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第402回 夏期講習で身につけておきたいこと 開成中対策 1

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受験算数と塾の使い方 2018年07月28日18時00分

「第402回 夏期講習で身につけておきたいこと 開成中対策 1」


夏期講習が始まって1週間が経過しました。


夏期講習全体のおよそ4分の1が終わったことになりますが、この夏に身につけておきたいこと、克服しておきたいことの計画は順調に進んでいるでしょうか。


もし、思っていたよりも毎日の学習量が多いためにうまく宿題をこなせていないようでしたら、明日の日曜日などを利用して、この1週間で無駄な時間がなかったかなどを振り返り、急いで1日や1週間の学習サイクルを修正していきましょう。


前回もご紹介しましたように、夏期講習のあとには、6年生にとって大切なテストがそれぞれの塾で予定されています。


さらには、サピックスの「学校別サピックスオープン」や早稲田アカデミーの「筑駒中オープン模試」など、志望校別のテストも目白押しです。


しかも、これらの志望校別のテストは、「問題は、対象となる学校の出題傾向を十分検討して作成されるので、来春入試の予想問題となっています。(中略)限りなく実入試に近づけているため、入試本番と同様に問題を解くことができます」(サピックスHPより)、「筑駒中の入試問題研究に基づいて来春入試を予測した(中略)やはり難度は高め。合否の分かれ目となる初見問題を集めた、極めて実戦的な模試」(早稲田アカデミーHPより)とのように、半年先の入試本番レベルであると説明されています。


ですから、これらの志望校別のテストを受験する場合、この夏の間にある程度のレベルまで学力を上げておくことが望ましいといえます。


そこで、今回は、開成中のこれまでの入試問題について見ていき、夏期講習の間に何を身につけておくことが理想かを考えてみようと思います。


まずは、開成中の過去10年間の出題分野を見ておきましょう。  

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この表から、過去10年間に大問形式で出された問題の分野は、「速さ」・「平面図形」・「立体図形」・「数」の各分野から多く出題されていることがわかります。


実際の問題はどのようなものだったのでしょうか。


一番よく出されている「速さ」について、直近5年間の問題を見てみます。




2018年度(大問形式の出題はありませんでした)

大問1-(3)
川の上流のA町と下流のB町の間を船で往復します。A町からB町までは42分かかり、B町からA町までは1時間52分かかります。船の静水での速さは川の流れる速さの何倍か答えなさい。船の静水での速さと、川の流れる速さはそれぞれ一定とします。




2017年度 
大問3
(1) 略 
20180716133102.jpg(2)  A地点とB地点の間に一本道があります。阿部君はこの道をA地点からB地点へ向かって分速50mで進みます。馬場君もこの道をB地点からA地点へ向かって一定の速さで進みます。二人は同時に出発し、B地点から250m 離れた地点ですれ違いました。また、阿部君がB地点に着いてから46分12秒後に、馬場君はA地点に着きました。右の図は、二人が出発してからの時間とA地点からの道のりの関係を表しています。二人が出発してからすれ違うまでにかかった時間をy分とするとき、yの値を求めなさい。




2016年度 
大問1 
2つの地点X、Yを結ぶ道があります。A君はXからYへ向かって、B君はYからXへ向かって移動し、地図上の中間地点Mで出会うことにしました。地図には等高線が描かれていなかったため、B君は、図1のように2人とも水平な道を移動すると考えました。B君は、自分がA君より速く移動できること、おのおのがつねに同じ速さで移動することの2つをふまえて、A君が出発してから15分後に出発しました。これで、2人はちょうどMで出会うはずでした。ところが、実際には図2のような下り坂がありました。x%の下り坂では移動する速さが、x%だけ増すことになります。ここで下り坂がx%であるとは、
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のことを指します。それでも無事に、2人はちょうどMで出会いました。このとき、以下の問いに答えなさい。なお、3辺の長さの比が3:4:5や5:12:13となる直角三角形を利用してもかまいません。

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(1)
①A君がXを出発してからMでB君に出会うまでに「実際にかかった時間」は、「事前にB君が想定していた時間」の何倍ですか。

