第547回 共学校の立体図形 1
「第547回 共学校の立体図形 1」
これまで、近年に共学校の中学入試で出された「平面図形」の問題を見てきましたが、今回からは「立体図形」について考えていきます。
立体図形の問題には、表面積や体積を求める問題、見取り図や展開図に関する問題、立体を切断する問題、水そうに水やおもりを入れる問題などがあります。
その中から、今回は、立体図形の表面積がテーマの問題を取り扱います。
1問目は入試でもよく出される回転体に関する問題です。
【問題】
右の図で、ABを軸に1回転させてつくる立体の表面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(明治大学付属中野八王子中学校 2020年 問題3-(5))
【考え方】
回転体の表面積を求める問題では、回転軸を線対称の軸とした図をかき加え、それをもとに見取り図をかくのが、解き方の基本です。
上の見取り図より、求める面積は、円すいの側面積、円柱の側面積、円柱の底面積とわかります。
円すいの側面は展開図に表すとおうぎ形になりますので、その面積を計算すればよいのですが、ここでは「円すいの側面積=母線×底面の半径×円周率」という「円すい専用」の計算公式を用いることにします。
また、「柱体の側面積=底面の周りの長さ×柱体の高さ」も利用します。
8cm×4cm×3.14=32cm2×3.14…円すいの側面積
8cm×3.14×8cm=64cm2×3.14…円柱の側面積
4cm×4cm×3.14=16cm2×3.14…円柱の底面積
(32cm2+64cm2+16cm2)×3.14=112cm2×3.14=351.68cm2
答え 351.68cm2
本問は回転体の表面積を求める基本問題です。
側面積の計算方法、「×3.14」をまとめて計算するなどの基本が押さえられているかが確認できる問題でした。
2問目は、今の問題の応用ともいえる問題です。
【問題】
図のような直角三角形と正方形を組み合わせた図形を、直線ABを軸として1回転させてできる立体の表面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(慶應義塾中等部 2021年 問題3-(5)問題文一部変更)
【考え方】
基本レベルの問題では、回転させる図形が回転の軸に接していますが、応用レベルになると本問のように回転の軸から離れています。
そのため、回転の軸に向けて補助線をかき加える必要があります。
はじめに前問と同じ手順で、見取り図をかきます。
上の図より、求める立体は上下2つの立体が組み合わさったものであることがわかりますので、それぞれに分けて考えていきます。
(上側の立体の側面積)
次の図のように補助線を引いて、「円すい台=円すい(大)-円すい(小)」という計算ができるようにします。
三角形ACDと三角形ECFは相似比が12:7ですから、
13cm÷(12-7)×12=31.2cm…CD
31.2cm-13cm=18.2cm…CF
31.2×12cm×3.14-18.2cm×7cm×3.14=247cm2×3.14…アの面積
24cm×3.14×12cm=288cm2×3.14…イの面積
(下側の立体の側面積)
24cm×3.14×3cm+18cm×3.14×3cm=126cm2×3.14
最後にこの立体を下から見ると「穴の開いた円」が見えます。
(12cm×12cm-7cm×7cm)×3.14=95cm2×3.14…底面積
したがって、この立体の表面積は、
247cm2×3.14+288cm2×3.14+126cm2×3.14+95cm2×3.14
=756cm2×3.14
=2373.84cm2
です。
答え 2373.84cm2
※今回は表記の関係で用いませんでしたが、「面積比」を用いた計算の工夫ができるとベターです。
本問も解き方の基本は1問目と変わりませんが、「補助線を引く」、「上下に分けて考える」などの工夫が必要でした。
ですが、順々に計算をしていけばよい問題ともいえますので、間違えたときはどの面の面積を求めるところで誤ったかを確認するようにしましょう。
今回は、近年に男女共学校で出された「立体図形」の1回目として、回転体の表面積の問題を取り扱いました。
ご紹介しましたように、回転の軸から離れた図形を回転させる問題は正解が得にくくなります。
体積は間違わないのだけれども、表面積は苦手だということがありましたら、見取り図をかくことができるか、側面積などの公式を覚えているか、計算の工夫ができているかなどを、今回のような問題を利用してチェックしてみましょう。
