何がわかっているんだっけ?」
「どんな書き方をすれば見やすくなりそう?」
「今まで習った中で、何に似ている?」
いろいろな質問で、いま子どもが何に困っているのか、どこに解決の糸口があるかを探っていくのです。
これが一斉授業と個別指導の最大の違いで、そもそもアプローチが「教えてあげる」ではないんです。
■ 「まずは受け止める」を実践するための書籍
塾で一斉授業の経験を積んだ先生が、個別指導の世界に入ってくると、まずぶつかる「壁」があります。
それは「解き方をいくら教えても、成績は上がらない」ということです。
なぜなら、どうしてその問題がわからないという状況になっているのか、その原因を探り当てて解決しないと、その問題の「解き方」だけを教えても、ちょっと数値や表現、視点を変えた問題が出ると子どもが対応できないからです。
それに気づいて、苦しみながらも「解き方を教える」ことから「わからない根本の原因を探り当てる」へとスタイルを進化させる先生もいれば、一斉授業時代と同じように「問題の解き方を教える」ことが仕事だと思って続けられる方もいます。
私が運営に関わっていた個別指導教室では、後者のタイプの先生はお子さん、保護者から支持されることはなく、やめていく方が多くいました。
お母さんが我が子を「教える」という場合、まさにそのようになってはいけません。
・・・というか、もともと教えるプロではないので、そちらを目指す必要はないんです。
では、どのようにお子さんに対応してあげると、困っているお子さんが一歩前に踏み出して理解を深められるか。
その第一歩は「親が受け止める」ということです。
■「教える」というより「ナビゲート」
「3m7cm」を「307cm」ではなく「37cm」と答えてしまうお子さんに対して、「どうしてわからないの?」とうろたえることなく、「この問題の考え方は・・・」と安易に「解き方を教える」ことに走らず、「そうか、この問題がわからないんだ。そうなんだ。」と受け止めることです。
3m7cmを37cmと答えてしまうということは、そもそも1mが何cmかをわかっているでしょうか。
すると、
「じゃあ、1mは何cmだったっけ?」
という質問ができますね。
1mが100cmということをわかっていない子どもというのは、実はほとんどいません。
「100cm」
というこたえが返ってきたら
「じゃあ3mは何cm?」
「3mと7cmは何cmかな?」
と紐解いていきます。
こうすれば、多くのお子さんは正解にたどりつきます。
こうすれば、多くのお子さんは正解にたどりつきます。
途中、上記のことを整理して書き出すと、さらにお子さんの思考も整理できていいですね。
一連の作業からお子さんは
「まずは基本に立ち返ってみればいい」
「整理して書き出せばいい」
そんなことを学ぶかもしれません。
これはとても大きな収穫です。
この書籍には、そんな親子のやり取りをたくさん対話形式で載せています。
ぜひこの夏お母さんは「教える」というアプローチではなく「ナビゲーター」を意識してみてください。
きっと親子での算数の勉強が、ちょっと楽しくなりますよ。
8月20日(火)、21日(水)、コスモプラネタリウム渋谷で行う恒例の
「中学受験で遊ぼう!辻・アインシュタインホメ夫のわくわく理科実験」
天球を使って天体の動きを学びます。
参加予約は8月6日より受付。
興味のある方はぜひ
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