②B君がYを出発してからMでA君に出会うまでに「実際にかかった時間」は、「事前にB君が想定していた時間」の何倍ですか。

(2) A君がXを出発してからMでB君に出会うまでに「実際にかかった時間」を求めなさい。




2015年度 
大問3 
右下図のようなランニングコースがあります。A地点とD地点の間の道は平らで長さは200m,B地点とC地点の間の道も平らで長さは100m,A地点からB地点へ向かう道は上り坂で長さは120m,D地点からC地点へ向かう道も上り坂で長さは180mです。ゆう君はA地点を,まさひろ君はD地点を同時に出発して,ゆう君はA→B→C→D→A→B→…の向きに,まさひろ君はD→C→B→A→D→C→…の向きに走ります。二人とも平らな道を毎分100mの速さで走ります。ゆう君はA地点からB地点までの上り坂を毎分84mで,C地点からD地点までの下り坂を毎分105mで走り,まさひろ君はD地点からC地点までの上り坂を毎分90mで,B地点からA地点までの下り坂を毎分126mで走ります。次の問いに答えなさい。
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(1)ゆう君,まさひろ君がこのコースを一周するのにかかる時間はそれぞれ何分ですか。

(2)ゆう君,まさひろ君はB地点とC地点の間ではじめてすれ違います。その地点はB地点から何mの場所ですか。

(3)ゆう君,まさひろ君がB地点とC地点の間で次にすれ違うのは,(2)で求めた場所からどちらへ何mずれた場所ですか。

(4)ゆう君,まさひろ君がはじめてA地点とB地点の間ですれ違うのは,走りはじめてから何回目にすれ違うときですか。またその地点はB地点から何mの場所ですか。



2014年度 
大問3 
20180716133813.jpgある架空の世界では、1日が10時間(午前5時間、午後5時間)、1時間が25分、1分が25秒に区切られていて、右の図のような時計を用いて時間を計っています。現在の時刻は午後2時5分0秒で、時計の短針(黒)、長針(白)、秒針は正しい時刻を指しています。この時計はこれからも正確に動くものとして、次の問いに答えなさい。

(1)これから時間が進んで最初に短針と長針が重なる時刻を求め、そのときの時計の3本の針を解答欄の時計の図にかきこみなさい。

(2)さらに時間が進んで最初に短針と長針がちょうど反対向きになる時刻を求め、そのときの時計の3本の針を解答欄の時計の図にかきこみなさい。

(3)現在(午後2時5分0秒)から、3本の針がすべて同じ向きになって重なる回数を数えます。ちょうど100回目となるのは何日後で、午前、午後のどちらですか。また、そのときの時刻を求めなさい。ただし、現在から2時間20分後の午前0時から1日後が始まるものとします。






このように、直近5年間に出された「速さ」の問題からは、次のような力が求められているといえそうです。

1.解法の理解度 
2014年度の時計算においては、2針の重なりの解き方が旅人算の考え方をもとにしたものであることや重なる時刻が規則的であることを理解できているかが問われました。

2.条件を正しく読み取る力 
2016年度の旅人算においては、「事前に想定していた時間」や「下り坂がx%」のようにこれまでの受験勉強で見たことのない言葉の意味を文中の説明から正しく読み取ることができるかが問われました。

3.正確な作業力 
2015年度の旅人算においては、周回コースでは出会う位置に規則性があることを正確に計算で求めることができるかが問われました。




夏期講習後に実施される各塾の開成中の模擬テストは入試本番レベルですから、当然、上記のような力を問う問題も出されるでしょう。


ですから、この夏期講習で、基本から応用までの解き方のマスターはもちろんのこと、なぜそのような解き方ができるのかという「解法の理解」、サピックスの夏期講習教材「サマー・サポート」であればD問題やE問題である程度の長さの問題文に慣れ、8月後半にある「夏期集中志望校錬成特訓」での入試問題の過去問演習で「長文問題の読み取り力」や「正確な作業力」をつけておくことが目標となります。


もし、このような目標に向けての学習が不十分だと思われるようでしたら、夏期講習はまだ始まったばかりですから、この1週間の学習状況をチェックし、来週以降の学習サイクルの見直しができればいいなと思います。

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受験算数と塾の使い方 2018年07月28日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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