第455回 学校別サピックスオープン 2
「第455回 学校別サピックスオープン 2」
今回は、前回ご紹介したサピックスの「学校別サピックスオープン 開成①」の後半の2問について見ていきます。
サピックス 学校別サピックスオープン 開成①(2017年9月18日実施)より
問題3 1より小さい、分母が2以上N以下の整数である分数について、次のような操作を1、2、3の順に従い行います。
操作1:これ以上約分できない分数を左から小さい順に並べ、数列Aをつくる
操作2:数列Aの左から順に隣り合った分数について差を求め、1番目の分数と2番目の分数の差を1番目に、2番目の分数と3番目の分数の差を2番目に、…といったように並べ、数列Bをつくる
操作3:数列Bの左から順に隣り合った分数について和を求め、1番目の分数と2番目の分数の和を1番目に、2番目の分数と3番目の分数の和を2番目に、…といったように並べ、数列Cをつくる
例えば、分母が2以上3以下の分数について、この操作を行うと、数列A、数列B、数列Cはそれぞれ上の(例)のようになります。以下の問いに答えなさい。
(1) 右のように、分母が2以上4以下の分数について、この操作を行いました。ア~キにあてはまる分数を答えなさい。
(2) 分母が2以上5以下の分数について、この操作を行います。
① 数列Aの分数を左から順にすべて書きなさい。
② 数列Bのすべての分数の和を求めなさい。
(3) 分母が2以上30以下の分数について、この操作を行います。
① 数列Bのすべての分数の和を求めなさい。
② 数列Cのすべての分数の和を求めなさい。
【解答例】
(1)
1/4-1/3=1/12 … ア
1/2-1/3=1/6 … イ
2/3-1/2=1/6 … ウ
3/4-2/3=1/12 … エ
1/12+1/6=1/4 … オ
1/6+1/6=1/3 … カ
1/6+1/12=1/4 … キ
(2)-①
分母が2以上5以下の分数は次の通りです。
従って、数列Aは1/5、1/4、1/3、2/5、1/2、3/5、2/3、3/4、4/5です。
(2)-②
式を1行にすると「帳消し」ができます。
(1/4-1/5)+(1/3-1/4)+(2/5-1/3)+(1/2-2/5)+(3/5-1/2)+(2/3-3/5)+(3/4-2/3)+(4/5-3/4)=4/5-1/5=3/5
(3)-①
数列Aで一番小さい分数は1/30、一番大きい分数は29/30ですから、数列Bの和は
29/30-1/30=14/15
です。
(3)-②
「規則性」を見つけるために、(1)の数列BとCの関係を見てみると、数列Cは
オ+カ+キ=ア+イ+イ+ウ+ウ+エ
となっていて、数列Bの最小の数アと最大の数エが1回ずつ、その他は2回ずつ足されていることがわかります。
ですから、
数列Cの和=数列Bの和×2-(数列Bの最小の数+数列Bの最大の数)
です。
14/15×2-{(1/29-1/30)+(29/30-28/29)}=28/15-(1/870+1/870)=1622/870=1 376/435
数列Bの和を求めるときに「帳消し」を利用すると、(3)-②で数列Cの和を求めるときも「何か工夫ができそう」と気づけます。
また、(3)の問題条件が「30以下」とすべてを調べるのは「無理な値」ですから、「規則性がある」ことも予測できます。
(1)~(3)-①までは正答率が高いと思われますので、(3)-②で差がつきそうです。
では、このテストの最後の問題です。
問題4 図1のような立体を「四角すい」といい、その体積は、(底面の四角形の面積)×(高さ)÷3で求めることができます。1辺の長さが12cmの立方体ABCD-EFGHと、底面が1辺12cmの正方形で側面が4つの同じ大きさの二等辺三角形でできた高さが6cmの四角すいXがたくさんあります。立方体ABCD-EFGHの面に四角すいXを貼り合わせて立体をつくります。次の問いに答えなさい。
(1) 図2のように、立方体ABCD-EFGHの面ABCDに四角すいXを1個貼り合わせて立体Yをつくりました。
① 立体Yの体積を求めなさい。
② 辺ADの真ん中の点をM、辺BCの真ん中の点をNとするとき、角OMNの大きさを求めなさい。
(2) 図3のように、立方体ABCD-EFGHの面のすべてに四角すいXを6個貼り合わせて立体Zをつくりました。
① 点Oを通って面AEFBに平行な面で立体Zを切断します。このとき、切断面の面積を求めなさい。
② 辺OA上にOP:PA=2:1となる点Pをとり、点Pを通って面AEFBに平行な面で立体Zを切断します。このとき、切断面の面積を求めなさい。
【解答例】
(1)-①
12cm×12cm×12cm+12cm×12cm×6cm÷3=2016cm3
(1)-②
上の図より、角OMN=45°
(2)-①
上の図より、
12cm×12cm+12cm×6cm÷2×4=288cm2
(2)-②
点Pを通る「大きな正方形」で立体Zを切断すると、切断面は下の図の影をつけた部分になります。
上の図より、
12cm×4/3=16cm … 赤い正方形の1辺
6cm×2/3=4cm … 赤い正方形の四隅にある直角二等辺三角形の直角をはさむ辺
16cm×16cm-4cm×4cm÷2×4=224cm2
問題4も前問と同様に、(1)~(2)-①までは正答率が高いと思われますので、(2)-②で差がつきそうです。
立体図形の投影図をかく練習ができていれば決して難しい問題ではありませんので、不正解の場合はデイリーサポートの終りにある切断の問題で振り返りをしてみましょう。
今回は、サピックスの「学校別サピックスオープン 開成①」の後半の2問について見てきましたが、①正確な計算力と作業力、②規則性があることを予測する力、③作図力が問われていました。
今回ご紹介した「学校別サピックスオープン 開成①(2017年9月実施)」のテストは、問題2を除くと、夏期講習前までに取り組んだデイリーサピックスやデイリーサポート、これまで受けてきたサピックスオープンなどのテストについて、理解を深めるまちがい直しができていれば正解が十分に期待できます。
しかし、夏期講習で振り返りのための家庭学習の時間が十分に取れないようであれば、代わりに夏期講習教材で不安のある問題を中心に解き直しと解説の読み直しをするなどして、「学校別サピックスオープン」に備えることができればいいなと思います。