第576回 女子中の入試問題 平面図形 2
「第576回 女子中の入試問題 平面図形 2」
前回から、近年の女子中の入試で出された「平面図形」の問題を取り扱っています。
2回目は前回に引き続き「角の大きさ」から、大問形式の問題を見ていこうと思います。
【問題】下の図のように、正方形PQRSの4つの角から同じ形の直角二等辺三角形を切り取り、正八角形ABCDEFGHを作りました。以下の問いに答えなさい。
(1)角アの大きさは何度ですか。
(2)角イの大きさは何度ですか。
(3)三角形APBと三角形FGIの面積の比を、最も簡単な整数の比で表しなさい。
(香蘭女学校中等科 2021年 問題4 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
ABCDEFHGは正八角形なので、HGとAFは平行ですから、角ア=角HGIです。
また、正八角形の1つの外角の大きさは、
360度÷8=45度
です。
角BGSは90度なので、
角ア=90度-45度=45度
です。
答え 45度
(2)
正八角形は線対称な図形ですから、HDを折り目として折り返すとAとG、BとFは重なり、また、HDは交点Iを通ります。
ですから、三角形IBFは二等辺三角形とわかり、(1)で求めた角アが外角となります。
45度÷2=22.5度
角AFEは90度ですから、
イ=90度-22.5度=67.5度
です。
答え 67.5度
(3)
正八角形の1辺の長さを2とすると、三角形の底辺や高さは次の図のようになります。
三角形APBの面積:三角形FGIの面積
=(2×1÷2):(2×2÷2)
=1:2
答え 1:2
本問は、正多角形の性質を利用して解く問題で、「□=偶数の正□角形は線対称な図形であり、しかも点対称な図形」、「□=奇数の正□角形は線対称な図形」という知識が活用できるかを確認できる問題でした。
では、もう1問です。
【問題】次の問いに答えなさい。
(1)図1の印をつけた角の大きさの合計を求めなさい。
(2)図2の印をつけた角の大きさの合計を求めなさい。
(3)図3の印をつけた角の大きさの合計を求めなさい。
(頌栄女子学院中学校 2021年 問題3)
【考え方】
(1)
□角形の内角の和=180度×(□-2)を利用します。
180度×(6-2)=720度
答え 720度
(2)
[解法1]三角形を作る
次の図のように補助線を2本引いて2つの三角形を作ります。
三角形の内角の和は180度なので、
●+▲+×=180度=○+△+×
↓
●+▲=○+△
右側の三角形でも同じように考えると、印のついた角の合計は、四角形1つ分と三角形2つ分になることがわかります。
360度+180度×2=720度
答え 720度
[解法2]凹部を外側に「ふくらます(凸を作る)」
図のように内側にある四角形を外側に「ふくらませ」ます。
×の角の大きさが等しいので、赤色の網目部分の四角形にある3つの角の和は、それぞれ「ふくらませた」四角形の赤色の3つの角の和の大きさと同じです。
従って、残りの4つの角と赤色の6つの角を見ると、(1)と同じ六角形になっているので、印をつけた角の大きさの和は720度です。
答え 720度
(3)
(2)の[解法2]を利用すると、次の図のようになります。
180度×(12-2)=1800度
答え 1800度
本問は、角の和の大きさが等しくなるように図形を変形し、「□角形の内角の和=180度×(□-2)」を利用して解く問題でした。
小問(2)の類題はテキストにもありますので、本問を正解できないときは、そちらに戻って復習をしてみましょう。
今回は、近年の女子中の入試問題の中から、「角の大きさ」をテーマとした大問形式の問題をご紹介しました。
「角の大きさ」について基本を学ぶときは「わかる角の大きさを図に書きこむ」という方法を通して角度問題の知識を増やし、応用問題を取り扱うようになったらその知識を利用して「何に着目すればよいか」「どの知識が使える問題か」のように、1ランク上の解き方ができるようになれるといいですね。