第471回 中学入試で出題される「数の性質」 2
「第471回 中学入試で出題される「数の性質」 2」
中学入試で出された「数の性質」の問題をご紹介しています。
前回は「数字の個数」の問題について考えましたが、「桁ばらし」や「デジタル解法」など、書き出しや樹形図の考え方を発展させた解き方が6年生の学習で使えるようになっていることが理想的だとわかりました。
そこで、今回は「数の個数」について見ていこうと思います。
5年生での学習にどんなことが加わってくるのでしょうか、さっそく問題を見てみましょう。
2017年度 帝京大学中学校 第1回(四谷大塚 80%偏差値 男子51・女子53)より
問題5
次のように、0、1、5、9の数字を含まない整数を小さい方から並べていきます。
2、3、4、6、7、8、22、23、24、26、27、28、32、33、34、・・・、88、222、・・・
この整数の並びについて、次の各問いに答えなさい。
(1) 2桁の整数はぜんぶで何個ありますか。
(2) 888は最初から数えて何番目になりますか。
(3) 2から888まで全部をたすといくつになりますか。
【解答例】
(1)
0、1、5、9の数字を含まないのですから、使える数字は2、3、4、6、7、8の6種類です。
場合の数の考え方を利用すると、次のようになります。
十の位…2、3、4、6、7、8の6通り
一の位…2、3、4、6、7、8の6通り
十の位6通り×一の位6通り=36通り → 36個
(2)
888はこの数の並びで3桁の最後の整数です。
(1)と同様にして、桁数毎に何個の整数があるかを求めます。
1桁の整数…6個
2桁の整数…36個
3桁の整数…百の位6通り×十の位6通り×一の位6通り=216通り → 216個
6個+36個+216個=258個 → 258番目
(3)
2桁の整数の和に1桁の整数の和を、3桁の整数の和に2桁の整数の和を利用する「踏み台解法」の考え方が利用できます。
① 1桁の整数の和
2+3+4+6+7+8=30
② 2桁の整数の和
2桁の整数を次のような表に整理します。
上の表の整数を、下1桁(一の位)と十の位に分けて和を求めます。
十の位が2~8のそれぞれについて、下1桁の和は①で求めた1桁の整数の和と同じですから、
30×6=180
です。
下1桁が2~8のそれぞれについて十の位の和は300ですから、
300×6=1800
です。
180+1800=1980
③ 3桁の整数の和
3桁の整数を次のような表に整理します。
百の位が2~8のそれぞれについて、下2桁の和は②で求めた2桁の整数の和と同じですから、
1980×6=11880
です。
下2桁が22~88のそれぞれについて、百の位の和は3000ですから、
3000×36=108000
です。
11880+108000=119880
従って、2~888の和は、
30+1980+119880=121890
です。
(別解1)
上のように表すと、
1桁の整数は「2と8」、「3と7」、「4と6」
2桁の整数は「22と88」、「23と87」、…、「48と62」
3桁の整数は「222と888」、「223と887」、…、「488と622」
のように和が等しい組を作ることができます。(対称性の利用)
1桁の整数の和 (2+8)×6個÷2=30
2桁の整数の和 (22+88)×36個÷2=1980
3桁の整数の和 (222+888)×216個÷2=119880
30+1980+119880=121890
(別解2)
「繰り返し」を利用して解くこともできます。
2~888の258個の整数の一の位は「2、3、4、6、7、8」の「組」を繰り返します。
(1組の和30)×(258個÷6個/組)=1290 … 一の位の和
22~888の252個の整数の十の位は「2が6個、3が6個、4が6個、6が6個、7が6個、8が6個」の「組」を繰り返します。
(1組の和30×6×10)×(252個÷36個/組)=12600 … 十の位の和
222~888の216個の整数の百の位は「2が36個、3が36個、4が36個、6が36個、7が36個、8が36個」あります。
30×36×100=108000 … 百の位の和
1290+12600+108000=121890
(別解3)
(別解2)の変形として「平均」を利用する解き方もあります。
一の位、十の位、百の位は、それぞれ「2、3、4、6、7、8」の6種類の数を「平等」に使っていますから、「平均」を利用することができます。
(2+3+4+6+7+8)÷6=5 … 6種類の数の平均
つまり、2を5に、3を5に、4を5に、…、8を5に、22を55に、23を55に、…、88を55に、222を555に、223を555に、…、888を555に置き換える考え方です。
一の位の和5×258個+十の位の和50×252個+百の位の和500×216個=121890
本問では(3)についてのみ別解をご紹介しましたが、(2)も「0抜きN進法」を使って求めることができるなど、何に着目するかによって複数の解き方があります。
このように、答えの出し方が1つしかない問題、いくつかの解き方がある問題の2種類の問題があることを知っておくと、新6年生になって「数の性質」を習うとき、「いま身につけておきたい解き方」、「スパイラル学習で次に同じ単元を学ぶときまでに身につけておきたい解き方」のように、その時点における習熟度や志望校に応じた学習ができるのではないかと思います。