第376回 2018年度中学入試の平面図形 1
「第376回 2018年度中学入試の平面図形 1」
あと5日もすれば、東京都と神奈川県の中学入試が解禁となります。
首都圏の受験生の皆さんは、直前特訓などに忙しい日々を送っていることでしょう。
今回は、既に実施された2018年度の入試問題の平面図形の中から、
円や正六角形などの1行問題をご紹介していきますので、
知識や原則の確認に利用してみてください。
2018年度 四天王寺中(女子校 日能研 予想R4 医志コース66・英数Ⅱコース56・英数Ⅰコース50) 入試問題 算数より
問題2-② 右の図の正六角形の面積は、かげをつけた部分の面積の何倍ですか。
【解答例】
正六角形の定番問題です。
「頂点どうしを結んでいるときは、均等分割」を利用します。
問題図に一番近い均等分割は次の「18分割」の問題です。
答え 18倍
では次の問題です。
2018年度 須磨学園中 第1回(共学校 日能研 予想R4 Bコース男子58/女子62) 入試問題 算数より
問題2-(7) 右の図の黒丸はそれぞれ円の中心です。角アは( )度です。
【解答例】
円問題です。
図は初見になると思いますが、
「円問題の補助線は中心と結ぶ半径 → おうぎ形や二等辺三角形ができる」
という原則を利用します。
図より、②=30°とわかりますから、ア=①=15°です。
3問目です。
2018年度 西大和学園中 本校入試(共学校 日能研 予想R4 男子64/女子68) 入試問題 算数より
問題2-(1) 下の図のような半径3cmの円の上に円周を4等分する点A、B、C、Dがあり、弦ABのまん中の点と点C、Dを結んでいます。このとき、ぬりつぶした部分の面積は( )cm2になります。(円周率は3.14)
【解答例】
この問題も円問題です。
やはり図は初見になると思いますが、
ここでも
「円問題の補助線は中心と結ぶ半径 → おうぎ形や二等辺三角形ができる」
という原則を利用します。
中心角が90度のおうぎ形は面積を求めることができますが、
残りの部分がこのままでは求められないようですので、
「線対称図形の補助線は対称の軸」を書き加えてみます。
四角形ABCDが正方形になることから図のように等積変形ができます。
3cm×3cm×3.14÷4+6cm×6cm÷2÷4=11.565cm2
最後は東大寺学園の問題です。
前回ご紹介した灘中の問題と少し似ているようですが、どうでしょうか。
2018年度 東大寺学園中 (男子校 日能研 予想R4 66) 入試問題 算数より
問題1-(1) 右図の正六角形ABCDEFにおいて、AF上に点Gをとりました。三角形BCGの面積と三角形DEGの面積の比が12:13であるとき、AG:GFを最も簡単な整数の比で答えなさい。
【解答例】
正六角形の「辺上の点と頂点を結んだ図形の面積」問題は、
前出の
「均等分割」
または
「正三角形をつけたす → 隣辺比が使える」
が解き方の原則です。
ここでは「正三角形をつけたす」を用いてみます。
図より、PG=②+1□、GQ=①+2□ となりますから、
②+1□:①+2□=12:13より、①:1□=11:14とわかります。
円や正六角形を題材とした問題は、
これまでも中学入試においてよく出題されています。
2018年のここまでの問題を見てきますと、
円や正六角形を題材とした問題を解くときの原則に加え、
西大和学園の問題は
「対称図形の補助線は対称の軸」や「正多角形は円に内接する」
のような知識が追加で必要でしたし、
東大寺学園の問題は途中から
「相似比+消去算」
に解き方が変わっていきました。
このように見てくると、1行問題は知識や解法の確認に適していることがわかります。
受験生にかかわらず、
時間がないときのテスト直前の勉強の1つの方法として、
一行問題集をチェックしてみるということを
試してみるとよいかも知れませんね。