苦手克服へのヒント④
秋が深まってきました。
涼しい、ではなく寒いと感じる朝晩も多くなってきましたね。
日もだんだん短くなり、学習に適した季節になってきました。
そんな秋の夜長、今回も苦手克服について考えてみましょう。
たとえば、一度犬に噛まれたので、どんな小型犬でも触れることが
できない、という人がいます。
同じように、電流が嫌いとか、水溶液が苦手とか、
いわゆる苦手単元というのは、その単元を習ったときに
「わからない」「難しい」
という印象を持ったときにできます。
次からも今ひとつ自信を持って取り組めない、
ということがおこるんですね。
だから、この「難しい」という印象を打ち消してあげるのが、
苦手克服の特効薬の1つです。
以下のような化学の問題を考えてみましょう。
【問題】
3gの炭素を完全燃焼させると、11gの二酸化炭素ができます。
また、3gの炭素が不完全燃焼すると、7gの一酸化炭素ができます。
12gの炭素を空気中で燃焼させると、一酸化炭素と二酸化炭素の混合物が
32gできました。
12gの炭素のうち、完全燃焼したのは何gでしょうか。
さて、この問題、算数でいう「つるかめ算」を使って解けばいいことは
なんとなくわかりますね。
炭素 + 酸素 ⇒ 二酸化炭素
3g 8g 11g
炭素 + 酸素 ⇒ 一酸化炭素
3g 4g 7g
と整理するところからです。
でも実際に整理する前に、「燃焼するということは酸素と結びつくことだ」
ということを、きちんと伝えてあげる必要があります。
「燃える前の炭素より重くなっているけど、何が結びついたってこと?」
と問いかけてあげるのもよいですね。
そして「もしも12gの炭素がすべて完全燃焼したら…」と考え始めればいいのですが、
それ以前に、こんなことを不思議に思うお子さんがいます。
「3gの炭素が完全燃焼すると、絶対に11gの二酸化炭素ができるのか」
確かに、原子や分子のことをちゃんと学習するのは、中学校です。
中学受験生は、中学生や高校生ほど原子について詳しく学習しませんから、
以下のことをきちんと伝えてあげなければならないんですね。
・物質(原子)の重さは決まっていて、変えられない。
だから3gの炭素が完全燃焼すると、絶対に11gの二酸化炭素になる。
・この3g、11gといった数字自体は、別に今は覚えていなくても
大丈夫。仕組みを知っておくことが大切。
これで、お子さんの「難しそう」というハードルはぐんと下がります。
ここでいよいよ、「12gの炭素がすべて完全燃焼したら」と考えます。
炭素 + 酸素 ⇒ 二酸化炭素
3g 8g 11g
↓×4 ↓×4 ↓×4
12g 32g 44g
二酸化炭素が44gできるはずです。
しかし問題では32gの二酸化炭素ができたということですから、
44 - 32 = 12g
重さを減らす必要があります。
1gの炭素が完全燃焼したとき、重さは 11/3gになり、
不完全燃焼したときは、重さは 7/3gになりますから、
1gの炭素が燃焼したときにできるものの重さの差は、4/3gです。
あとは、つるかめ算の公式通り
12 ÷ ( 11/3 - 7/3 ) = 9g
と、完全燃焼しなかった炭素の重さが計算できるわけです。
最後の分数計算、計算自体は難しくありませんが、
その意味をきちんと把握して計算するのが、ちょっと難しいです。
だから、
「1gの炭素が完全燃焼したとき、重さは 11/3gになり、
不完全燃焼したときは、重さは 7/3gになるから、
1gの炭素が燃焼したときにできるものの重さの差は、4/3g」
という部分を、納得いくまで、腑に落ちるまで、
しっかり考えさせてあげてください。
でも、ここまで一緒に考えられる状態であれば、もはや「苦手」ではありませんね。
ポイントは、問題に取り組むときにお子さんが感じる「難しそう」という
ハードルを、いかに下げるかです。
私の経験上、どんなに理科が苦手なお子さんでも、工夫しだいで
「なんだ、簡単なことなんだ。」と思うようになります。
がんばってみてください。
