第561回 女子校の入試問題 数の性質 2
「第561回 女子校の入試問題 数の性質 2」
前回より、2021年度の女子校の中学入試で出された「数の性質」の問題について考えています。
今回のテーマは「余り」です。
1問目は、「余り処理」の一行問題です。
【問題】32で割っても21で割っても5余る4けたの整数のうち、小さい方から2番目の整数を求めなさい。
(頌栄女子学院中学校 2021年 問題1-(3))
【考え方】
「余り処理」の問題は、問題の条件を割り算の式で表し、もし割り切れるとしたら…と考えていくことが解き方の基本です。
はじめに、求める4けたの整数を□として式に表します。
□÷32=☆あまり5
□÷21=★あまり5
余りが出るということは、割られる数が余りの分だけ小さければ割り切れるということです。
(□-5)÷32=☆
(□-5)÷21=★
これらの式から、□-5は32でも21でも割りきれる数、つまり、32と21の公倍数(最小公倍数672の倍数)であることがわかります。
□-5=672、672×2、672×3、…
求める整数は、4けたの整数のうち、小さい方から2番目の整数ですから、
□-5=672×3
↓
□=672×3+5=2021
です。
答え 2021
「余り処理」の問題には、「○÷?=☆あまり★」のように表せる約数が関係した問題と、「?÷○=☆あまり★」のように表せる倍数が関係した問題があります。
この単元の問題が苦手なときは、約数と倍数のいずれに関する問題かわかりやすくなりますので、問題条件を式に表して解くようにしてみましょう。
では、2問目です。
【問題】14で割ると、商と余りが同じになる整数はいくつかあります。それらの整数を全部足すといくつですか。
(吉祥女子中学校 2021年 問題1-(7))
【考え方】
これも「余り処理」の問題ですから、条件を式に表してみます。
□÷14=☆あまり☆
「割る数と余りの関係」から、☆(余り)は13以下と決まります。
「余り処理」の大切なポイントは、割り算の式だけで考えにくいときは「割り算の式をかけ算の式(割り算の確かめ算の式)に直す」ことです。
□÷14=☆あまり☆
↓
□=14×☆+☆=15×☆
上の式で☆は整数ですから、求める整数□は15の倍数であることがわかります。
☆は13以下なので、これらの整数の和は
15×13+15×12+15×11+…+15×2+15×1
=15×(13+12+11+…+2+1)
=15×(13+1)×13÷2
=1365
です。
答え 1365
3問目は「余り」がテーマの大問形式の問題です。
【問題】2つの整数A、Bに対して、AをBで割ったときのあまりがCであるとき、【A、B】=Cと表すことにします。たとえば、【122、5】=2、【48,16】=0、【15、【122、5】】=1です。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)【2021、【1000、47】】はいくつですか。
(2)【P、5】=3を満たす3桁の整数Pで最小のものを求めなさい。
(3)【Q、3】=2、【Q、5】=4をともに満たす整数Qのうち、2021に最も近いものを求めなさい。
(4)【R、3】=2、【R、5】=4、【R、7】=3を満たす整数Rのうち、最小のものを求めなさい。
(立教女学院中学校 2021年 問題3)
【考え方】
(1)
1000÷47=21あまり13
2021÷13=155あまり6
答え 6
(2)
問題の条件を割り算の式に表します。
P÷5=☆あまり3
上の式をかけ算の式に直すと
P=5×☆+3
となりますので、求める整数Pは5の倍数に3をたした数とわかります。
ですから、3桁で最小のものは、
5×20+3=103
です。
答え 103
(3)
割り算の式に表してみましょう。
Q÷3=☆あまり2
Q÷5=★あまり4
「?÷○=☆あまり★」のように表せる問題には、
① 余りが同じ
② 不足(=割る数-余り)が同じ
③ ①②以外
の3つの場合があります。
本問の2つの式はどちらも不足が1ですから、「② 不足が同じ場合」にあてはまります。
「不足が同じ」ということは、「もとの整数がその不足分だけ大きければ割りきれる」ということです。
したがって、求める整数Qに1を加えた数は3と5の公倍数ということになります。
Q+1=15×□
Qが2021に近ければよいので、
(2021+1)÷15=134あまり12
より、
□=134または135
とわかります。
15×134-1=2009
15×135-1=2024
答え 2024
(4)
問題の条件をよくみると、【R、3】=2、【R、5】=4の部分は、(3)と同じ意味であることに気づけます。
ですから、求める整数Rは15の倍数より1小さい数のうち、7で割ると3余る数ということになります。
15の倍数-1 14 29 44 59
7で割ると3余る × × × ○
答え 59
本問は大問形式となっていましたが、解くために必要な考え方の基本ははじめの2問と同じで、そこに「?÷○=☆あまり★」のように表せる問題には3つの場合があるという知識が加わっています。
この3つの場合については、考え方の理由を理解した上で、以下のポイントを覚えておくようにしましょう。