第401回 夏期講習で身につけておきたいこと 3
「第401回 夏期講習で身につけておきたいこと 3」
6年生の夏期講習は、首都圏のサピックスでは7月20日から、四谷大塚や早稲田アカデミーは今日から、そして日能研は週明けの7月23日からです。
さて、前回はその6年生の夏期講習について見ましたが、その目的や内容は「総復習と苦手な単元の克服」と「2学期以降の志望校に向けた実戦的な学習に備えた」ものでした。
しかし、6年生には、「夏期講習」以外にも「特別な講座」が夏期中に用意されています。
サピックスでは「夏期集中志望校錬成特訓」が8月20日から26日まで(校舎によっては24日または25日まで)、四谷大塚では「選択単科講習」が8月21日から26日まで、夏期講習の終了後の8月後半に予定されています。
また、日能研では「オプション講座(校舎によって名称は異なります)」が夏期講習と並行して行われていますし、早稲田アカデミーや四谷大塚には「合宿」があります。
さらに、サピックスでは「有名中」とよばれる入試問題集からも宿題がだされますから、6年生は本当に忙しい毎日を送ることになります。
その他、2学期が8月27日から始まる小学校もありますが、早稲田アカデミーの夏期講習は8月30日まで、日能研の夏期講習も8月28日まで予定されていますので、夏期講習と学校が重なるケースもでてきそうです。
このように見てきますと、夏期講習期間中は、その受講と宿題をするだけで手一杯、とても夏期講習で学んだことの復習や苦手単元の克服に取り組む時間がないように思われます。
しかし、このハードなスケジュールが終わるとすぐに、サピックスでは8月マンスリー実力テストが、9月に入ると四谷大塚の第4回組分けテストや日能研の合格判定テスト、早稲田アカデミーではNN志望校別コースオープン模試など、6年生にとって大切なテストが行われます。
ですから、夏休みの後半は、これらのテストに向けた準備に取り組む時間を家庭学習の中に組み込んでおきたいところです。
もし、お盆期間が休みとなる塾であれば、その期間を利用して夏期講習の前半に学んだことについての復習やテスト直しをすることが可能です。
あとは、夏期講習の後半で学んだことの復習やテスト直しを、「いつ、どのようにするか」といった計画を立てておけばよいことになります。
ただ、男女御三家などの難関中が志望校である場合、前述の「特別な講座」を受講するケースが多いでしょうから、計画を立てることはなかなか難しいと言えそうです。
というのも、サピックスの「夏期集中志望校錬成特訓」を見てみますと、「過去問を徹底演習・1日360分・全5日間の特訓」(サピックスHPより)となっていますから、この特訓をやりきることだけでもかなり大変であることが予想されるからです。
実際に「夏期集中志望校錬成特訓」で取り扱う問題を見てみます。
サピックス「夏期集中志望校錬成特訓 開成コース」過年度教材より
【問題】
紙に図のように直角三角形ACE(AC=6cm、CE=4.5cm)をかき、各辺のまん中の点をB、D、Fとし、点B、C、D、E、Fに穴をあけます。次に糸のはしPを紙の裏側の点Aのところにとめておき、糸の他のはしQをBから表にひきだし、Cから裏にひきだします。つづいてD、E、Fの順に表、裏、表にひきだし、Qを点Aに重ねると糸はピンと張っていました。
(1)糸を切らないように紙に切れ目DEを入れます。裏にぬけてたるんだ糸をたるみがなくなるまで、Qを図の矢印の方向にひっぱって、点Aのところで切りはなしました。切りはなした糸の長さは何cmですか。
(2)直角をはさむ2辺の長さが3cmと4cmである直角三角形の残りの辺の長さは5cmです。このことを用いて、(1)で残った糸の長さは何cmですか。
【解答例】
(1)
次の図のようになります。
三角形CFEはCF=FEの二等辺三角形なので、CEの分だけ糸が短くなります。
答え 4.5cm
(2)
残った糸はAC、CF、FAなので、上の図より、6cm+3.75cm×2=13.5cm です。
答え 13.5cm
サピックスの「夏期集中志望校錬成特訓」の問題はそれぞれの学校の過去問ですから、現時点の6年生が正解することは難しいかも知れません。
しかし、上記の例が「DEに切れ目を入れるとどうなるか」がわかったあとは作図と計算だけであるように、入試レベルの問題はその糸口の発見が難しくても、糸口が見つかった後は1学期や夏期講習で学んだことがそのまま使えますから、「夏期集中志望校錬成特訓」が始まるまでの学習=夏期講習での学習が重要だとわかります。
ですから、「夏期集中志望校錬成特訓」での学習を活かし、直後にある大切なテストで好成績を得るためには、夏期講習で学んだことをどれだけ身につけられるかにかかっています。
授業時間中に身につけることができる量が多ければ多いほど、帰宅後の家庭学習も楽になり、翌日の塾でしっかりと学べるコンディションが保ちやすくなるという好循環をつくることができますから、夏期講習の期間中は、午前中の時間と帰宅後の時間をこれまで以上にうまく使うことがポイントになってくるといえそうです。