第707回 男子中の入試問題 速さ 2
「第707回 男子中の入試問題 速さ 2」
前回より、2024年度に男子中の入試で出された「速さ」について考えています。
今回は前回の「旅人算」に続き、「池タイプの旅人算」を見ていきます。
1問目は基本レベルの問題です。
【問題】Aさん、Bさん、Cさんの3人は一定の速さで池のまわりの道を何周もジョギングします。3人とも同じ場所から同時に出発し、AさんとBさんは同じ向きに、CさんはAさんとBさんとは反対の向きに進みます。出発してから1分12秒後にAさんとCさんがはじめてすれちがい、その18秒後にBさんとCさんがはじめてすれちがいました。Aさんは出発してから2分15秒後にはじめて出発した地点に戻りました。
(1)Bさんがはじめて出発した地点に戻るのは、出発してから何分何秒後ですか。
(2)AさんがBさんにはじめて追いつくのは、出発してから何分後ですか。
(3)3人がはじめて同時に出発した地点に戻るのは、出発してから何分後ですか。
(芝中学校 2024年 問題6 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
1回目の出会いはそれぞれが1周し終わるまでにおこるので、直線状の線分図に表すことができます。
出発する地点をP、AさんとCさんが初めて出会う地点をQ、BさんとCさんが初めて出会う地点をRとします。
PQ間に着目します。
AさんはQからPまで(Aさんの○→□)に
2分15秒-1分12秒=135秒-72秒=63秒
かかり、CさんはPからQまで(Cさんの●→○)に 1分12秒=72秒 かかります。
AさんとCさんが同じ道のりを進む時間の比が
63秒:72秒=7:8
ですから、速さの比は逆比の 8:7 です。
Aさんの速さを毎秒8、Cさんの速さを毎秒7とします。
8×72秒=576 … PQ間(Aさんの●→○)の道のり
7×18秒=126 … QR間(Cさんの○→■)の道のり
576-126=450 … PR間の道のり
BさんはPからRまで(Bさんの●→■)を
1分12秒+18秒=90秒
で進みますから、Bさんの秒速は
450÷90秒=5
です。
また、Aさんは135秒で池の周りを1周するので、池のまわりの道のりは
8×135秒=1080
です。
1080÷5=216秒=3分36秒
答え 3分36秒後
(2)
池タイプの旅人算では
(池のまわりの道のり)÷(速さの差)=(追いつくまでの時間)
です。
1080÷(8-5)=360秒=6分
答え 6分後
(3)
池を1周するのに、Aさんは135秒、Bさんは216秒、Cさんは
1080÷7=1080/7秒
かかります。
135と216と1080/7の最小公倍数は1080です。
1080秒=18分
答え 18分後
本問の(1)は旅人算、(2)と(3)は池タイプの旅人算の基本が確認できる問題です。
なお、「A×135秒=(A+C)×72秒=(B+C)×90秒=池のまわりの道のり」から、池のまわりの道のりを1あるいは時間の最小公倍数に仮定する解き方もあります。
また、(3)では、速さの比が 8:5:7 であることから、Aさんが8周、Bさんが5周、Cさんが7周したときと考えて「135秒×8=1080秒=18分」のように求める、あるいは、Cさんの時間が初めて整数となるCさんが7周したときを調べる、という考え方もあります。
では、2問目です。
【問題】下の図のような池の周りを、高輪君はA地点から時計回りに、白金君はB地点から反時計回りに、同時に出発して回り続けます。白金君の速さは毎分72mで、出発してから8分後に2人は初めて出会い、その6分後に高輪君はB地点を通過しました。高輪君は2人が2回目に出会ってから384m進んだところで、ちょうど池を1周し、A地点を通過しました。次の問いに答えなさい。
(1)高輪君の速さは毎分何mですか。
(2)2人が2回目に出会ったのは、出発してから何分後でしたか。
(3)2人が初めてA地点で出会うのは、出発してから何分後ですか。
(高輪中学校 2024年 問題3)
【考え方】
(1)
2人が出発してから初めて出会い、その後、高輪君がB地点を通過するまでの様子を線分図に表します。
72m/分×8分=576m … 白金君の●→○
576m÷6分=96m/分
答え 毎分96m
(2)
1回目に出会った場所をC地点、2回目に出会った場所をD地点とします。
384m÷96m/分=4分 … 高輪君がD地点からA地点までにかかる時間
ですから、高輪君はD→A→Cと進むと
4分+8分=12分
かかります。
(1)の線分図より、同じ道のりを進むのにかかる時間の比が
高輪君:白金君=6分:8分=3:4
ですから、白金君がC→A→Dと進むと
12分×4/3=16分
かかり、これが1回目に出会ってから2回目に出会うまでの時間です。
8分後+16分=24分後
答え 24分後
(3)
高輪君はD→A→Cに12分、C→B→Dに16分かかりますから、池の周りを1周するのに
12分+16分=28分
かかります。
ですから、A地点を通過する時刻は28の倍数です。
白金君はB→Cに8分、C→Aに
8分×4/3=32/3分
かかり、その後、池を1周するのに
28分×4/3=112/3分
かかります。
ですから、A地点を通過する時刻は
8分+32/3分+112/3分×☆周=18 2/3分+37 1/3分×☆周
のように表せます。
高輪君がA地点を通過する時刻は整数ですから、18 2/3分+37 1/3分×☆周 も整数となるときを調べます。
☆=1のとき
18 2/3分+37 1/3分×1周=56分 → 28の倍数なので適します。
答え 56分後
本問は、池タイプの線分図の読み取りが確認できる問題です。
易しくはありませんが、定番問題のひとつでもあります。
今回は、2024年度に男子中の入試で出された「池タイプの旅人算」の問題をご紹介しました。
どちらの問題も旅人算の基本問題より難しいのですが、線分図の書き方や読み取り方、着目する部分の見つけ方の練習になります。
もし、この範囲を習い終えていたら、チャレンジしてみましょう。