第394回 2018年度中学入試の場合の数 4
「第394回 2018年度中学入試の場合の数 4」
2018年度の中学入試で出された「場合の数」の問題の中から、前回は「順序よく場合分けができる力」が必要な「道順問題」をご紹介しました。
そこで今回は「道順」以外で「順序よく場合分けができる力」が必要な問題について考えてみようと思います。
出題校は灘中学校です。
2018年度 灘中学校 入試問題 算数 第2日より
問題1 図のような形をしたタイルがそれぞれ何枚かあります。これらを裏返さずに壁に固定された枠の中にすき間なくぴったりはりつけます。
(1) 縦5cm、横10cmの長方形の枠の中に、4枚のタイルAをはりつける方法は全部で( )通りあります。
(2) 1辺の長さが10cmの正方形の枠の中に、4枚のタイルAと2枚のタイルBをはりつける方法は全部で( )通りあります。
(3) 縦10cm、横15cmの長方形の枠の中に、2枚のタイルBと2枚のタイルCをはりつける方法は全部で( )通りあり、4枚のタイルAと2枚のタイルCをはりつける方法は全部で( )通りあります。
(4) 縦10cm、横20cmの長方形の枠の中に、4枚のタイルAと2枚のタイルBと2枚のタイルCをはりつけます。このとき、2枚のタイルCの置き方は全部で何通りありますか。
【解答例】
(1)
縦5cm、横10cmの長方形を1辺の長さが5cmの2つの正方形に分けます。
左の正方形の部分に2枚のタイルAをはりつける方法は上の図のように2通りありますから、右の正方形の部分に2枚のタイルAをはりつける方法も2通りあり、4枚のタイルAをはりつける方法は全部で、2通り×2通り=4通り です。
(2)
(1)と同じように、1辺の長さが10cmの正方形を1辺の長さが5cmの4つの正方形に分けて考えます。
これらのア~エの4つの正方形のうち、2つの正方形に2枚のタイルBをはりつける方法は、4C2=6通り あり、残りの2つの正方形に4枚のタイルAをはりつける方法は(1)と同じように 2通り×2通り=4通りとわかります。
ですから、全部で 6通り×4通り=24通り のはりつけ方があります。
(3)
2枚のタイルCのはりつけ方を考えます。
図のうち、2枚のタイルBをはりつけることができるのは上側の4つだけですから、2枚のタイルBと2枚のタイルCをはりつける方法は全部で4通りです。
このとき、2枚のタイルBをはった場所は(1)と合同な長方形ですから、タイルBの代わりにタイルAをはりつける方法はそれぞれ4通りあります。
ですから下側の2つの場合と合わせて、4枚のタイルAと2枚のタイルCをはりつける方法は全部で 4通り×4通り+2通り=18通り です。
(4)
(3)を利用するため、縦10cm、横20cmの長方形を、縦10cm、横15cmの長方形と縦10cm、横5cmの長方形に分けます。
すると、上の図のように10通りのタイルCの置き方が見つかります。
これ以外の2枚のタイルCの置き方は、下の図のように正方形アと正方形イの中にタイルCが1枚ずつあるときです。
正方形ア、イの中にタイルCを置く方法はそれぞれ4通りずつありますから、4通り×4通り=16通り です。
10通り+16通り=26通り
(2)で(1)が、(4)で(3)が利用できたように、順序よく場合分けをすると、難しい問題でも正解することが可能です。
また、このときの入試では「問題1-(4)は、答え以外に文章や式、図なども書きなさい」という指示もありましたが、「順序よく場合分けする → 前問の考え方を利用する」ように問題を解くことで、解き方の説明をかくこともできたでしょう。
ですから、「場合の数」の学習では、
①樹形図などを利用した書き出し
②積の法則や和の法則、順列や組み合わせの計算方法
③順序よく場合分けをする
の3つの基本をマスターすることが大切だと思います。