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第550回 共学校の立体図形 4

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図形の練習問題 2021年05月29日18時00分
「第550回 共学校の立体図形 4」


今回も前回に引き続き、近年に共学校の中学入試で出された「立体図形」の中から立体の切断に関する問題を取り扱います。


今回は直方体や直方体が組み合わさった立体を切断する問題を見ていこうと思います。


1問目は直方体の切断です。




【問題】
20210526150738.jpg右の図は直方体をななめに切断したときにできる立体です。この立体の体積を求めなさい。



(江戸川学園取手中学校 2020年 問題1-(4))








【考え方】
切断によって直方体が「2等分」されたと考え、下の図のように切断されてできた立体と同じ立体(厳密には高さが入れ替わった立体です)をつけたしてもとの直方体にもどします。

20210526150832.jpg


上の図より、底面積が36cm2で高さが17cmの直方体を「2等分」したものが問題の立体ですから、

6cm×6cm×(5cm+12cm)÷2=306cm

が答えです。

答え 306cm




ところで、答えを求めた式を見てみると、

(5cm+12cm)÷2

の部分は切断してできた立体の「向かい合う高さの平均」を計算する式になっています。


このことを図で表すと次のようになります。

20210526152051.jpg


このように、直方体を切断してできた立体の体積の求め方には、反対向きに同じ立体をつけた方法と、向かい合う高さの平均を利用する「高さ平均」とよばれる解き方があります。



20210526150958.jpg





では、2問目を見ていきましょう。


【問題】
下の図のような、すべての角が直角な立体があります。このとき、次の問いに答えなさい。

20210526151033.jpg

(1)立体の表面積を求めなさい。

(2)頂点A、B、L、Kを通る平面で、この立体を切断しました。切断されてできた立体のうち、頂点Fを含む立体の体積を求めなさい。

(東邦大学付属東邦中学校 2020年 問題5)








【考え方】
(1)
底面が六角形ABCDEFの角柱として計算します。


角柱の表面積=底面積×2+底面の周りの長さ×立体の高さ

ですから、

(8cm×8cm-4cm×5cm)×2+8cm×4×6cm=280cm

です。

答え 280cm


(2)
切断の3原則にそって問題図の立体を切断していってもよいのですが、直方体が組み合わさった立体の切断は苦手だなというときは、次のような「美しい立体」を利用する解き方を試してみてください。


はじめに問題図の立体に直方体をつけたして「美しい形」である直方体を作り、その直方体を切断します。

20210526151148.jpg


次につけたした直方体に、点Pを通るように上の図の切断面をかき加えます。

20210526151214.jpg


以上より、問題図の立体を切断してできる立体は、三角柱ALF-MKEから三角柱BQC-MPDを取り除いたものとわかります。

20210526151238.jpg

8cm×6cm÷2×8cm-4cm×3cm÷2×5cm=162cm

答え 162cm





本問のように凹凸のある立体を切断するときは、切断する立体を「美しい形」にしておき、

①「美しい立体」を切断
 ↓
②つけたした立体を切断

の順に進めていくと、切断面の作図がしやすくなります。


20210526151345.jpg




今回は、近年に共学校の中学入試で出された「立体図形」の中から、直方体や直方体が組み合わさった立体を切断する問題について考えました。


ご紹介した「高さ平均」や「凹凸のある立体の切断は美しい立体にして切断する」といった解法をぜひ身につけて、立体図形の切断問題で得点が伸ばせるようになりましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2021年05月29日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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