第529回 共学校の文章題 3
「第529回 共学校の文章題 3」
新年あけましておめでとうございます。
今年も主任相談員ブログ「前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾」をよろしくお願いいたします。
さて、今は、2020年度に男女共学の中学校で出された入試問題の中から、「文章題」について考えています。
ここまで、つるかめ算、差集め算(過不足算)、平均算、仕事算を見てきました。
その結果、1行問題は問題ごとの基本公式が押えられていれば正解でき、少し応用的な問題になると条件整理が問題を解く鍵となっていることがわかりました。
そこで、今回は長文の「文章題」を取り扱おうと思います。
【問題】
ある工場には、A、B、Cの3種類の機械が何台かずつあり、メロンをそれぞれ一定の速さで箱詰めします。A、B、Cが1分間に箱詰めするメロンの個数の比は2:4:5です。はじめに箱詰めされていないメロンが工場内にいくつかあり、機械を動かし始めると同時にメロンが一定の速さで工場に運び込まれます。A4台、B3台を同時に使うと40分間で工場内のメロンはすべて箱詰めすることができます。また、B4台、C2台を同時に使うと25分間で工場内のメロンはすべて箱詰めすることができます。このとき、次の各問いに答えなさい。
(1) A3台、B2台、C4台を同時に使ってメロンを箱詰めします。機械が動き始めてから、工場内のメロンがすべて箱詰めされるまでに何分何秒かかりますか。
(2) A2台、B5台、C2台を同時に使ってメロンを箱詰めします。機械が動き始めてから、8分後にA2台が故障したので、そのままB5台、C2台を使いメロンを箱詰めしました。機械が動き始めてから、工場内のメロンがすべて箱詰めされるまでに何分何秒かかりますか。
(明治大学付属明治中学校 2020年 問題4)
【考え方】
「メロンが工場に運び込まれながら(邪魔をされながら)、機械がメロンを箱に詰める(仕事をする)」という問題ですから、ニュートン算です。
ニュートン算には、この問題のように名前がある(機械A、B、C)ものと、名前がない(例:牛20頭を放牧すると30日間で牧草を食べつくし~)ものがあります。
名前があるニュートン算を解くときは、「水そう解法」を用いると考えやすいでしょう。
(1)
問題の条件を「水そう解法」の絵にかき込みます。
「水そう解法」では、はじめに水そうに入っている水の量(仕事量)を時間の最小公倍数(または1)に仮定します。
仕事量を決めたら、次は1分間に減る仕事量を計算します。
この問題では、200□のメロンがそれぞれ40分、25分で空になりますから、
200□÷40分=5□/分
200□÷25分=8□/分
です。
この1分間に減る仕事量は、機械が箱詰めするメロンの個数(仕事)と工場に運び込まれてくるメロンの個数(邪魔)の差です。
この問題ではA、B、Cが1分間に箱詰めするメロンの個数の比は2:4:5となっていますので、
②×4台+④×3台-機械が箱詰めするメロンの個数=5□
④×4台+⑤×2台-機械が箱詰めするメロンの個数=8□
↓
⑳-機械が箱詰めするメロンの個数=5□
㉖-機械が箱詰めするメロンの個数=8□
↓
⑥=3□ → ①=0.5□
です。
ですから、
はじめに工場にあったメロンの個数200□=400○
1分間に工場に運び込まれてくるメロンの個数=⑳-⑩=⑩
とわかります。
ここまでくれば、あと一息で答えです。
問われていることを「水そう解法」で表します。
(⑥+⑧+⑳)-⑩=㉔…1分間に減るメロンの個数
400○÷㉔/分=16分40秒
答え 16分40秒
(別解)
線分図を利用して問題の条件を整理すると、次のようになります。
上の線分図の着目点から、
(②×4台+④×3台)×40分-(④×4台+⑤×2台)×25分=40分間に運び込まれたメロンの個数と25分間に運び込まれたメロンの個数の差
とわかります。
{(②×4台+④×3台)×40分-(④×4台+⑤×2台)×25分}÷(40分-25分)=⑩/分…1分間に運び込まれるメロンの個数
(②×4台+④×3台)×40分-⑩/分×40分=400○…はじめに工場にあるメロンの個数
以下は「水そう解法」の場合と同じです。
(2)
はじめに工場にあるメロンの個数、1分間に工場に運び込まれてくるメロンの個数がわかっていますので、(2)は前回も出てきました、分担の「仕事算」です。
②×2台+④×5台+⑤×2台-⑩=㉔…はじめから8分後までで1分間に減るメロンの個数
④×5台+⑤×2台-⑩=⑳…8分後から1分間に減るメロンの個数
8分+(400○-㉔×8分)÷⑳=18分24秒
答え 18分24秒
長文でしたが、条件を整理していくと、(1)は「ニュートン算」の基本問題であることがわかる問題でした。
今回は長文の「文章題」を取り上げました。
「名前のあるニュートン算」でしたので水そう解法を利用しましたが、別解のように線分図を用いて解くこともできます。
また、線分図を用いることが多い「名前のないニュートン算」でも水そう解法は利用できます。
しかし、難しいニュートン算の中には、水そう解法を知っているだけ、線分図で解くことができるだけでは厳しい問題もあります。
ニュートン算を習うときには、できるだけ両方の解法を身につけることが理想的だと思います。