第 548回 共学校の立体図形 2
「第548回 共学校の立体図形 2」
前回から、近年に共学校の中学入試で出された「立体図形」の問題を取り扱っています。
2回目の今回は、「積み木」をテーマとした立体図形の問題を見ていこうと思います。
では、1問目です。
【問題】
1辺が1cmの立方体をすきまなく積み重ねて、右の図のような立体を作りました。次の問いに答えなさい。
(1)立方体の数は何個以上何個以下といえますか。
(2)立方体の数がもっとも多い個数となるとき、この立体の表面積を求めなさい。
(法政大学中学校 2020年 問題5)
【考え方】
(1)
積み木(立方体)の個数を求める問題では、真上から見た図に真正面や真横から見える個数を書くことが、解き方の基本です。
積み木が最も少ないときは、真正面から見た個数を1回ずつ図の中に書き込み、残りは「1個」を書きます。
4個+3個+2個+1個×4=13個
積み木が最も多いときは、真正面から見た個数を縦にすべて書きます。
4個×2+3個×2+2個×3=20個
答え 13個以上20個以下
(2)
「積み木の表面積」の求め方は、投影図(真正面・真横・真上から見た図)を利用する方法と立体を水平にスライスしていく方法の2つが基本です。
今回は(1)でかいた投影図を利用してみます。
解説用の見取り図とセットにすると、真正面や真横から見える正方形の面の数は各列の最も大きい数と同じ、真上から見える正方形の面の数は真上から見た図の正方形の数と同じということがわかります。
真正面から見える面の数と裏側から見える面の数、真横(右)から見える面の数と真横(左)から見える面の数、真上から見える面の数と真下から見える面の数はそれぞれ同じですから、
4面+3面+2面=9面…真正面から見える正方形の面の数
4面+2面+4面=10面…真横から見える面の数
3面+1面+3面=7面…真上から見える正方形の面の数
(9面+10面+7面)×2=52面 → 52cm2
が表面積として求められたように思えます…が、この問題ではこれ以外に真正面、真横、真上のいずれの向きからも隠れて見えない面があります。
最後にこれを加えます。
(4面+3面)×2=14面
52面+14面=66面 → 66cm2
答え 66cm2
本問は、積み木を隙間なく積み重ねたときの個数の求め方、隠れて見えない面を含めた表面積の求め方が確認できる問題です。
見取り図や投影図は、立体図形の問題を解く上で欠かすことのできない条件整理方法です。
まずは、上記のような積み木の問題で使いこなせるかをチェックしてみましょう。
では、もう1問見ていきます。
【問題】
図1のような、1辺の長さが1cmの立方体Aがたくさんあります。図2は、たて、横がそれぞれ1cmずつに区切られている長方形です。このマスに沿ってAを並べたり、重ねたりします。図3の数字はそれぞれのマスに置いたAの個数を表していて、これを上、正面、横から見ると図4のように見えます。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)Aを右のように置き、正面、横から見るとどのように見えますか。図4にならって、解答らんの図に定規は使わずに書きなさい。
(2)(1)でできた立体の表面積は何cm2ですか。
(3)Aを並べたり、重ねたりして、体積が14cm3の立体を作りました。この立体を正面、横から見ると下のように見えます。この立体を上から見るとどのように見えますか。図4にならって、解答らんの図に定規は使わずに書きなさい。
(山手学院中学校 2020年 問題5)
【考え方】
(1)
前問と同じように、上から見た図に、正面から見える正方形(立方体の面)の個数、横から見える正方形の個数を書き込みます。
このとき、図3の立体を左から見ると右の図のようになりますから、この問題の「横」は「右」を意味していることに注意します。
答え (解説の図を参照)
(2)
(1)の立体の見取り図をかくと次のようになることからもわかるように、本問の立体にも「隠れて見えない面」があります。
このことは、上から見た図からもわかります。
隠れて見えない面も向かい合わせにあることから、正面、横、上の3方向から見える面と隠れている面の面積の和を2倍すると表面積が求められます。
(7cm2+6cm2+10cm2+2cm2)×2=48cm2
答え 48cm2
(3)
立体の体積が14cm3ですから、立方体の個数は14個です。
そこで、立方体が最も少ない場合の個数を考えてみます。
正面から見える正方形の個数と横から見える正方形の個数を上から見た図にかくと次のようになります。
この図から、少なくとも3個×2=6個の位置がわかり、また、図の★は少なくとも1つが1個、残りは0個または1個ということもわかります。
また、正面から見て一番左と右に2個の正方形が見えることになります。
残りの立方体の個数は、
14個-(6個+4個)=4個
ですから、★はすべて1個となります。
今回は、「積み木」をテーマとした問題について考えました。
積み木の問題では、真正面、真横、真上から見た図である投影図が大切であることがわかりましたが、この投影図は見取り図とも関連していますから、見取り図がかけることも同様に重要です。
テストでは制限時間がありますから見取り図をかく余裕はないかもしれません。
従って、家庭学習などにおいて投影図から見取り図をかく練習を積み、テストの時は投影図だけでも隠れた面の有無がわかり、表面積を求められるようになることが理想的だといえます。