中学受験 苦手克服授業での「掴み」に関して
こんにちは、辻です。
講師にも、営業やサービスの仕事のように「トークセット」というのがあります。「トークセット」というのは、こんなときはこうやって対応する、というマニュアルのようなものです。
なんだ、マニュアルがあるのか、と思われるかもしれませんね。たとえば物品を購入してもらった特に「ありがとうございます」と言うのは当たり前のように販売する会社のマニュアルにあるでしょうし、商品に関しての説明や接客にも、詳しいマニュアルが存在するはずです。
でも、同じマニュアルを使用していても、お客さんに高い満足を与える販売員と、そうでない人がいるものです。講師も同じで、同じ問題を説明しても、子どもの理解度や満足感、達成感や実際の効果は大きく違ってきます。それは、同じトークセットから派生する様々な展開、ストーリーがあるからです。
たとえば、湿度計算がわからない、というお子さんが目の前にいるとしましょう。
「飽和水蒸気量とは、一立方メートルに含むことができる水蒸気のことなんだ。これは温度が高くなるほど大きくなるんだ。その飽和水蒸気量に対して、実際にどれだけの水蒸気が空気中に含まれているかという割合が湿度なんだ。気温が30度のときの飽和水蒸気量は30g。今、空気中に15gだけ水蒸気が含まれていたら、湿度は何%?」
いかがでしょう。「よくわかった」と感じましたか?確かに教科書的に正しい解説ですが、この解説でわかるのなら、授業は必要ないかもしれません。
「『飽和水蒸気量』っていう難しい言葉はどうでもいいので、まずは空気に含める水蒸気に限度があるって知っておいてほしいんだ。で、それは気温によって変わる。気温が上がれば買い物カゴが大きくなるって考えればいいよ。グラフを見て。気温30度のときの買い物カゴの大きさは30だね。このうち15だけ商品が入っていたら、湿度は何%?」
湿度計算を教えるときの私の「トークセット」ですが、その細かな表現は子どもの様子、性格、理解度によって変わります。大切なのは「掴み」の部分。「苦手」と感じている湿度計算へのハードルを一気に下げ、「なんだ、簡単なことじゃん。」と感じさせるのが、開始から数十秒の講師の使命。
そしてハードルが下がれば、「じゃあ、買い物カゴが30で、商品が21入ってたら?」といくつか練習。ここまでスムーズに来れば、開始後数分で溶解度計算への苦手意識はかなり薄れています。その後も数十分の授業の中で、いくつかの「ヤマ」がやってきます。苦手克服の挫折の原因になるものです。それらを乗り越えれば、苦手克服完了。
人との付き合いもそうだと思うのですが、第一印象での「掴み」は重要です。はじめに好印象を受けなかった人とは、なかなかうちとけられなかったりするものです。相手の心のハードルを下げる魅力的な「掴み」を追い求め続けたいものです。
古今亭志ん輔さんの落語を、初めて生で観ました。話術にひたすら感動。やはり技術と鍛錬があってはじめて、伝えることができるんですね。
講師にも、営業やサービスの仕事のように「トークセット」というのがあります。「トークセット」というのは、こんなときはこうやって対応する、というマニュアルのようなものです。
なんだ、マニュアルがあるのか、と思われるかもしれませんね。たとえば物品を購入してもらった特に「ありがとうございます」と言うのは当たり前のように販売する会社のマニュアルにあるでしょうし、商品に関しての説明や接客にも、詳しいマニュアルが存在するはずです。
でも、同じマニュアルを使用していても、お客さんに高い満足を与える販売員と、そうでない人がいるものです。講師も同じで、同じ問題を説明しても、子どもの理解度や満足感、達成感や実際の効果は大きく違ってきます。それは、同じトークセットから派生する様々な展開、ストーリーがあるからです。
たとえば、湿度計算がわからない、というお子さんが目の前にいるとしましょう。
「飽和水蒸気量とは、一立方メートルに含むことができる水蒸気のことなんだ。これは温度が高くなるほど大きくなるんだ。その飽和水蒸気量に対して、実際にどれだけの水蒸気が空気中に含まれているかという割合が湿度なんだ。気温が30度のときの飽和水蒸気量は30g。今、空気中に15gだけ水蒸気が含まれていたら、湿度は何%?」
いかがでしょう。「よくわかった」と感じましたか?確かに教科書的に正しい解説ですが、この解説でわかるのなら、授業は必要ないかもしれません。
「『飽和水蒸気量』っていう難しい言葉はどうでもいいので、まずは空気に含める水蒸気に限度があるって知っておいてほしいんだ。で、それは気温によって変わる。気温が上がれば買い物カゴが大きくなるって考えればいいよ。グラフを見て。気温30度のときの買い物カゴの大きさは30だね。このうち15だけ商品が入っていたら、湿度は何%?」
湿度計算を教えるときの私の「トークセット」ですが、その細かな表現は子どもの様子、性格、理解度によって変わります。大切なのは「掴み」の部分。「苦手」と感じている湿度計算へのハードルを一気に下げ、「なんだ、簡単なことじゃん。」と感じさせるのが、開始から数十秒の講師の使命。
そしてハードルが下がれば、「じゃあ、買い物カゴが30で、商品が21入ってたら?」といくつか練習。ここまでスムーズに来れば、開始後数分で溶解度計算への苦手意識はかなり薄れています。その後も数十分の授業の中で、いくつかの「ヤマ」がやってきます。苦手克服の挫折の原因になるものです。それらを乗り越えれば、苦手克服完了。
人との付き合いもそうだと思うのですが、第一印象での「掴み」は重要です。はじめに好印象を受けなかった人とは、なかなかうちとけられなかったりするものです。相手の心のハードルを下げる魅力的な「掴み」を追い求め続けたいものです。
古今亭志ん輔さんの落語を、初めて生で観ました。話術にひたすら感動。やはり技術と鍛錬があってはじめて、伝えることができるんですね。