第467回 中学入試で出題される「場合の数」2
「第467回 中学入試で出題される「場合の数」2」
前回は、中学入試で出される「場合の数」の問題の中から、「さいころの目の出方」を見ましたが、今回も引き続き、「さいころの目」の問題について考えていこうと思います。
2019年度 広尾学園中学校 一般入試 第1回 より
問題4
図のように、大きな円の円周上に等しい間かくでA、B、C、D、E、Fと書かれた小さい円を6個おきます。まず、円Aの位置に小石を置き、さいころをふって出た目の数だけ、小石が時計回り(矢印の方向)に小さい円の上を移動します。
(例)さいころを2回ふって、1回目と2回目のさいころの目がそれぞれ2、3であったとき、小石は円Aから円C、そして円Cから円Fに移動します。
次の問いに答えなさい。
(1) さいころを2回ふって小石を動かした後、小石が円Bの位置にあるような目の出方は何通りありますか。
(2) さいころを3回ふって小石を動かした後、小石が円Dの位置にあるような目の出方は何通りありますか。
(3) さいころを3回ふったとき、小石が1回目と2回目では円Dの位置には止まらず、3回目ではじめて円Dの位置に止まるような目の出方は、何通りありますか。
【解答例】
(1)
前回と同じように、さいころを2回ふって出た目の和と小石の止まる小さい円の位置を表に整理します。
表より、さいころを2回ふって小石を動かした後、小石が円Bの位置にあるような目の和は7だけですから、その目の出方は、
(1回目、2回目)=(1、6)~(6、1)
の6通りです。
(2)
(1)は前回ご紹介した海城中学校の問題と同じ解き方でしたが、今回の広尾学園中学校の問題は、小石の止まる位置が円A~Fの「6つ」、さいころの目が1~6の「6つ」で、どちらも同じ「6」であるという特別な条件に着目すると、(2)では「踏み台解法」を利用することができます。
「踏み台解法」は「1つ前の結果を利用」する解き方で、本問では「さいころを2回ふったときに止まる場合の数」が「1つ前の結果」にあたります。
さいころを2回ふると目の出方は
6×6=36通り
ありますが、そのとき小石は円A~Fの6つ円のどれかに止まっています。
もし、さいころを2回ふった後、
円Aに小石があれば3回目に3の目が出たときだけ小石は円Dに止まることができ、
円Bに小石があれば3回目に2の目が出たときだけ小石は円Dに止まることができ、
・
・
・
円Fに小石があれば3回目に4の目が出たときだけ小石は円Dに止まることができる、
のように、さいころを2回ふった後、小石が円A~Fのどの位置にあっても3回目に出る目はそれぞれ1通りしかありません。
1回目と2回目の目の出方 36通り×3回目の目の出方 1通り=36通り
(3)
1回目に小石が円Dに止まる目の出方は3以外の5通りです。
さいころを1回ふった後、もし、
円Aに小石があれば2回目に3以外の目が出れば小石は円Dに止まりませんし、
円Bに小石があれば2回目に2以外の目が出れば小石は円Dに止まりませんし、
・
・
・
円Fに小石があれば2回目に4以外の目が出れば小石は円Dに止まりません
から、さいころを2回ふった後、小石が円Dに一度も止まらない目の出方は、
5通り×5通り=25通り
です。
3回目にさいころをふって円Dに止まる目の出方は、(2)でも見たように、2回目にどの円に小石があってもそれぞれ1通りしかありませんので、
1回目と2回目の目の出方 25通り×3回目の目の出方 1通り=25通り
が(3)の答えです。
さいころをふってコマや小石などを動かす「すごろく」の問題は、コマや小石を移動させる位置が、前回ご紹介した海城中学校の問題のように「6ヶ所ではない」問題と、今回見ました広尾学園中学校の問題のように「ちょうど6ヶ所ある」問題とでは、工夫の仕方が異なります。
場合の数をまだ詳しく習っていない、あるいはあまり得意ではない5年生は、まずは、樹形図などを利用して解くことを練習すればよいでしょうし、すでに樹形図で解くことができるのであれば、前回や今回のように「問題の条件に応じた工夫」を身につけていくような学習ができればいいなと思います。