小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 中学入試の算数問題  -> 第480回 2020年度の中学入試 1

第480回 2020年度の中学入試 1

このエントリーをはてなブックマークに追加
中学入試の算数問題 2020年01月25日18時00分

「第480回 2020年度の中学入試 1」


1月18日から関西エリアで始まった2020年度の中学入試も、多くの中学校が今日までで終了しました。


そのうちの1校、全国レベルでも最難関の灘中学校では実質倍率が2.98倍と、近年では最も「狭き門」となりました。

20200124140333.jpg


例年通り、入試は国語、算数、理科の3科目で2日間にわたって行われ、国語の合格者平均点はマイナス0.7点(200点)と前年並み、算数はプラス36.6点(200点)と大幅に高くなり、理科はマイナス6.5点(100点)と下がりました。


次の表は、灘中学校の2020年度の入試結果をまとめたものです。

20200124140312.jpg


算数の合格者平均が高くなったのは、2019年度の入試問題と比べて取り組みやすい問題が多かったためだと思われます。


今年の中学入試の算数では、消費税をテーマとした問題の出題が予測されましたが、灘中学校でも1日目の算数に出題されていました。






2020年度 灘中学校 入試問題 算数1より 

問題2 太郎君は1000円を持ちコンビニへ商品Aを買いに行きました。コンビニの店内には飲食可能な場所があります。太郎君ははじめ、Aを5個買って店内で食べようと思っていましたが、店員に「持ち帰るなら消費税は8%だけど、店内で食べるなら消費税は10%だから4個しか買えないよ」と言われました。そこで、太郎君は4個だけ店内で食べ、1個を持ち帰ることにして、全部で5個買うことができました。Aの消費税抜きの値段は1個につき(   )円です。ただし、この値段には、1円未満の端数はありません。また、消費税は、持ち帰る商品の合計金額の8%と、店内で食べる商品の合計金額の10%の合計から、1円未満を切り捨てた金額とします。








【解答例】
「会話調」の問題文ですが、条件を整理すると次のようになります。

20200124140414.jpg


Aの消費税抜きの値段を①円とすると、「4個だけ店内で食べ、1個を持ち帰ることにして、全部で5個買う」ことができたのですから、その代金は1001円未満です。

①×4×1.1+①×1×1.08=1001 → ①=182.6… → Aの消費税抜きの値段は182円以下


また、「店内で食べるなら消費税は10%だから4個しか買えない」のですから、5個を店内で食べる場合の消費税込みの代金は1001円以上です。

①×5×1.1=1001 → ①=182 → Aの消費税抜きの値段は182円以上


以上から、Aの消費税抜きの値段は182とわかります。




本問では「消費税込み代金が1000円」として計算しても「182円」という答えを求めることはできますが、中には「複数解答」になる問題もありますから、「1円未満を切り捨てた金額」も考慮して計算できるようにしておくとよいと思います。






また、2020年は「オリンピック・イヤー」ということもあり、日暦算も出題候補の1つでしたが、灘中学校の1日目の算数でも出題がありました。






2020年度 灘中学校 入試問題 算数1より 

問題4 ある工場では、毎日休みなく製品を作っています。一日あたりに作る製品の個数は、月曜日から金曜日までが同じで、土曜日は金曜日より少なく、日曜日は土曜日と同じです。ある年、この工場で6月に作った製品は372個、9月に作った製品は366個でした。この年の、6月1日は(①  )曜日で、7月に作った製品は(②  )個でした。








【解答例】
こちらも条件を整理すると次のようになります。

20200124140743.jpg


また、6月と9月は小の月ですから、4週間と2日です。

20200124140606.jpg


上の図より、6月の製造個数372個と9月の製造個数366個の差の6個は、6月の「ア+イ」と9月の「ア+イ」の差であることがわかります。


さらに「ぐるぐるカレンダー」を書いてみると、6月と9月は曜日が1つずれていることもわかります。

20200124140631.jpg


ですから、6月の方が9月よりも製造個数が多くなるためには、6月と9月のカレンダーが次のいずれかになっていなければなりません。

20200124140819.jpg

A、Bいずれのパターンでも、6月と9月の「ア+イ」の差は「○個」1つと「□個」1つですから、○個-□個=6個です。



Aパターンの6月の場合 

○個×21日+□個×9日=372個 → (372個+6個×9日)÷30日=14.2個 … ○の個数が小数なので× 


Bパターンの6月の場合 

○個×22日+□個×8日=372個 → (372個+6個×8日)÷30日=14個 … ○の個数が整数なのでOK 


ですから、正しいのはBパターンの場合で、6月1日は木曜日、○個=14個、□個=8個と求められます。


Bパターンの場合、先の「ぐるぐるカレンダー」から、7月1日は土曜日だとわかりますので、7月の製造個数は、

(14個×5日+8個×2日)×4週+8個(土)+8個(日)+14個(月)=374

です。






本問は、「(2月を除く)小の月=4週間+2日」という日暦算の基本の考えをテーマにした問題です。


解く際は「ぐるぐるカレンダー」等を用いて小問①の解答にあまり時間をかけずにすむと、よかったのではないかと思います。




さて、今回は、1月18日に行われました灘中学校の1日目の算数の入試問題より、2020年度の中学入試の題材となることが予測されていた消費税と日暦算に関する問題をご紹介してきました。


次回も、2020年度の中学入試から問題を見てみようと思います。

mflog.GIF

このエントリーをはてなブックマークに追加
中学入試の算数問題 2020年01月25日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.