第525回 女子中の場合の数 1
「第525回 女子中の場合の数 1」
これまで、2020年度に女子中で出された入試問題の「文章題」、「比と割合」、「速さ」、「平面図形」、「立体図形」、「数の性質・規則性」について見てきました。
今回からは、最後の単元となる「場合の数」について考えていこうと思います。
まずは、場合の数の基本となる「場合分け」の問題を取り扱っていきます。
【問題】
洋室と和室の2部屋があります。Aさん、Bさん、Cさんの3人がこの2部屋に入る方法は何通りあるか求めなさい。ただし、どちらの部屋にも少なくとも1人は入るものとします。
(晃華学園中学校 2020年 問題1-(5))
【考え方】
はじめに洋室と和室に入る「人数」について場合分けをし、その次にそれを誰にするかを決めます。
(洋室、和室)=(2人、1人)のとき
人数の少ない和室の入り方に着目すると、Aさん、Bさん、Cさんのいずれか1人が入りますので3通りあります。
そのいずれの場合も残りの2人が自動的に洋室に入ることになりますので洋室への入り方は1通りとなり、全部で
3通り×1通り=3通り
あります。
(洋室、和室)=(1人、2人)の場合も同様ですから、3通りです。
3通り+3通り=6通り
答え 6通り
本問を「人数→人名」の順で考えたように、「場合分け」を利用するときは、2段階に分けると考えやすくなります。
では、2問目です。
【問題】
りんご、みかん、ももの3種類のくだものが3個ずつあります。この中から好きなものを4個選ぶとき、何通りの選び方がありますか。ただし、選ばないくだものがあってもよいものとします。
(横浜雙葉中学校 2020年 問題1-(2))
【考え方】
本問も、はじめに果物の「個数」について場合分けをし、そのあとでどの果物にするかの2段階で考えていきましょう。
(3個、1個、0個)の場合
前問と同じように、樹形図をかくと次のようになります。
このことは、「りんごさんは3個、1個、0個のどれかを選べるから3通り、みかんさんは残った2つの個数から選べるから2通り、ももさんは最後に残った1つの個数になるから1通り」のように擬人化すると、
3通り×2通り×1通り=6通り
のような計算でも求められることがわかります。
残りの場合についても、樹形図と計算方法の2つの解き方をみていきます。
(2個、2個、0個)の場合
「2個」の果物が2種類、「0個」の果物が1種類ですから、種類が少ない「0個」の果物に着目すると、りんご、みかん、もものいずれかを0個にする3通りがあり、そのそれぞれについて「2個」の果物が1通りあります。
3通り×1通り=3通り
(2個、1個、1個)の場合
「2個」の果物が1種類、「1個」の果物が2種類ですから、(2個、2個、0個)の場合と同じように、種類が少ない「2個」の果物に着目すると、りんご、みかん、もものいずれかを2個にする3通りがあり、そのそれぞれについて「1個」の果物が1通りあります。
3通り×1通り=3通り
6通り+3通り+3通り=12通り
答え 12通り
前問で「人数→人名」の順に考えたのと同様に、本問も「個数→果物名」の順に考えていくと、抜けや漏れ、重複が防いで解くことができます。
続けて、3問目を見ていきましょう。
【問題】
大中小3つのさいころを投げたとき、出た目の和が15になる場合は、全部で何通りありますか。
(東洋英和女学院中学部 2020年 問題2-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
この問題も、これまでの2問と同じように、「目の数→さいころ名」の順に考えていくこともできますが、今回は、さいころの問題を解くときに便利な「六六表」を利用してみようと思います。
(六六表)
大+中=12の場合
「六六表」より大と中のさいころの出た目の和が12になるのは、(大、中)=(6、6)の1通りで、そのときに小のさいころの目が3であれば、3つのさいころの目の和が15になります。
1通り×1通り=1通り
大+中=11の場合
「六六表」より大と中のさいころの出た目の和が11になるのは、(大、中)=(6、5)、(5、6)の2通りで、そのときに小のさいころの目が4であれば、3つのさいころの目の和が15になります。
2通り×1通り=2通り
以下も同様に見ていきます。
大+中=10の場合は3通り、そのときの小のさいころの目が5の1通りですから、
3通り×1通り=3通り
です。
大+中=9の場合は4通り、そのときの小のさいころの目が6の1通りですから、
4通り×1通り=4通り
です。
1通り+2通り+3通り+4通り=10通り
答え 10通り
本問は「3つのさいころ」についての問題でした。
さいころの問題は、個数が2個であれば上記のように「六六表」を利用することができますので、3個のさいころの問題のときは、さいころを2個と1個に分けると考えやすいでしょう。
今回は、2020年度に女子中の入試で出された「場合の数」のうち、問題を解くときの基本となる「場合分け」について考えました。
「場合の数」を塾で習う場合、はじめは「樹形図」などの書き出しを利用して解き、その次に「順列」や「組み合わせ」などの計算方法、そして「場合分け」、最後に「特別な考え方」の4つの段階になることが多いと思います。
場合の数が苦手なときは、この4つの段階のどの部分の理解や定着に課題があるかを見つけて、その段階の問題に取り組むことで、正解を増
やしていくことができると思います。