棒に重さのあるてこをマスターしよう②
前回から引き続き、てこの計算のうち苦手とする子が多い、棒に重さがあるタイプのものです。
前回お伝えしたとおり、「棒の重心にかかる重さを矢印で書き込む」が最大のポイントで、あとはひたすら
重さ × 支点までの長さ
を計算して、つり合いを考えるというものでした。
ところで、「何と何がつり合っているの?」という部分で頭の中に「?」がたくさんできてしまっているお子さんも多いのですが、とにかくつり合うのは「逆向きの力」です。引っ張り合っているとか、押し合っているとか、そういうことです。
机の上に木片がのっていて、静止しているとしましょう。ここで「つり合っている」のは何と何でしょうか。この物体を空中で放すと下向きに落ちていくはずです。重力で下向きに引っ張られているからですね。机の上で物体が動きもせずじっとしているということは、この下向きの重力に対して、机が押し返してくれているわけです。
2つのばねはかりA,Bにかかる力の大きさを考えたいのですが、この図の場合、つり合っているのは下向きの力(200gと100gのおもり、棒の重さ120g)と上向きの力(2つのばねはかり)と考えることができます。矢印を書き込むと、下の図のようになります。
このように「何と何がつり合っているかわからない」というお子さんは、とにかくそこにかかっている力はどっち向きかを書き込むことで、「逆向きに働いている力」が見えてきます。
たとえば次のような図はどうでしょう。
2つのばねはかりA,Bにかかる力の大きさを考えたいのですが、この図の場合、つり合っているのは下向きの力(200gと100gのおもり、棒の重さ120g)と上向きの力(2つのばねはかり)と考えることができます。矢印を書き込むと、下の図のようになります。
このことからA,Bにかかる力の合計は
200 + 100 + 120 = 420g
とわかります。一方、これだけではA,Bそれぞれに何gずつ力がかかっているかはわかりません。
そこで、てこのつり合いの問題だから
力の大きさ × 支点までの長さ
を考えることにしましょう。
で、「支点はどこ?」となるわけです。
「支点はどこ?」というお子さんの質問に、私は「どこでもいいんだよ。自分で決めようか。」と答えます。
「ただしコツがあるんだ。支点と考えた点にかかる力の大きさは考えなくていいから、今かかっている力の大きさがわからないところを支点にするといいよ。」
つまりばねはかりAまたはBをひとまずの「支点」と考えて、棒を左回りに回転させようとしている力と、右回りに回転させようとしている力がつり合っていると考えるのです。
・・・ちなみに理科ではよく「左回り」「右回り」が出てくるのですが、あやふやなお子さんもいます。
そんなときは「君がクルマを運転してるとして、ハンドルをそっちに回すとクルマが左に曲がっていく回し方が左回りだよ」と伝えてあげましょう。一発で腑に落ちます。
今は、Aを支点と考えて棒を左回り、右回りに回転させようとしている力を考えてみましょう。
左回り=200gのおもり、ばねはかりB
右回り=棒の重さ、100gのおもり
ここで注意しなければならないのは、Bのばねはかりは支点より右側にありますが、ここを上向きに持ち上げるということは、棒を左回りに回転させるということです。
・・・ちなみに理科ではよく「左回り」「右回り」が出てくるのですが、あやふやなお子さんもいます。
そんなときは「君がクルマを運転してるとして、ハンドルをそっちに回すとクルマが左に曲がっていく回し方が左回りだよ」と伝えてあげましょう。一発で腑に落ちます。
200 × 20 + Bにかかる力 × 50 = 120 × 30 + 100 × 80
4000 + Bにかかる力 × 50 = 3600 + 8000
Bにかかる力 × 50 = 11600 − 4000
だからBにかかる力は
7600 ÷ 50 = 152g となります。
Bにかかる力の大きさがわかれば、Aにかかる力の大きさは
420 − 152 = 268g
とわかりますね。
Bにかかる力の大きさがわかれば、Aにかかる力の大きさは
420 − 152 = 268g
とわかりますね。
この「自分で支点を決める」ということに慣れると、ずいぶん正解できる問題の幅も広がります。
棒に重さのあるてこをお子さんが習ったら、ぜひ上記のような一連の思考の流れができているか、チェックしてみてあげてください。