植物たちも、寒い季節への準備を始めています。
涼しい、ではなく寒いと感じる朝晩も多くなってきましたね。
日もだんだん短くなり、学習に適した季節になってきました。
そんな秋の夜長、今回も苦手克服について考えてみましょう。
たとえば、一度犬に噛まれたので、どんな小型犬でも触れることが
できない、という人がいます。
同じように、電流が嫌いとか、水溶液が苦手とか、
いわゆる苦手単元というのは、その単元を習ったときに
「わからない」「難しい」
という印象を持ったときにできます。
次からも今ひとつ自信を持って取り組めない、
ということがおこるんですね。
だから、この「難しい」という印象を打ち消してあげるのが、
苦手克服の特効薬の1つです。
以下のような化学の問題を考えてみましょう。
【問題】
3gの炭素を完全燃焼させると、11gの二酸化炭素ができます。
また、3gの炭素が不完全燃焼すると、7gの一酸化炭素ができます。
12gの炭素を空気中で燃焼させると、一酸化炭素と二酸化炭素の混合物が
32gできました。
12gの炭素のうち、完全燃焼したのは何gでしょうか。
さて、この問題、算数でいう「つるかめ算」を使って解けばいいことは
なんとなくわかりますね。
炭素 + 酸素 ⇒ 二酸化炭素
3g 8g 11g
炭素 + 酸素 ⇒ 一酸化炭素
3g 4g 7g
と整理するところからです。
でも実際に整理する前に、「燃焼するということは酸素と結びつくことだ」
ということを、きちんと伝えてあげる必要があります。
「燃える前の炭素より重くなっているけど、何が結びついたってこと?」
と問いかけてあげるのもよいですね。
そして「もしも12gの炭素がすべて完全燃焼したら…」と考え始めればいいのですが、
それ以前に、こんなことを不思議に思うお子さんがいます。
「3gの炭素が完全燃焼すると、絶対に11gの二酸化炭素ができるのか」
確かに、原子や分子のことをちゃんと学習するのは、中学校です。
中学受験生は、中学生や高校生ほど原子について詳しく学習しませんから、
以下のことをきちんと伝えてあげなければならないんですね。
・物質(原子)の重さは決まっていて、変えられない。
だから3gの炭素が完全燃焼すると、絶対に11gの二酸化炭素になる。
・この3g、11gといった数字自体は、別に今は覚えていなくても
大丈夫。仕組みを知っておくことが大切。
これで、お子さんの「難しそう」というハードルはぐんと下がります。
ここでいよいよ、「12gの炭素がすべて完全燃焼したら」と考えます。
炭素 + 酸素 ⇒ 二酸化炭素
3g 8g 11g
↓×4 ↓×4 ↓×4
12g 32g 44g
二酸化炭素が44gできるはずです。
しかし問題では32gの二酸化炭素ができたということですから、
44 - 32 = 12g
重さを減らす必要があります。
1gの炭素が完全燃焼したとき、重さは 11/3gになり、
不完全燃焼したときは、重さは 7/3gになりますから、
1gの炭素が燃焼したときにできるものの重さの差は、4/3gです。
あとは、つるかめ算の公式通り
12 ÷ ( 11/3 - 7/3 ) = 9g
と、完全燃焼しなかった炭素の重さが計算できるわけです。
最後の分数計算、計算自体は難しくありませんが、
その意味をきちんと把握して計算するのが、ちょっと難しいです。
だから、
「1gの炭素が完全燃焼したとき、重さは 11/3gになり、
不完全燃焼したときは、重さは 7/3gになるから、
1gの炭素が燃焼したときにできるものの重さの差は、4/3g」
という部分を、納得いくまで、腑に落ちるまで、
しっかり考えさせてあげてください。
でも、ここまで一緒に考えられる状態であれば、もはや「苦手」ではありませんね。
ポイントは、問題に取り組むときにお子さんが感じる「難しそう」という
ハードルを、いかに下げるかです。
私の経験上、どんなに理科が苦手なお子さんでも、工夫しだいで
「なんだ、簡単なことなんだ。」と思うようになります。
がんばってみてください。
植物たちも、寒い季節への準備を始めています。