低学年のうちに育てたいのは「自分から勉強に向かう姿勢」
こんにちは! 小川大介です。
近ごろ、低学年の親御さんから中学受験に関する相談を多く受けます。
〈低学年ママからの相談〉
小1と小2の年子の姉妹の母親です。わが家は中学受験を考えており、
塾の勉強に慣れておくように小1から大手進学塾に通わせています。
姉は言われたことをコツコツとやるタイプで手は掛かりませんが、
テストの結果に対していまひとつ反応が薄い。
それに対して妹は、やる気の波があるけれど、
気持ちが入ると頑張り、結果に対してこだわります。
今は二人とも、塾の宿題はきちんとやり、
特に成績でつまずいているわけではないのですが、
小4から本格的な受験勉強が始まったらどうなるのだろうと、
漠然とした不安を抱えています。今からやるべきことはあるのでしょうか?
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近年、中学受験を考えているご家庭で、
低学年から受験塾に通わせているケースが増えています。
低学年からの通塾についての賛否はここでは語りませんが、
一つだけ気をつけてほしいことがあります。
それは、勉強をやらせすぎないことです。
大手進学塾の低学年のコースは、勉強の内容もそれほど難しくなく、
大きく落ちこぼれる子はいません。
ところが、成績が悪くないのに、もっとやらせた方がいいのではないかと、
心配する親御さんがいます。そして、あれもこれもやらせすぎて、
お子さんをつぶしてしまうケースを私はたくさん見てきました。
大手進学塾の中学受験カリキュラムは、小3の2月からスタートします。
中学受験に必要な勉強を身につけるには、3年あれば十分で、
低学年のうちから先取り学習をする必要はありません。
低学年のこの時期に大切なのは、学習習慣を身につけることです。
こちらの姉妹は、塾の宿題をきちんとやり、
学習習慣においては一見問題がなさそうに見えますが、
それは親御さんがやらせているだけ。
自分から進んでやっているようには見えません。
低学年の学習で大事なのは、子どもが自発的に学べるように、
子どもの好奇心に目を向けることです。
子どもの好奇心を伸ばすには、子どもをじっくり観察することです。
同じ姉妹でもタイプが異なるので、
その子のタイプに合わせて好奇心を刺激したり、
勉強の取り組ませ方を教えてあげたりするといいでしょう。
お母さんからすると、テストの結果に対していまひとつ反応が薄いお姉ちゃんは、
勉強に熱中していないと感じているようです。
でも、それはテストというものがどういうものかを理解していないだけかもしれません。
テストというものは「間違えたところをもう一度解き、正しい答えを出すこと」
と思っている親御さんは少なくありませんが、
テストの本来の目的は「なぜ間違えてしまったか原因を分析すること」で、
その原因に応じた対策をすることで、
「よい方向へと変えていくことができるもの」なのです。
そうやって、早いうちからテストと勉強の因果関係を教えてあげると、
勉強の取り組み方も変わってきます。
また、こちらのお母さんは、お子さんに対して漠然と「やる気」を求めていますが、
親が望んでいることは、きちんと言葉で本人に伝えた方がいいでしょう。
お姉ちゃんは本人なりに頑張ってやっているかもしれないのに、
親から認めてもらえないのはかわいそうです。
一方、妹さんの場合は、やる気の波があることを心配しているようですが、
それも親の関わり次第でうまく伸ばしていくことができます。
相談の中で、動物園の話が出てきたのですが、
妹さんは解説にはまったく興味を示さないけれど、
動物の動きは飽きることなく見ているそうです。
そういう子は、テキストを読み、問題集を解かせてばかりの勉強は、
あまり好きではありません。
でも、自分が興味のあることは、食いつきます。
塾の復習をするときは、「今日、先生はどんなおもしろい話をしてくれたの?」
と子どもの好奇心を刺激すると、得意になってたくさん話してくれるでしょう。
そうやって子どものタイプに合わせて好奇心を刺激し、
勉強の取り組ませ方を教えてあげるのです。
低学年のこの時期に大事なのは、好奇心を育てること。
そして、自分の行動は結果につながるということを実感させることです。
その土台がしっかりできていれば、
4年生になってからスタートする受験勉強も乗り越えていけるでしょう。