第565回 女子中の入試問題 比と割合 2
「第565回 女子中の入試問題 比と割合 2」
2021年度の女子中の入試で出された「比と割合」の問題について、前回から見てきています。
2回目の今回は、「比と割合」の文章題(基本)について考えていこうと思います。
【問題】A、B、Cの3つの地域があり、
(Aの人口):(Bの人口)=5:12
(Bの人口):(Cの人口)=8:7
となっています。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)3つの地域の人口の比を求めなさい。
(2)BからAに1200人、Cに4400人がそれぞれ移動したところ、
(Aの人口):(Cの人口)=2:5
となりました。移動後のBの人口を求めなさい。
(学習院女子中等科 2021年 問題2)
【考え方】
(1)「連比」の問題です。
答え 10:24:21
(2)「倍数変化算」の問題です。
移動する前後のAとCに着目します。
移動前のAの人口を10□、Cの人口を21□として、比例式を作ります。
(10□+1200人):(21□+4400人)=2:5
比例式では内項の積と外項の積は等しいですから
(21□+4400人)×2=(10□+1200人)×5
分配のきまりを利用して
42□+8800人=50□+6000人
8□=2800人
1□=350人
です。
350人×24=8400人…移動前のBの人口
8400人-5600人=2800人
答え 2800人
本問の(1)はBの人口を最小公倍数にそろえる連比の基本問題、(2)は倍数変化算とよばれる倍数算の基本問題でした。
では、次の問題を見ていきます。
【問題】Aさんは1200円、Bさんは900円を持って店に行き、1冊( )円のノートをそれぞれ4冊ずつ買ったら、Aさんの残金がBさんの2倍より80円少なくなりました。( )にあてはまる数を入れなさい。ただし、消費税は考えないものとします。
(湘南白百合学園中学校 2021年 問題1-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
「差一定」の問題です。
同じ金額の買い物をしても2人の所持金の差は変化しません。
Bの残金を1□円とすると、Aの残金は2□-80円です。
2□-80円-1□=300円
1□=380円…Bさんの残金
(900円-380円)÷4冊=130円
答え 130円
本問は同じ量だけ増えても(または減っても)差は変わらないことに着目する倍数算の基本問題です。
なお、差に着目する以外に、
1200-4○=2□-80
900-4○=1□
のように表して、消去算として解くこともできます。
では、3問目です。
【問題】A、B、Cの3人の所持金の合計は15600円です。3人がそれぞれ同じ金額だけ使うと、3人の所持金はそれぞれはじめの2/3、3/4、5/6になります。Aがはじめに持っていた金額はいくらですか。
(大妻中学校 2021年 問題3)
【考え方】
問題条件を線分図に表すと考えやすくなります。
線分図は、等しい量が線分図の左側にくるようにかくと、問題が解きやすくなります。
上の線分図より、
使うお金=はじめのAの所持金×1/3=はじめのBの所持金×1/4=はじめのCの所持金×1/6
という関係が見つかります。
使うお金を1□とすると、
はじめのAの所持金=3□
はじめのBの所持金=4□
はじめのCの所持金=6□
ですから、
3□+4□+6□=13□=15600円
1□=1200円
です。
1200円×3=3600円
答え 3600円
本問は「等しい比」に関する問題です。
上記では使うお金を1□として解きましたが、はじめのAの所持金×1/3=はじめのBの所持金×1/4=はじめのCの所持金×1/6という関係から、はじめのAの所持金:はじめのBの所持金:はじめのCの所持金=3:4:6とし、15600×3/13と比例配分する方法もあります。
今回は、2021年度の女子中の入試で出された「比と割合」から基本レベルの文章題を取り扱いました。
中でも「倍数算」は女子中の受験算数では大切であり、また基本となる文章題です。
比あるいは文章題の学習がすんでいるようでしたら、今回のような問題を通して「比と割合」の基本にヌケがないかを確認してみましょう。