受験国語の感情はパターンで覚える
こんにちは! 小川大介です。
中学受験において、国語の物語文が苦手という子は案外多いものです。
その理由として挙がるのが、「主人公の気持ちがわからない」。
特に親御さんのほうがそう感じているようです。
そして、「どうしてうちの子は、人の気持ちが分からないのかしら?
私の育て方が間違っていたのかしら・・・・・・」と大げさに捉えてしまう。
でも、心配しないでください。
お子さんの国語の成績が上がらないのとお子さんの人間性はまったく関係ありません。
なぜなら、国語の入試は、論理力や問題解決力などを測るものであって、
人間性の審査ではないからです。
入試で物語文など読み手によって解釈が大きく分かれそうな問題が出題された場合、
必ず設問に解答の方向が示されています。
それに従って文章中に描かれている状況を把握し、
合理的に感情を判断していけば、解答が導き出せるようになっているのです。
もちろんある状況や単語、文章を見て、
それに象徴される一般的な「感情」を読みとる力、
ごく短い会話から状況を理解して感情を類推する「感受性」は必要かもしれません。
でも、ある程度のパターンを知識として持っていれば、
それに対応することは可能で、それ以上の感受性は求められてはいません。
そう言うと、抵抗感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、
「国語が苦手な子」の多くは、
『国語は感性が大切だ。国語をパターンで学ぶなんてもってのほか。』
と信じている先生や親御さん達によって、
知らず知らずのうちに生み出されているだけだと私は感じています。
受験国語で点を取りたければ、感情はパターンで覚えておきましょう。
例えば、「家族の別れ→旅立ちの涙」について書かれた物語があったとします。
その場合、これまでの家族の関係や状況によって、感情はいくつかに分類されます。
A. 仲の良い家庭で育ったきょうだいの旅立ち
→「寂しさ」「思いやり」
B. 恵まれない家庭で一緒に耐えてきたきょうだいの旅立ち
→「孤独感」「羨望」「悔しさ」「決意」「不安」
C. 母子家庭で育ってひとりっ子の旅立ち
→「感謝」「不安」「解放感」「罪悪感」
「同じような状況でも、感情のパターンが3つもあるのか」
と難しく思うかもしれませんね。
でも、まずは覚えるべき感情はAです。
Aを基本形として、事情の異なるところに合わせて
適切な気持ちは何かを「判断」していけばいいのです。
「こんなシチュエーションになったとき、どう感じると想像できるか」
という設問があった場合、
もっとも分かりやすいのは同じような経験をしている場合です。
しかし、最もわかりやすいAのシチュエーションでも、
今、小学生の子どもで同じような体験をしている子はほとんどいないでしょう。
家族関係に関わらず、「小学生の実体験」など、
そう多くのバリエーションを得られるわけではありません。
しかし、入試問題ではさまざまな状況の、
さまざまな登場人物の感情が問われます。
となると、実体験の不足を別の形で補っていかなければなりません。
人の世のあれこれを疑似体験していくのに最も適しているのは、
本を読むことでしょう。
本を読むと世界が広がります。
ただしここで一つ気をつけていただきたいのは、
受験国語の問題が解けるようになることと、
読書量とが直接結びつくわけではないということです。
「本をたくさん読んでいないから」「文学的センスがないから」
「感受性の問題だから」ということで、
「うちの子は国語が苦手」と思い込むべきではありません。
また、感情理解力を上げたいからといって、
ただでさえ受験勉強で忙しい子に、
やみくもに読書量を増やさせようとするのはおすすめしません。
受験国語を伸ばしたいなら、
もっと単純に問題練習を通しての定番感情パッケージを覚えてしまえばいいのです。
一例ですが、
「両親が離婚して父親に引き取られ、その後父親が再婚する物語」
「父母に死に別れ、祖父母に育てられた子どもの物語」
「戦時中、終戦直後の家族の物語」
といったものは、入試問題の「ひとつの典型」です。
演習問題などでそうした文章に触れたとき、
意識的に「パターン」として覚えていれば、
別の文章を読むときにも応用が利くようになってきます。
大人の間違った思い込みで、
お子さんの国語に対する自信を奪ってしまうことがないように、
正しい解き方を身につけさせましょう。
受験国語の伸ばし方は、こちらの本にも詳しく紹介しています。