2020年を迎えるにあたって新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。
教育専門家の小川大介です。
穏やかな気候に恵まれた2020年の三が日でしたね。
明けの日、年頭のご挨拶として、昨年の振り返りと今年にかける思いを書き綴ってみました。
やや長文ですがお付き合い願えれば幸いです。
【私自身の2019年】
4冊の著書を刊行し、メディア連載が2本スタート、セミナーと企業研修など講演活動を約40本、また息子の中学受験も無事終了と充実した一年となりました。
【書籍活動について】
特に書籍を通して、幼少期から中学受験までの一貫した子どもへの関わり方について、私なりの考え方とノウハウを言語化できた点で節目の一年といってよいと思います。
(1)5月に発売した
『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)
でお伝えしたのは、子どもは自ら育つ力を持っていて、私たち大人の方が子どもを信じる力を育てていくことが大切だという考えです。
子どもが主体的に社会に向き合っていける力を身につけていくポイントは、
「認める・見守る・待つ」という親の三原則であり、
さらに上手に期待を寄せることで一歩踏み出させてあげることだという考えのもと、具体的な技術と知識を詳しくお話しました。
この本が発売後すぐに増刷を重ね、多くの方から好意的な反響をいただけていることは、今の子育て世代の方々の教育観が、学歴一辺倒の時代から変化したことを如実に表しているように思います。
思えば、2019年は探求教育への関心やプログラミング教育の広がりなど、学びの選択肢の多様性が一気に花開いた年でした
(2)9月には
『5歳から始める最高の中学受験』(青春出版社)を著しました。
中学受験がそもそも小学生の成長において非常に不自然で、過度に負担のかかるものであることを認め、
だからこそ幼少期からの長期的な視点で学習習慣や意欲、学習技術を育くむことの大切さとその方法を具体的にお伝えする内容です。
「ゆるやかにムリをさせる」という長期的な視野にたった子育ての知恵を表現するために「5歳から」という言葉をタイトルに入れたのですが、書店では小学校お受験のコーナーに並べられるという全く予想外の展開が起きました。
『5歳から始める最高の中学受験』で伝えたかったこと
日本の教育事情と認識が、いかに年齢輪切りの硬直化したものであるかを図らずも実感した次第です。
私にとって、子ども一人ひとりの個性特性に目を向けた、多様な子育て環境を作り出す一助でありたいと奮起を促された出来事です。
(3)11月には
小学館からドラえもんの本を出させていただきました。
『ドラえもんの国語おもしろ攻略 国語力をきたえるカタカナ語』
なぜカタカナ語に注目したのかはレタスクラブニュースのこちらの記事に紹介いただいています。
知ってるつもりになってない?恥をかく前に身につけたいカタカナ語力とは
そもそも言葉というものは、それぞれの社会の文化、価値観、歴史が反映されたものです。
一つひとつの言葉が何を表し、どういったシーンで用いられるものなのかを吟味すること自体が言葉に対する感性を高め、思考力そして自分自身の考えを正確に伝える表現力へとつながっていきます。
ドラえもんの楽しい漫画を通して、小学生中学生が言葉というものにより意味を感じ親しみを持って欲しい。
そんな思いで著しました。
さて出版して一番の驚きは、「やはりドラえもんはすごい」ということです。
「ドラえもんと仕事をできる人が世の中に何人いると思っているの」と、何人もの人に褒めていただきました。
「そういうものなのだな」と、自分の幸運を再認識するとともに、
ドラえもんよりも中身に注目していただけるようにならねばと、やや苦い思いも味わったのでした。
(4)そして年の暮れも迫った12月21日
『親も子も幸せになれるはじめての中学受験』(CCCメディアハウス)
が刊行されました。
書籍内容については、NewsWeekのこちらの記事が詳しく紹介くださっています。
中学受験で親子でも夫婦でも喧嘩せずに合格を勝ち取る方法
この本で私は、「幸せになれる」という言葉をタイトルに入れることにこだわりました。
中学受験は世間的には過酷なものと思われがちですが、過ごし方向き合い方によっては親と子の信頼が深まり、また夫婦の関係を深める意味ある時間にしていけることをお伝えしたかったからです。
「中学受験」が気になりだした時から中学校へ進学するまでの間、親としてどのような心の動きがあり、
子どもの心の中では何が起きるのかに焦点を当てた本です。
「何を与えて何をさせればいいのかだけ知りたい」という、手っ取り早く目に見える成果を上げたい人にとっては、
面倒で遠回りに感じる内容かもしれません。
家族一人ひとりが異なる価値観を持ち、それぞれの思いがあるということを認め合いながらお互いの関係を築くことは、
大変時間がかかることでありエネルギーのいることだからです。
しかし、迷走が止まらない大学入試改革を飛び越えるように、中学入試の世界では選抜方法が一気に多様性を増しています。
