第703回 男子中の入試問題 比と割合 3
「第703回 男子中の入試問題 比と割合 3」
2024年度に男子中の入試で出された「比と割合」の問題について考えています。
3回目の今回は「食塩水の濃さ」を取り扱っていきます。
1問目は基本レベルの問題です。
【問題】8%の食塩水80g、6%の食塩水120g、4%の食塩水150g、水□gを混ぜて5%の食塩水を作りました。□にあてはまる数を求めなさい。
(海城中学校 2024年 問題1-(2))
【考え方】
食塩水の問題は「塩分数」を使って整理すると、方針を立てやすくなります。
80g×8/100=6.4g
120g×6/100=7.2g
150g×4/100=6g
加える□gの水に食塩は含まれていませんから、次のように整理できます。
■g=6.4g+7.2g+6g+0g=19.6g
「食塩の重さ÷濃さ=食塩水の重さ(食塩水の3公式)」を利用できることがわかります。
△g=19.6g÷5/100=392g
よって
80g+120g+150g+□g=392g → □g=392g-350g=42g
です。
答え 42
本問は「塩分数」を用いて条件を整理し、食塩水の3公式(食塩水の重さ×濃さ=食塩の重さ など)だけで解けるかどうかを判断する「食塩水の濃さ」の基本が確認できる問題です。
2問目も基本の問題です。
【問題】6%の食塩水500gから水を何gか蒸発させた後、蒸発させた水と同じ量の食塩を入れてかき混ぜました。できた食塩水の濃度が10%のとき、蒸発させた水は何gでしたか。
(獨協中学校 2024年 問題1-(4))
【考え方】
条件を「塩分数」で整理します。
500g×6/100=30g
蒸発する□gの水に食塩は含まれていません。
また、加える食塩は「濃さが100%の食塩水」と考えられますから、次のように整理できます。
蒸発させた水と同じ量の食塩を加えても食塩水の重さは変わりませんから、△g=500gです。
「食塩水の重さ×濃さ=食塩の重さ(食塩水の3公式)」を利用できます。
■=500g×10/100=50g
30g-0g+□g=50g → □g=50g-30g=20g
答え 20g
本問は食塩水の重さが変化しないことを利用する問題です。
「食塩水の濃さ」の問題では、このような条件に着目することも大切なポイントです。
では、3問目を見ていきましょう。
【問題】食塩水Aと食塩水Bがあり、AとBを同じ量ずつ混ぜると8%の食塩水ができ、Aを100gとBを200g混ぜると9%の食塩水ができます。このとき、食塩水Aの濃さは何%ですか。
(城北中学校 2024年 問題2-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
食塩水Aと食塩水Bを同じ量ずつ混ぜると8%の食塩水ができるので、Aを100gとBを100g混ぜてできる食塩水は8%です。
100g+100g=200g … 食塩水の重さ
200g×8/100=16g … 食塩水の重さ
これにBを100g加えると、Aを100gとBを200g混ぜたことと同じになりますので、できる食塩水の濃さは9%です。
△g=200g+100g=300g
▲g=300g×9/100=27g
16g+■g=27g → ■g=27g-16g=11g
□%=11g÷100g×100=11% … Bの濃さ
A100gとB200gを混ぜると9%の食塩水ができるので
◎g=200g×11/100=22g
●g+22g=27g → ●g=27g-22g=5g
○%=5g÷100g×100=5%
答え 5%
本問は、文中の「同じ量ずつ混ぜると8%の食塩水ができ」というヒントを利用して解くことができる問題です。
解答例ではこのヒントと「塩分数」から答えを求めましたが、「混ぜる食塩水の重さの違いによってできる食塩水の濃さが異なる問題は、天びん図に整理することができる」という知識があると、次のように解くこともできます。
(②%+①%)÷2-①%=9%-8% → ①%=1%÷0.5=2%
9%-2%×2=5%
最後は「混ぜる」がテーマの問題です。
【問題】3種類のコーヒー豆A、B、Cがあります。Aは100gあたり420円、Bは100gあたり550円、Cは100gあたり650円です。次の問いに答えなさい。
(1)AとBとCを同じ割合で混ぜたコーヒー豆は、100gあたりいくらになりますか。
(2)AとCをある割合で混ぜたら、500gで2560円でした。AとCの重さの比を求めなさい。
(3)BとCを2:3の割合で混ぜ、そこにAを加えたら500gで2575円でした。AとCの重さの比を求めなさい。
(立教新座中学校 2024年 問題3 問題(4)省略)
【考え方】
(1)A、B、Cを100gずつ加えたと仮定します。
100g+100g+100g=300g
420円+550円+650円=1620円
1620円÷300g×100=540円
答え 540円
(別解)
例えば、「Aは100gあたり420円」を「食塩水Aの濃さは420÷100=4.2%」に置き換えると、食塩水の問題として解くこともできます。
16.2g÷300g×100=5.4% → 540円
(2)
つるかめ算です。
420円÷100g=4.2円 … A1gあたりの値段
650円÷100g=6.5円 … C1gあたりの値段
(2560円-4.2円×500g)÷(6.5円-4.2円)=200g … Cの重さ
500g-200g=300g … Aの重さ
300g:200g=3:2
答え 3:2
(別解)
食塩水の問題に置き換えます。
650÷100=6.5% … C
2560÷500=5.12%
5.12%-4.2%=0.92%
6.5%-5.12%=1.38%
ですから、次のような天びん図をかくことができます。
0.92%:1.38%=2:3 … うでの長さの比
うでの長さの比と重さの比は逆比の関係ですから、□g:■g=3:2です。
(3)
B200gとC300gを混ぜたと仮定します。
200g+300g=500g
5.5円×200g+6.5円×300g=3050円
3050円÷500g=6.1円 … BとCを2:3で混ぜたときの1gあたりの値段
つるかめ算です。
(6.1円×500g-2575円)÷(6.1円-4.2円)=250g … Aの重さ
(500g-250g)×3/(2+3)=150g … Cの重さ
250g:150g=5:3
答え 5:3
(別解)
次のような天びん図から求めることもできます。
③%+②%=6.5%-5.5% → ①%=0.2%
△%=5.5%+0.2%×3=6.1%
2575÷500=5.15%
(5.15-4.2):(6.1-5.15)=1:1 → ▽g:▼g=1:1
500g×1/(1+1)=250g … Aの重さ
本問は、つるかめ算などを使って解くことができる「混ぜる」がテーマの問題ですが、別解のように食塩水の問題に置き換えることもできる問題です。
解答例の解き方ができるときは、別解の方法にもチャレンジしてみましょう。
今回は、2024年度に男子中の入試で出された「食塩水の濃さ」の問題をご紹介しました。
3問目までは食塩水の定番問題ですから、既習範囲であればすべて正解できるか、確かめてみましょう。