第478回 中学入試で出題される「規則性」 4
「第478回 中学入試で出題される「規則性」 4」
前回は、首都圏で行われる「1月校」の中学入試問題の中から、ここまで見てきた「規則性」をテーマにした問題を、2019年度の入試問題から選んでご紹介しました。
今回も前回に引き続き、「規則性」をテーマにした問題を2019年度の「1月校」の入試問題などから見ていこうと思います。
1問目は、受験者数が2000人を超えた浦和明の星女子中学校の第1回の入試問題からです。
2019年度 浦和明の星女子中学校 第1回(四谷大塚 80%偏差値 女子65)より
問題3
整数を1から順に何個か足し合わせてできる数は三角数とよばれています。次の図のように、三角形に並んだ点の数と等しいからです。
このことから、1番目の三角数は1で、2番目は3、3番目は6、4番目は10、……となることがわかります。また、奇数を1から順に何個か足し合わせてできる数は四角数とよばれています。次の図のように、四角形に並んだ点の数と等しいからです。
このことから、1番目の四角数は1で、2番目は4、3番目は9、4番目は16、‥‥‥‥となることがわかります。次の( ア )~( カ )に当てはまる数を答えなさい。
(1) 10番目の三角数は( ア )で、10番目の四角数は( イ )です。
(2) 100番目の四角数から100番目の三角数を引いてできる数は( ウ )番目の三角数になります。また、200番目の三角数の2倍に( エ )を足すと、201番目の四角数になります。
(3) 49番目の三角数は( オ )で、この数は( カ )番目の四角数でもあります。
【解答例】
(1)
1番目の三角数 1
2番目の三角数 1+2
3番目の三角数 1+2+3
4番目の三角数 1+2+3+4
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・
ですから、10番目の三角数は
1+2+…+10=55
です。
また、四角数は問題図のように「正方形」に点が並びますから、
「点の個数=(1辺の個数)×(1辺の個数)」
のように計算することができます。
1番目の四角数(1辺=1個) 1=1×1
2番目の四角数(1辺=2個) 1+3=2×2
3番目の四角数(1辺=3個) 1+3+5=3×3
4番目の四角数(1辺=4個) 1+3+5+7=4×4
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・
・
ですから、10番目の四角数は1辺に点が10個並びます。
1+3+…+(10番目の奇数)=10×10=100
答え ア 55、イ 100
(2)
(1)のように「計算」を利用して答えを求めることもできますが、次のように「図」を利用して解くこともできます。
例は、「6番目の四角数から6番目の三角数を引く」ことを図で考えたものです。
このように考えると、
「□番目の四角数-□番目の三角数=(□-1)番目の三角数」
になることがわかります。
ですから、100番目の四角数から100番目の三角数を引くと99番目の三角数になります。
このことを利用すると、200番目の三角数の2倍に201を足すと、201番目の四角数になることもわかります。
答え ウ 99、エ 201
(3)
49番目の三角数は、
1+2+…+49=(1+49)×49×1/2=1225
です。
四角数=1+3+…+□=(1辺の個数)2=(1から連続する奇数の個数)2
ですから、49番目の三角数1225は、
1225=5×5×7×7=(5×7)2=352
より、35番目の四角数とわかります。
答え オ 1225、カ 35
中学入試では、三角数、四角数の他に、五角数や六角数も出題されています。
「数の規則性」を学ぶときには、これらの数について、計算で求める方法と図形を利用する方法の両方を身につけることが理想的です。
2問目は、関西エリアで昨年の12月21日に行われ、受験者が1500名弱であった岡山中学校の2020年度の入試問題からです。
2020年度 岡山中学校 B方式(四谷大塚 80%偏差値 数値の記載なし)より
問題4
奇数を左から小さい順に並べ、1個、2個、3個、1個、2個、3個、…とグループに分けていきます。グループを左から1番目、2番目、3番目…とします。このとき、次の問いに答えなさい。
(1) 15番目のグループに入る数をすべて答えなさい。
(2) 50番目のグループに入る数をすべて答えなさい。
(3) 2019は何番目のグループに入りますか。
【解答例】
(1)
「1個→2個→3個」の6個1組を繰り返します。
繰り返す数列は「カレンダー型」に整理すると考えやすくなります。
また、並んでいる数が「奇数」ですから、これらを「1からの整数」に置き換えておくと計算がしやすくなります。
上の表から、
「赤字の数=(□番目のグループの)□×2」
となっていますから、15番目のグループには「28、29、30」番目の奇数が入っていることがわかります。
2×30-1=59
より、15番目のグループは55、57、59です。
答え 55、57、59<
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(2)
50÷3=16あまり2
ですから、50番目のグループはB列にあります。
(1)のようにC列にある51番目のグループの数は「100、101、102」番目の奇数ですから、50番目のグループの数は「98、99」番目の奇数です。
2×98-1=195
より、50番目のグループは195、197です。
答え 195、197
(3)
(2019+1)÷2=1010
より、2019は1010番目の奇数とわかります。
「1からの整数」に置き換えた表では、
「赤字の数=(□番目のグループの)□×2=6の倍数」
となっていますから、1010に近い6の倍数1014を利用します。
1014は、1014÷2=507より507番目のグループの3番目の数(赤字)とわかります。
つまり、507番目のグループの数が「1012、1013、1014」番目の奇数ですから、506番目のグループの数は「1010、1011」番目の奇数と求められます。
答え 506番目
本問は、1からの整数に置き換えなくても答えを求めることはできますが、置き換えると計算がしやすくなり、また、「1ずれる」といった失点も防ぎやすくなります。
ですから、数列の学習では、等差数列や等比数列などの計算公式の他に、「カレンダー型」の表に整理することや、「置き換え」についても取り組むことができるとよいと思います。