入試回数の複数化も進み、進学校、大学附属校、公立中高一貫校などの学校選択も複雑化しています。
こうした状況下でわが子の進学先を考えていこうとしたとき、判断軸となるのは、
わが子にどう育ってほしいのか、自分たち親はどう手伝っていくのかという「わが家の子育てビジョン」に他なりません。
「中学受験」は締切日が定まったものだからこそ、先送りすることなく家族で話し合い、互いの理解と信頼関係を深めることを大切にしてほしいという思いを、2019年の締めくくりとして世に問わせていただきました。
【連載について】
こうした著作活動と並行して開始した連載2本は、より広く子育てに関する内容となりました。
リトル・ママ
「小川大介先生の読む子育てコーチング」
レタスクラブニュース
「小川大介先生の子育てよろず相談室」
それぞれの媒体とも読者の反応は良好とのことで、回を追うごとにメッセージやご質問をいただけることが増え、私も楽しく取り組ませていただいています。
ご相談内容も「鼻ほじりが止まらない」「学校に行きたがらない」「イヤイヤ期の向き合い方」など、日常の子育てのリアルを感じるものばかり。
いずれも正解はありませんが、「その時お子さんは何を思っているのだろう」「親御さんが願っていることはなんだろう」という視点に立って、私なりにお答えしています。
一番勉強になっているのは間違いなく私自身でして、全国の読者の方とのつながりを大切にしながら、2020年も親御さんに寄り添って考えていきたいと思っています。
【講演活動について】
私が経営する株式会社素材図書の名刺には「凡人の味方。」というキャッチフレーズが入っています。
企業ミッションは、人と組織の持ち味(素材)を引き出し言葉を与え、最大限の成果発揮へと導くこと。
私はもちろん、世の多くの人も、生まれながらの天才として活躍が約束されているものではありません。
自他ともに認める凡人という方が大半です。
ただし、凡人だから成果が上がらないかというとそうでもなく、だれもがそれぞれの成長の素を持ち、言葉を伴わせることで力とすることができます。
2019年も、そのような視点に立って、
親子の自信育て、企業のマネージャー教育、チームビルディング、営業トレーニングなどのテーマで講演の機会をいただきました。
一例)
KIDS PERFORM CHALLENGE(テアトルアカデミー)
2020年はさらにお手伝いさせていただく企業様も増えますが、皆さんの成長の素を見つけ出し、成果へとつなげていく姿勢を見失うことなく誠実に取り組んでまいります。
【息子の中学受験について】
ちょうど1年前、彼は塾の直前特訓に参加していたのだと思うと不思議な感覚です。
まだ1年なのかという思いと、もう1年かという思い。
1月6日、西大和学園の東京入試がスタートでした。
その後の灘中、開成中、筑駒中と、合格できたことはありがたい話ですが、
今思うと、試験当日のあの場に親子で参加できたことが何よりの糧となっているように思います。
独特の緊張感に包まれながら、「自分のやれるようにがんばるだけ」という達観したような思い。
親は見守るしかできないという諦念。
がんばったのは彼ですが、私も妻も親として大いに成長させてもらった時間でした。
灘中に進学した後の息子はますます「まったり」くんですが、同級生の子どもたちも見事なまでに学校の勉強には力が入っていない様子に驚かされます。
自分のやりたいことにだけ気持ちを入れている姿に、これからの時代の生き方を学ぶ思いです。
父としては、彼の貴重な中高6年間が、ただ大学受験へのレールになってしまわないことを願いながら、
世界の広がりを感じてくれるきっかけを渡したいという思いと押し付けたくないという自制のはざまで、
自分を磨き高める以外ないんだろうなと考える毎日です。
これまで通り奥さんと相談しながら、わが家なりの選択を背伸びすることなく見つけていきます。
【2020年の私】
さて2020年の私ですが、今まで以上に子育て世帯の支援・応援に注力していきます。
自然な学びの延長線上として、中学受験のお手伝いもさらに精度を高めて取り組める準備を整えています。
また、お子さんたちが、ご家庭が幸せであるためには、親御さんが仕事面でそれぞれの組織の中で活躍できることが非常に重要ですから、企業研修、人事コンサルティングの活動も積極的に取り組んでいきます。
さらに2020年に最大限に注力したいと考えているのは「放課後」です。
まだ詳しくはお話できませんが、学童保育、アフタースクールの領域において私自身の経験と力を注ぎ込んでいきます。
日本の子育て環境を考えたとき、私は以前からアフタースクールこそが実は教育課題の本命本丸だと考えてきました。
どのように社会貢献ができていくのか、皆さんに注目いただけるよう目に見える結果をだしていきます。
オリンピックYEARの今年、子どもたちが日本の今そして将来に向けて希望が持てるように、
自分のできる精一杯を注ぎ込んでいきます。
気持ちの入った一年にしていきますので、どうぞ見守ってください。
今年もどうぞよろしくお願いいたします!
小川大介