子どものやる気はどう引き出せばいいの?
こんにちは! 小川大介です。
もうすぐ中学受験生にとって大事な夏休みがやって来ます。
特に受験年を迎える6年生は、この夏の頑張りが合否を左右する
と塾から言われていることと思います。
ところが、当の本人は相変わらずのんびり。
そのくせ「志望校に絶対に合格する!」と大きなことを言う。
そんなわが子を見て、焦りや苛立ちを感じる親御さんも多いことでしょう。
しかし、多くの親御さんが勘違いするのは、
大きな目標を持てば、子どもがやる気を見せると思ってしまうこと。
大人は半年先を見通して、”今”を考えることができますが、
小学生の子どもは1週間先を見るのが精一杯。
「○○中に絶対に合格する!」という志望校への強い憧れがあったとしても、
半年先の目標と目の前の学習が結びつかないことはよくあることです。
どんなにしっかりとした子でも、日々の勉強を面倒だと感じ、
やる気を見せないこともあります。
つまり、目標とやる気はまったく別に存在するのです。
とはいえ、入試本番までの時間は有限。
やるべきことはやっていかなければなりません。
そこで重要になるのが、親御さんの関わり方です。
やる気が見えない子に対して「本当の中学受験をするつもりなの?」
「こんな調子でいいと思っているの?」と責め立ててみても、
あまり効果はありません。
ではどうするか?
お子さんの心を動かす有効な手段として、
「学習のロールモデル」を見つけるやり方があります。
例えば、小学校で仲良しの友達が塾の最上位クラスにいたとします。
その子を引き合いにして、受験勉強がうまくいっている子は
どのように勉強を進めているのか考えるきっかけを渡してあげるのです。
「○○くんって、いつ勉強していると思う?」と子どもに問いかけ、
イメージを促すのです。
親がいくら「もっとやる気を見せなさい!」「頑張りなさい!」
といったところで、子どもは正直何をどう頑張っていいのかがわかりません。
でも、身近な友達を想像することは、子どもにとっては簡単で、
自分に置きかえて考えるきっかけにもなります。
「きっと寝る時間を削ってずっと勉強しているんだよ」
と言ってくるかもしれませんね。そんな時は、
「でも、いつも元気な顔をしているし、好きな水泳教室は続けているよね」
とその子の日常の姿を思い出させてあげましょう。
そういったやりとりの中で、
「じゃあ、朝早く起きて勉強しているのかもしれないね。
僕もやってみようかな」と子ども自身に良策を気づかせることができます。
高学年になると、子どもは親に提案されたことには
なかなか耳を貸してくれないものですが、
友達がやっていることは真似てみたくなるもの。
友達の影響を受け、子ども自身の行動を変えることもあるのです。
ところが、せっかくやる気が出てきたのに、
テストで思うような点が取れず、再びやる気がダウン・・・
というのはよくある話。
テストの結果やクラスのアップダウンは、
子どものモチベーションを大きく揺れ動かします。
そんな時は、出された結果だけに目を向けず、
クラスアップまでに、志望校合格ラインまでに
「あと何点足りなかったのか」に注目してください。
「4教科で30点足りなかった」という「得点不足」の確認で終わらず、
「算数はあと15点、残り3教科で5点ずつ取れば合格ラインだったんだ
(またはクラスアップできた)」と具体的に考えてみます。
そうすると、「あと少し頑張ればいけるかもしれない」と、
次回は成功できそうだという実感を得ることができます。
この「あと少しでなんとかなりそう」と思わせることが大事です。
子どもは大きな目標に対しては頑張ろうという気持ちが起きにくいものですが、
「あと少し頑張ればなんとかなりそうだ」
という小さな目標に対しては頑張ることができます。
こうした子どもの心理を上手に汲み取り、
やる気を引き出してあげましょう。
これができるのは、塾の先生ではなく、
いつもお子さんのそばにいる親御さんしかいません。
中学受験における親の役割は多岐に渡りますが、
一番力になるのは、わが子専属の学習コンサルタントになることだと思います。
今回は子どもの「やる気」についてお話ししましたが、
今月発売の『中学受験大百科2019完全保存版』(プレジデント社)の特集記事では、
中学受験の学習サイクルに必要な4つのステップ
「やる気」→「授業」→「宿題」→「テスト」における
それぞれの悩みや疑問にお答えしています。
ぜひご参考にしてみてください。