第417回 「平面図形」の勉強方法 5
「第417回 『平面図形』の勉強方法 5」
今回は、5年生が2学期に学ぶ「相似の応用…影の問題」について見ていきます。
題材は、首都圏の大手進学塾であるサピックスの平常教材「Daily Support」(過年度版)です。
「影の問題」は、中学入試では次のような問題が出されていますが、5年生ではこのような問題を解くための土台を学びます。
【入試問題】
右の図のように,水平な地面に直方体のコンクリートブロックと地点Aから垂直に立つ街灯があります。街灯に明かりがういたときに,地表上にできる影の部分(コンクリートブロックの置いてある地面をのぞく)を真上から見た様子を,解答欄に斜線を付けて示し,その面積を求めなさい。ただし右の図の数字の単位はすべてmとします。
(開成中 2008年より)
(解答)図略、40.5m2
このような影の問題が、最難関中を含めた多くの学校で出されています。
ですから、今回ご紹介する5年生の学習内容も、これまで同様、中学受験をする上で非常に重要なものとなっています。
では、「Daily Support」の問題を見てみましょう。
(D問題より)
ある時刻に木の影の長さを測ったら7.2mあり、同じ時刻に地面に垂直に立てた1mの棒の影の長さを測ったら1.2mでした。このとき、木の高さを求めなさい。
【解答例】
太陽光線は平行ですから、三角形ABCと三角形DEFは相似です。
上の図より、
⑥=7.2m なので、
木の高さは ⑤=6m
とわかります。
※7.2m:1.2m=6:1より、1m×6=6m のように計算してもOKです。
このようにこの回に学ぶ「影の問題」では、前回に学んだ「直角三角形の相似」を利用しますので、前回の学習が不十分なようでしたら、この回の学習に入る前に復習をして、相似の計算を正確にできるようにしておくことが必要です。
前問では問題を解くために必要な図が与えられていましたが、レベルが上がると「補助線を自分でかく」ことが求められるようになります。
(D問題より)
右図は木の影のようすです。同じ時刻に1mの棒をまっすぐに立てたとき、棒の影は2mでした。xは何mですか。
【解答例】
影の問題は「直角三角形の相似」の応用ですから、「直角三角形を作る」ように補助線をひけばOKです。
上記以外にも直角三角形をつくる方法はありますが、(補助線1)が最も一般的な補助線でしょう。
上の図より、
②=15m 15m-2.5m=12.5m
もう1問、今度はE問題からご紹介します。
(E問題より)
右図のように、幅13mの道路をはさんで、AビルとBビルが平行に建っています。1mの棒の影の長さが1.5mのとき、Bビルの影が24mありました。このとき、Bビルの屋上には、Aビルの影が2mうつっていました。Aビルの高さは何mですか。
【解答例】
これまでの問題とちがって、「見取り図」が与えられた問題です。
そこで、これまでの問題と同じように太陽光線が見える向きからの「投影図」を自分でかいて解きます。
上の図に、直角三角形ができるように補助線をかき加えます。
図より、
Bビルの高さは ②=16m で、
3□=15m → 2□=10m
ですから、
16m+10m=26m
がAビルの高さです。
このように「影の問題」は、レベルが上がるにつれ、「作図が重要なポイント」となっていきます。
これまで5回にわたって、5年生の2学期に学ぶ「平面図形」について見てきましたが、この時期に学ぶ「平面図形」の内容は、曲線図形や相似など、中学入試に直結する内容でした。
特に「辺の比と面積の比」は、学んだことを次の回にも利用するカリキュラムとなっていますから、毎回の学習内容を正しく身につけることが重要です。
また、「図形」という単元の性質上、問題のレベルが上がるにつれ「図を自分でかく」ことも必要となってきますので、家庭学習においては「問題図中にかき込んで解く」だけでなく、時間に余裕のある限り「図を自分でかいて解く」練習ができるといいですね。
さて、次回は、5年生が冬休み中に学ぶ内容について見ていこうと思います。