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第446回 人気中学校の入試問題 5 ~白百合学園中学高等学校~

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中学入試の算数問題 2019年06月01日18時00分

「第446回 人気中学校の入試問題 5 ~白百合学園中学高等学校~」


首都圏で人気のある学校の問題をご紹介しています。


5回目は一般入試が2月2日に1回だけ行われている白百合学園中学高等学校です。


前回ご紹介した香蘭女学校中等科と同じく、高校からの募集を行わない中高一貫校です。


国公立や難関私立大学への進学者が多い点や、比較的小規模で面倒見がよい、語学や国際交流プログラムがあるという点でも人気のある女子中です。


その白百合学園中学高等学校の2019年度の入試状況は次の通りです。

20190529125622.jpg


算数が他の教科と比べて点数が低いにもかかわらず、合格者平均と受験者平均の差が最も大きいという入試結果になっています。


それでは、実際の問題を見ていきましょう。






2018年度 白百合学園中学高等学校 入試問題より 算数 

大問1 あるお店で、赤、緑、黄の3種類の紙を販売しています。1枚の値段はそれぞれ50円、20円、10円です。次の問いに答えなさい。

(1) 桜子さんが3種類の紙をあわせて29枚買ったところ、代金は820円でした。緑と黄の枚数が同じであったとき、赤の紙を何枚買いましたか。

(2) ゆり子さんは3種類の紙を買いにお店に行きました。予定では、赤と黄の枚数の比は3:4、緑と黄それぞれの購入金額の比は5:2となるはずでしたが、紙が足りず、予定の枚数を買えないことがわかりました。そこで緑を2枚、黄を1枚少なくして買ったところ、緑と黄のそれぞれの購入金額の比は12:5になりました。ゆり子さんは合計で何円はらいましたか。








【解答例】
(1)
「緑と黄の枚数が同じ」という「条件付き」の3種のつるかめ算ですから、表を利用します。

20190529124230.jpg


上の表より、630円÷70円=9ですから、右に9回進めばよいので、

29枚-2枚×9=11

が赤の紙の枚数です。


(2)
緑と黄の「購入金額の比」を「枚数の比」に表します。

20190529124302.jpg


予定と実際の枚数の違いを整理すると、

20190529124318.jpg

となるので、

(⑤-2枚):(④-1枚)=6:5 → ㉕-10枚:㉔-6枚  ①=4枚 

より、予定の緑の紙は20枚、予定の黄の紙は16枚とわかります。


また、予定の赤と黄の枚数の比は3:4でしたから、予定の赤の紙は

16枚×3/4=12枚

となります。


ですから、ゆり子さんが支払った金額は

50円×12枚+20円×(20枚-2枚)+10円×(16枚-1枚)=1110

です。






大問1は、(1)が「3種のつるかめ算」、(2)が「比の積・商+倍数変化算」で、「文章題」の定番問題の中ではやや難しい部類に入る問題でした。




白百合学園中学高等学校の入試問題は、大問1が計算+1行問題、大問2から少しずつ難しくなるという、比較的入試に多い問題構成とはちがい、大問1からやや難しめの問題に対応しなければ行けません。


また、大問5問で試験時間40分、過程をかくことが求められる解答用紙という「時間に厳しい試験」ですから、多少難しくても定番問題であれば「スラスラと手が動く」レベルになっておくことが必要でしょう。




では、もう1問です。




20190529124433.jpg大問4  右の図1は、円すいを底面に平行な平面で切ったときにできた立体の見取り図で、図2は図1の展開図です。ABの長さが底面の半径に等しく、切り口の面積と底面の面積の比が1:9、表面積を528cm2とします。このとき、立体の側面(図2の斜線部分)の面積を求めなさい。


















【解答例】
円すい台は回転体の1つですから、断面図を描いて考えます。


「切り口の面積と底面の面積の比が1:9」より、切り口の半径:底面の半径=1:3とわかりますから、断面図(右半分)は次のようになります。

20190529124522.jpg


「円すい台=円すい(大)-円すい(小)」で、円すい(大)と円すい(小)は相似形ですから、

20190529130304.jpg

となるので、側面積は

528cm2×12/22=288cm2

とわかります。






大問4も大問1と同様に定番の問題ではありますが、「母線×底面の半径×円周率=円すいの側面積」という公式や円すい台を「円すい台=円すい(大)-円すい(小)」として考えることなどひとつひとつの基本事項がきちんと使えるようになっていないと、「短時間で正解を導き出す」ことは難しいでしょう。




白百合学園中学高等学校の入試問題の算数は、「上っ面の学習」では正解を導き出すことが難しい問題ですが、特別な解法テクニックは必要としませんし、受験算数の基本が正しく身についていて、問題に応じて適切な解き方を選択でき、採点者に伝わるような過程を書くことができれば試験時間内に合格点をとることは十分に可能です。


大手進学塾の6年生の夏期講習は、多くの場合がこれまでの復習となりますので、塾のこれまでのテキストなどを利用して、どの単元やどんなタイプの問題を克服していきたいか受講前に明確にしておくと、夏期講習での効果を大きくすることができ、今回ご紹介したような入試問題にも役立つと思います。

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中学入試の算数問題 2019年06月01日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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