これまで、近年に共学校の中学入試で出された「平面図形」の問題を見てきましたが、今回からは「立体図形」について考えていきます。
立体図形の問題には、表面積や体積を求める問題、見取り図や展開図に関する問題、立体を切断する問題、水そうに水やおもりを入れる問題などがあります。
その中から、今回は、立体図形の表面積がテーマの問題を取り扱います。
1問目は入試でもよく出される回転体に関する問題です。
【問題】
右の図で、ABを軸に1回転させてつくる立体の表面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(明治大学付属中野八王子中学校 2020年 問題3-(5))
【考え方】
回転体の表面積を求める問題では、回転軸を線対称の軸とした図をかき加え、それをもとに見取り図をかくのが、解き方の基本です。
上の見取り図より、求める面積は、円すいの側面積、円柱の側面積、円柱の底面積とわかります。
円すいの側面は展開図に表すとおうぎ形になりますので、その面積を計算すればよいのですが、ここでは「円すいの側面積=母線×底面の半径×円周率」という「円すい専用」の計算公式を用いることにします。
また、「柱体の側面積=底面の周りの長さ×柱体の高さ」も利用します。
8cm×4cm×3.14=32cm2×3.14…円すいの側面積
8cm×3.14×8cm=64cm2×3.14…円柱の側面積
4cm×4cm×3.14=16cm2×3.14…円柱の底面積
(32cm2+64cm2+16cm2)×3.14=112cm2×3.14=351.68cm2
答え 351.68cm2
本問は回転体の表面積を求める基本問題です。
側面積の計算方法、「×3.14」をまとめて計算するなどの基本が押さえられているかが確認できる問題でした。
2問目は、今の問題の応用ともいえる問題です。
【問題】
図のような直角三角形と正方形を組み合わせた図形を、直線ABを軸として1回転させてできる立体の表面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(慶應義塾中等部 2021年 問題3-(5)問題文一部変更)
【考え方】
基本レベルの問題では、回転させる図形が回転の軸に接していますが、応用レベルになると本問のように回転の軸から離れています。
そのため、回転の軸に向けて補助線をかき加える必要があります。
はじめに前問と同じ手順で、見取り図をかきます。
上の図より、求める立体は上下2つの立体が組み合わさったものであることがわかりますので、それぞれに分けて考えていきます。
(上側の立体の側面積)
次の図のように補助線を引いて、「円すい台=円すい(大)-円すい(小)」という計算ができるようにします。
三角形ACDと三角形ECFは相似比が12:7ですから、
13cm÷(12-7)×12=31.2cm…CD
31.2cm-13cm=18.2cm…CF
31.2×12cm×3.14-18.2cm×7cm×3.14=247cm2×3.14…アの面積
24cm×3.14×12cm=288cm2×3.14…イの面積
(下側の立体の側面積)
24cm×3.14×3cm+18cm×3.14×3cm=126cm2×3.14
最後にこの立体を下から見ると「穴の開いた円」が見えます。
(12cm×12cm-7cm×7cm)×3.14=95cm2×3.14…底面積
したがって、この立体の表面積は、
247cm2×3.14+288cm2×3.14+126cm2×3.14+95cm2×3.14
=756cm2×3.14
=2373.84cm2
です。
答え 2373.84cm2
※今回は表記の関係で用いませんでしたが、「面積比」を用いた計算の工夫ができるとベターです。
本問も解き方の基本は1問目と変わりませんが、「補助線を引く」、「上下に分けて考える」などの工夫が必要でした。
ですが、順々に計算をしていけばよい問題ともいえますので、間違えたときはどの面の面積を求めるところで誤ったかを確認するようにしましょう。
今回は、近年に男女共学校で出された「立体図形」の1回目として、回転体の表面積の問題を取り扱いました。
ご紹介しましたように、回転の軸から離れた図形を回転させる問題は正解が得にくくなります。
体積は間違わないのだけれども、表面積は苦手だということがありましたら、見取り図をかくことができるか、側面積などの公式を覚えているか、計算の工夫ができているかなどを、今回のような問題を利用してチェックしてみましょう。