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第512回 女子中の平面図形 2

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図形の練習問題 2020年09月05日18時00分

「第512回 女子中の平面図形 2」


近年の女子中入試の中から、「平面図形」の問題を見ています。


前回は「角の大きさ」に関する1行問題をご紹介しましたが、今回は「求積(面積を求める)」の問題について考えていこうと思います。


問題は、面積の公式と「解法知識」を使って解くものばかりですから、「図形の拡大と縮小(相似、辺の比と面積比)」の手前まで学習が進んでいれば、5年生でも十分に正解できると思います。


ぜひ、チャレンジしてみてください。


では、問題を見ていきましょう。




【問題】
下の図の影の部分の面積を求めなさい。ただし、方眼の1目は2cm、円周率は3.14とします。

20200831135131.jpg

(東洋英和女学院中学部 2020年 問題3)








【考え方】
円と円が重なっている図形ですので、「重なりは引く」という解き方を用います。


このとき、「重なりを引く回数」に注意します。

20200831135200.jpg



また、重なっている部分(影のついていない部分)は「レンズ形(葉っぱ形)」ですから、「(おうぎ形-三角形)×2」または「おうぎ形×2-正方形」で求めることができます。


20200831135238.jpg


2cm×2cm×3.14×1/4×2-2cm×2cm=2.28cm2 … レンズ形の面積

2cm×2cm×3.14×4-2.28cm2×3×2=36.56cm2 




本問は円周率が3.14ですから、「正方形の中のレンズ形の面積=正方形の面積×0.57」という計算方法でもよいと思います。




(別解)
上記の「重なりを引く」以外に、「弓形は移動して合体」という解き方もあります。


20200831135319.jpg


上の図のように、右上と左下の円から弓形を6つ切り取り、影のついていない部分に移動させると、正方形が3つでき、残りの水色の図形を合体させると円を1つ作ることができます。

4cm×4cm×1/2×3+2cm×2cm×3.14=36.56cm2 






では2問目です。




【問題】
図のようなABを直径とする円があります。斜線部分の面積は何cm2ですか。(円周率は3.14)


20200831135355.jpg

(洗足学園中学校 2020年 問題3-(2))








【考え方】
円に関する問題です。


「円問題の補助線は中心と円周上の点を結ぶ半径」を利用して解きましょう。


20200831135421.jpg

上の図のように補助線を引くと、次のような図形式を作ることができます。


20200831135444.jpg

図形式で、三角形OACはOA=OCですから直角二等辺三角形とわかりますので、おうぎ形CODの中心角は、

180°-(90°+30°)=60°

と求められます。


また、三角形OADは、底辺をOA=6cmとみると、角BQDが30°ですから、「30度問題」の考え方より、高さは

6cm(OD)÷2=3cm

です。  

20200831135533.jpg

6cm×6cm×1/2+6cm×6cm×3.14×1/6-6cm×3cm×1/2=27.84cm2


20200831135609.jpg






ここまでご紹介してきた2問は、「重なりは引く」や「円問題の補助線」といったような「解法知識」を用いて解く問題でした。


最後は「解法知識」の他に、「作図」も必要とする問題を取り扱おうと思います。






【問題】
1辺20cmの正方形の紙を3回折ります。3回折ってできる長方形の4つの角を2cmずつ切りとり、再び広げます。このとき、広げた紙の面積を求めなさい。

20200831135720.jpg
(頌栄女子学院中学校 2019年 問題4-(2))








【考え方】
折り紙の問題です。


折ってできる図形は線対称ですから、折り線を対称の軸とし、巻き戻すようにして折る前の図形をかいていきます。

20200831135753.jpg

20cm×20cm-2cm×2cm×1/2×32=336cm2   



なお、本問のように、常にもとの半分となるような折り方をすると、図形はもとの1/2の1/2の1/2となっていきますから、それを巻き戻すと、 20200831135816.jpgが、

2×2×2=8個分

あると、計算を利用して解くこともできます。


しかし、入試問題の中には「広げたときに空いている穴の部分の面積を求めなさい」といったようなものもありますから、「折る前の図がかける」ことも必要です。


20200831140055.jpg






今回は、近年の女子中入試で出された「平面図形」のうち、「求積(面積を求める)」の1行問題を見てきました。


図形の1行問題は、前回の「角の大きさ」がそうであったように、「解法知識」を身につけていると、素早く正確に解ける問題が多くあります。


ですから、ご紹介しました「重なりは引く」、「正方形の中のレンズ形の面積=四分円×2-正方形」、「円問題の補助線は中心と結ぶ半径」、「30度問題」などの「解法知識」を学ぶたびに、「解法知識専用まとめノート」や大きめの「単語カード」を作って、できるだけ多くの「解法知識」を覚えていくと、平面図形の得点を伸ばしてくことができると思います。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2020年09月05日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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