速さ その10 ~速さの応用問題は確かに難しいが…~
こんにちは。中学受験情報局 算数主任の前田昌宏です。
今日は速さの10回目として、「速さの応用問題は確かに難しいのですが…」というテーマです。
速さの応用問題は本当に難物だと思います。
でも入試のことを考えると逃げてばかりもいられません。
そこで『本物の難題』はさておき、
難しそうだけど何とかなりそうな問題に、どんな問題があるかを探ってみましょう。
「難しそうに見えますが、この手の問題は○○すれば何とかなる!」の一番手は…
通過算!
通過算のポイントは6月6日のブログでも書いたように、
「絵をかけば解けるはずだ!」です。
今日はその絵のどこに着目するとよいかについて書いてみます。
【問題】
あるトンネルで、列車の先端が入ってから先端が出るまでの時間を計ったところ、特急列車は3分45秒、貨物列車は6分でした。特急列車の速さは、貨物列車の速さより毎時45km速いです。このとき、トンネルの長さは□mです。(灘中)
でました、灘中!
といっても、灘中の問題全てが超難問というわけではないんです。
この問題のように、5年生でも取り組める問題もあるんですね。
まず、
「先端が入ってから先端が出るまでの時間を計ったところ、特急列車は3分45秒」と
「先端が入ってから先端が出るまでの時間を計ったところ、貨物列車は6分」を
絵にします。
図①
図②
ところでお子さんの図はどちらですか?
いつも「列車の後ろ」を見ているから、今回も!
というお子さんは図②でしょうか?
通過算の絵には大切なコツがあります。
「列車が移動後に接している部分に着目する」ということです。
この問題の場合、
列車が移動して、その「先端」がトンネルの出口と接触していますから、
「列車の先端」部分がどう動いたかを線分図にすると…、
図②のようになります。
さて、「線分図は距離の条件を利用する」が大原則でしたね?
この原則に従って図②をみると、
「どちらも移動距離が同じ」
ということに気づけます。
(図②の方が気づきやすいでしょ?)
距離が同じ場合は、時間の比と速さの比とは逆比の関係ですから、
時間の比 特急:貨物=5:8
↓
速さの比 特急:貨物=⑧:⑤
速さの差③=時速45km より、貨物列車の速さは時速75kmとわかります。
ここでもう一度絵を見ると、求めたいトンネルの長さと「→」が同じですから、
時速75km × 6/60時間 = 7.5km → 答え 7500(m)
通過算の場合は、「速さと比」の関係が比較的わかりやすいので、
まずは通過算で自信をつけると上手くいきそうですね。