小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 速さの練習問題  -> 第707回 男子中の入試問題 速さ 2

第707回 男子中の入試問題 速さ 2

このエントリーをはてなブックマークに追加
速さの練習問題 2025年01月25日18時00分

「第707回 男子中の入試問題 速さ 2」

前回より、2024年度に男子中の入試で出された「速さ」について考えています。

今回は前回の「旅人算」に続き、「池タイプの旅人算」を見ていきます。

 

1問目は基本レベルの問題です。

 

【問題】Aさん、Bさん、Cさんの3人は一定の速さで池のまわりの道を何周もジョギングします。3人とも同じ場所から同時に出発し、AさんとBさんは同じ向きに、CさんはAさんとBさんとは反対の向きに進みます。出発してから1分12秒後にAさんとCさんがはじめてすれちがい、その18秒後にBさんとCさんがはじめてすれちがいました。Aさんは出発してから2分15秒後にはじめて出発した地点に戻りました。

(1)Bさんがはじめて出発した地点に戻るのは、出発してから何分何秒後ですか。

(2)AさんがBさんにはじめて追いつくのは、出発してから何分後ですか。

(3)3人がはじめて同時に出発した地点に戻るのは、出発してから何分後ですか。

(芝中学校 2024年 問題6 問題文一部変更)

 

 

【考え方】

(1)

1回目の出会いはそれぞれが1周し終わるまでにおこるので、直線状の線分図に表すことができます。

出発する地点をP、AさんとCさんが初めて出会う地点をQ、BさんとCさんが初めて出会う地点をRとします。

PQ間に着目します。

AさんはQからPまで(Aさんの○→□)に

2分15秒-1分12秒=135秒-72秒=63秒

かかり、CさんはPからQまで(Cさんの●→○)に 1分12秒=72秒 かかります。

AさんとCさんが同じ道のりを進む時間の比が

63秒:72秒=7:8

ですから、速さの比は逆比の 8:7 です。

Aさんの速さを毎秒8、Cさんの速さを毎秒7とします。

8×72秒=576 … PQ間(Aさんの●→○)の道のり

7×18秒=126 … QR間(Cさんの○→■)の道のり

576-126=450 … PR間の道のり

BさんはPからRまで(Bさんの●→■)を

1分12秒+18秒=90秒

で進みますから、Bさんの秒速は

450÷90秒=5

です。

また、Aさんは135秒で池の周りを1周するので、池のまわりの道のりは

8×135秒=1080

です。

1080÷5=216秒=3分36秒

答え 3分36秒後

 

(2)

池タイプの旅人算では

(池のまわりの道のり)÷(速さの差)=(追いつくまでの時間)

です。

1080÷(8-5)=360秒=6分

答え 6分後

 

(3)

池を1周するのに、Aさんは135秒、Bさんは216秒、Cさんは

1080÷7=1080/7秒

かかります。

135と216と1080/7の最小公倍数は1080です。

1080秒=18分

答え 18分後

 

本問の(1)は旅人算、(2)と(3)は池タイプの旅人算の基本が確認できる問題です。

なお、「A×135秒=(A+C)×72秒=(B+C)×90秒=池のまわりの道のり」から、池のまわりの道のりを1あるいは時間の最小公倍数に仮定する解き方もあります。

また、(3)では、速さの比が 8:5:7 であることから、Aさんが8周、Bさんが5周、Cさんが7周したときと考えて「135秒×8=1080秒=18分」のように求める、あるいは、Cさんの時間が初めて整数となるCさんが7周したときを調べる、という考え方もあります。

 

では、2問目です。

 

【問題】下の図のような池の周りを、高輪君はA地点から時計回りに、白金君はB地点から反時計回りに、同時に出発して回り続けます。白金君の速さは毎分72mで、出発してから8分後に2人は初めて出会い、その6分後に高輪君はB地点を通過しました。高輪君は2人が2回目に出会ってから384m進んだところで、ちょうど池を1周し、A地点を通過しました。次の問いに答えなさい。

(1)高輪君の速さは毎分何mですか。

(2)2人が2回目に出会ったのは、出発してから何分後でしたか。

(3)2人が初めてA地点で出会うのは、出発してから何分後ですか。

(高輪中学校 2024年 問題3)

 

【考え方】

(1)

2人が出発してから初めて出会い、その後、高輪君がB地点を通過するまでの様子を線分図に表します。

72m/分×8分=576m … 白金君の●→○

576m÷6分=96m/分

答え 毎分96m

 

(2)

1回目に出会った場所をC地点、2回目に出会った場所をD地点とします。

384m÷96m/分=4分 … 高輪君がD地点からA地点までにかかる時間

ですから、高輪君はD→A→Cと進むと

4分+8分=12分

かかります。

(1)の線分図より、同じ道のりを進むのにかかる時間の比が

高輪君:白金君=6分:8分=3:4

ですから、白金君がC→A→Dと進むと

12分×4/3=16分

かかり、これが1回目に出会ってから2回目に出会うまでの時間です。

8分後+16分=24分後

答え 24分後

 

(3)

高輪君はD→A→Cに12分、C→B→Dに16分かかりますから、池の周りを1周するのに

12分+16分=28分

かかります。

ですから、A地点を通過する時刻は28の倍数です。

白金君はB→Cに8分、C→Aに

8分×4/3=32/3分

かかり、その後、池を1周するのに

28分×4/3=112/3分

かかります。

ですから、A地点を通過する時刻は

8分+32/3分+112/3分×☆周=18 2/3分+37 1/3分×☆周

のように表せます。

高輪君がA地点を通過する時刻は整数ですから、18 2/3分+37 1/3分×☆周 も整数となるときを調べます。

☆=1のとき

18 2/3分+37 1/3分×1周=56分 → 28の倍数なので適します。

答え 56分後

 

本問は、池タイプの線分図の読み取りが確認できる問題です。

易しくはありませんが、定番問題のひとつでもあります。

 

今回は、2024年度に男子中の入試で出された「池タイプの旅人算」の問題をご紹介しました。

どちらの問題も旅人算の基本問題より難しいのですが、線分図の書き方や読み取り方、着目する部分の見つけ方の練習になります。

もし、この範囲を習い終えていたら、チャレンジしてみましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加
速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年01月25日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.