第712回 男子中の入試問題 平面図形 1
「第712回 男子中の入試問題 平面図形 1」
前回まで近年に男子中の入試で出された「速さ」の問題を見てきました。
今回からは「平面図形」を取り扱っていきます。
その1回目は「角の大きさ」について考えます。
1問目は「正多角形と角」の問題です。
【問題】下の図のように、正方形と正五角形が重なっています。正方形の頂点Aは正五角形の辺上にあり、正五角形の頂点BとCは正方形の辺上にあります。角xの大きさは何度ですか。
(世田谷学園中学校 2024年 問題1-(6) 問題文一部変更)
【考え方】
□角形の内角の大きさの和は「180度×(□-2)」で求められます。
{180×(5-2)}÷5=108度 … 正五角形の1つの内角の大きさ
また、対頂角(○)の大きさは等しく、三角形の内角の和は180度です。
20度+108度+○=○+90度+●
●=20度+108度-90度=38度
□=180度-(38度+108度)=34度
x=180度-(34度+90度)=56度
答え 56度
本問は、正多角形の1つの内角の大きさの公式や対頂角について確認ができる問題です。
なお、正五角形の1つの内角は、1つの外角の大きさを「360度÷5」で求め、それを180度から引いて求めることもできます。
2問目は「平行線と角」の問題です。
【問題】図のように平行な2本の直線と正五角形があります。角xの大きさは何度ですか。
(鎌倉学園中学校 2024年 問題3-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
前問で求めたように、正五角形の1つの内角の大きさは108度です。
○=360度-(108度×2+65度)=79度
●=180度-79度=101度
「イナズマ角」と呼ばれることのある問題と同じですから、2本の平行線に平行な補助線を引きます。
□=180度-101度=79度
平行線の錯角は等しいので、■=□=79度です。
△=108度-79度=29度=▲(平行線の錯角)
x=180度-29度=151度
答え 151度
本問は、「イナズマ角」の解き方を確認できる問題です。
なお、「平行線を引く」以外に、次のような「延長」という解き方もあります。
□=180度-101度=79度
□+△=108度(外角) → △=108度-79度=29度=▲
x=180度-29度=151度
3問目は「円と角」の問題です。
【問題】図の円上の点は円を9等分した点です。このとき、角アの大きさを求めなさい。
(海城中学校 2025年 問題1-(5))
【考え方】
補助線が必要な円と角の問題では、「円周上の点と円の中心を結ぶときにできる二等辺三角形に着目する」ことが基本です。
角イ=360度×3/9=120度
○=(180度-120度)÷2=30度
角ウ=360度×2/9=80度
●=(180度-80度)÷2=50度
赤色の四角形の4つの内角のうち、角ア以外の3つの角の大きさは
180度-30度=150度
180度-50度=130度
角エ=360度×1/9=40度
ですから、角アの大きさは
360度-(150度+130度+40度)=40度
です。
答え 40度
本問は、円と角の問題の補助線とその使い方を確認できる問題です。
「2本の半径を2辺とする二等辺三角形ができる」は大切な知識ですので、もし、忘れていたら必ず覚え直しましょう。
なお、解答例では最後に四角形に着目しましたが、次のように三角形に着目する解き方もあります。
最後は、「折り返しと角」の問題です。
【問題】図のように長方形をABを折り目として折り、さらにCDを折り目として折りました。角アの大きさは何度ですか。
(早稲田中学校 2025年 問題2-(1))
【考え方】
折り返しの問題は、折った順序と逆の順に戻した図をかくことが基本です。
折り返す前の図形と折り返した後の図形は合同ですから、同じ印の角(○、●)の大きさは同じです。
わかったことを問題図にかき込みます。
平行線の錯角は等しいので●=62度です。
赤色の三角形は二等辺三角形です。
■=180度-62度×2=56度
○=180度-(56度+81度)=43度=▲(平行線の錯角)
アは水色の二等辺三角形の外角ですから
ア=○+△=43度×2=86度
答え 86度
本問は、「折り返しと角」の考え方を確認できる問題です。
「折り返す前の図形と折り返した後の図形は合同」も、平面図形では大切な知識のひとつです。
今回は2024年度と2025年度に男子中の入試で出された「角の大きさ」の問題をご紹介しました。
今回見たように、角の問題を解くためには、角の大きさを求める公式の他にも、補助線の引き方、平行線と角の関係、合同の利用などの知識が必要です。
それぞれの問題を通して定着できていない公式や知識が見つかったときは、類題演習をして公式と知識をマスターしていきましょう。