第713回 男子中の入試問題 平面図形 2
「第713回 男子中の入試問題 平面図形 2」
前回から、近年に男子中の入試で出された「平面図形」の問題を見ています。
今回は「求積」がテーマの問題を取り扱います。
1問目は、「図形の周りの長さ」の問題です。
【問題】下の図の四角形ABCDは長方形です。また、四角形EFGHは正方形です。AHの長さは532㎝、FCの長さは480㎝です。このとき、長方形ABCDの周りの長さを求めなさい。
(逗子開成中学校 2024年 問題2-(4))
【考え方】
長方形の周りの長さ=(たての長さ+横の長さ)×2 です。
そこで、長方形のたてと同じ長さである正方形の1辺の長さを□㎝とします。
長方形ABCDの横の長さは
AD=AH+FC-□㎝=1012㎝-□㎝
です。
よって、
長方形ABCDのたての長さ+長方形ABCDの横の長さ
=□㎝+1012㎝-□㎝
=1012㎝
となりますから、周りの長さは
1012㎝×2=2024㎝
です。
答え 2024㎝
本問は、長方形の周りの長さの求め方と重なりの考え方を確認できる問題です。
EH(=FG)をAHとFCの重なりと見ると、「重なりは引く」の考え方を利用できるところがポイントです。
2問目からは、曲線図形がテーマの問題です。
まずは、定番の問題です。
【問題】下の図のように、1辺の長さが4㎝の正方形の中に、おうぎ形と正方形をかきました。斜線部分の面積は何㎠ですか。ただし、円周率は3.14とします。
(佼成学園中学校 2024年 問題2-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
次のような図形式をかくことができます。
4㎝×4㎝×3.14×90度/360度-4㎝×4㎝×1/2
=12.56㎠-8㎠
=4.56㎠
答え 4.56㎠
本問は、面積の公式がない図形の求め方のうちの「全体から引く」と図形式の利用が確認できる問題です。
なお、解答例の他に、2つの斜線部分を合わせて弓形を作るという解き方もあります。
では、3問目です。
【問題】1辺の長さが5㎝の正方形の紙を16枚組み合わせて大きな正方形を作り、下の図のように円周の一部をかきました。●は円の中心を表します。次の問いに答えなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(1) 影をつけた部分の周りの長さは何㎝ですか。
(2) 影をつけた部分の面積は何㎠ですか。
(立教池袋中学校 2024年 問題2 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
影をつけた4つの図形は合同なので、そのうちの1つに着目します。
10㎝×2×3.14×90度/360度+5㎝×2×3.14×90度/360度+5㎝×2×3.14×90度/360度
=(10㎝+5㎝+5㎝)×2×3.14×90度/360度
=31.4㎝
31.4㎝×4=125.6㎝
答え 125.6㎝
(2)
弓形(小)を移動させると、次のような図形式で考えることができます。
10㎝×10㎝×3.14×90度/360度-10㎝×10㎝×1/2
=78.5㎠-50㎠
=28.5㎠
28.5㎠×4=114㎠
答え 114㎠
本問は、合同な図形が集まった図形の考え方と弓形の求め方を確認できる問題です。
最後も、曲線図形の問題です。
【問題】下の図のように円周を8等分する点があります。AB=2㎝のとき、斜線部分の面積は何㎠ですか。ただし、円周率は3.14とします。
(城北中学校 2024年 問題2-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
補助線が必要な円と面積の問題では、「円周上の点と円の中心を結ぶときにできる二等辺三角形やおうぎ形に着目する」ことが基本です。
360度÷8×2=90度 … 角AOBの大きさ
二等辺三角形OABの角AOBの大きさが90度ですから、三角形OABは直角二等辺三角形です。
直角二等辺三角形OABの底辺をABとすると
OD=2㎝÷2=1㎝ … 高さ
ですから、面積は
2㎝×1㎝÷2=1㎠
です。
次に、円Oの半径を□㎝とすると、直角二等辺三角形OABの直角をはさむ2辺の長さも□㎝ですから、
□㎝×□㎝÷2=1㎠ → □㎝×□㎝=2㎠
です。
□㎝×□㎝×3.14×90度/360度
=2㎠×3.14×90度/360度
=1.57㎠ … おうぎ形OBCの面積
ですから、斜線部分の面積は
1㎠+1.57㎠=2.57㎠
です。
答え 2.57㎠
本問は、円問題の補助線と半径の長さがわからないおうぎ形の面積の考え方が確認できる大切な問題です。
今回は、2024年度に男子中の入試で出された「求積」がテーマの問題をご紹介しました。
いずれの問題も基本レベルの問題ですが、図形問題を解く際に利用する重要な考え方を確認できる問題でもあります。
既習範囲であれば、どの問題も正解を目指しましょう。