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第456回 合格をするために正解したい問題 1

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数の性質の練習問題 2019年08月10日18時00分

「第456回 合格をするために正解したい問題 1」


8月も中旬にさしかかりましたが、この夏が終わると6年生はいよいよ本格的に志望校別の傾向対策を進めていくことになります。


この志望校別の傾向対策では、入試レベルにおける基本問題=受験者平均を獲得するための問題、中級問題=合格最低点を獲得するための問題、上級問題=合格者平均を獲得するための問題、最上級問題=上位合格をするための問題などを学ぶことになると思います。


そこで、今回からは、これらの中から、合格最低点を獲得するために正解したい中級問題について考えていこうと思います。


その第1回目は「数の性質」に関する問題です。




【問題】
三角形を縦、横に並べ、それぞれの3つの角に1つずつ数字を書きこむことを考えます。はじめに、1行目の1列目の三角形には「1」、「2」、「3」の3つの数字を書きこみ、1行目の他の三角形には、左隣の三角形の同じ位置の数よりそれぞれ1ずつ大きい数を書きます。このように書きこむと下の図のようになります。

20190807151103.jpg

次に、2行目の三角形には、1行目の同じ列にある三角形の数字をそれぞれ2倍した数を書きます。3行目の三角形には、1行目の同じ列にある三角形の数字をそれぞれ3倍した数を書きます。このように書きこむと下の図のようになります。

20190807151123.jpg

以下、4行目以降も同様です。後の問いに答えなさい。

(1)  4行目の5列目の三角形に書かれた3つの数を小さい順にすべて答えなさい。

次にある特定の数について、その数が書かれた三角形が全部で何枚あるかを考えます。たとえば、
・「1」が書かれた三角形は、1行目の1列目の1枚
・「2」が書かれた三角形は、1行目の1列目、1行目の2列目、2行目の1列目の3枚
です。

(2) 「5」が書かれた三角形は全部で何枚ありますか。

(3) 「21」が書かれた三角形について考えます。
①「21」が書かれた三角形がある行は全部で4つあります。その4つの行は何行目ですか。すべて答えなさい。

②「21」が書かれた三角形は全部で何枚ありますか。

(4)「10」が書かれた三角形は全部で何枚ありますか。

(5)「36」が書かれた三角形は全部で何枚ありますか。途中の式や考え方なども書きなさい。








【解答例】
「数の規則性」に関する問題ですから、ふだん学んでいる「数列」や「数表」と同じような形に整理し直します。

20190807151314.jpg


問題の規則を確認するため、(1)と(2)は実際に書いて探してみます。

20190807151332.jpg


(1) 20、24、28  

(2)
 4  

(3)
(1)、(2)で書き出してみると、1行目は1の倍数、2行目は2の倍数、3行目は3の倍数、…という規則がはっきりと把握できましたから、21がどんな数の倍数であるか=21の約数を考えればOKです。

21の約数は、1、3、7、21の4個ですから、1行目、3行目、7行目、21行目に21がでてきます。

1行目…(19、20、21)、(20、21、22)、(21、22、23)
3行目…(15、18、21)、(18、21、24)、(21、24、27)
7行目…(7、14、21)、(14、21、28)、(21、28、35)
21行目…(21、42、63)

答え ① 1行目、3行目、7行目、21行目  ② 10 

(4)
(3)と同じように考えます。

10の約数は、1、2、5、10の4つですから、10は

1行目…(8、9、10)、(9、10、11)、(10、11、12)
2行目…(6、8、10)、(8、10、12)、(10、12、14)
5行目…(5、10、15)、(10、15、20)
10行目…(10、20、30)

にあり、全部で9枚とわかります。 

答え 9 

(5)
36の約数(行の値)は1、2、3、4、6、9、12、18、36の9個です。

(3)、(4)から、各行を見たとき、その数が初めて出てくる位置が三角形の右下のときはその行には3枚、左下のときは2枚、上のときは1枚という規則も見つかります。

三角形の右下に初めて出てくる列(3枚ある行)…1行目、2行目、3行目、4行目、6行目、9行目、12行目
三角形の左下に初めて出てくる列(2枚ある行)…18行目
三角形の上に初めて出てくる列(1枚ある行)…36行目

ですから、

3枚×7+2枚×1+1枚×1=24

が答えです。

(出典:吉祥女子中学校 2018年度入試 第1回 問題5)






本問は、「数の性質」の中の「数の規則性」で学ぶ「数表(周期タイプ)」の類題です。


入試問題の最終問題であり、また問題文が非常に長いので一瞬気後れするかも知れませんが、問題の条件を把握することができれば「似たような問題を解いたことがある」と気づけるでしょう。


また、類題を解いたことがなかったとしても、6年生はこれから学ぶ入試問題を中心とした志望校別の傾向対策で類題に取り組む機会があるでしょうし、5年生は「デイリーサポート」など基幹講座の教材でこれから取り扱われるでしょう。


そして、それらの経験と知識を身につければ、この問題も正解できるようになると思います。


今回は、合格最低点を獲得するために正解したい中級問題について、「数の性質」に関する問題をご紹介しました。


次回は「比と割合の問題」について見てみようと思います。

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数の性質の練習問題 / 中学入試の算数問題 2019年08月10日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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