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第371回 2018年度中学入試 2

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中学入試の算数問題 2017年12月23日18時00分

「第371回 2018年度中学入試 2」


12月も残すところあとわずかとなりました。


週が明けるとサピックスでは月曜日から、
早稲田アカデミーは火曜日から6年生の冬期講習がスタートします。


そして年が明けると、いよいよ「1月校」の受験です。


2018年度入試は、すでに12月から何校かで入試が実施されていますが、
1月は7日の愛光中、北嶺中、早稲田佐賀中などを皮切りに、
8日は西大和学園中、函館ラ・サール中などが、
さらに12日には1月校の中でも多くの受験生が例年集まる
栄東中で入試が首都圏で行われます。


その栄東中の2018年度の入試日程は、
10日に難関大クラスのA日程、
12日に東大特待クラスⅠ、
16日に難関大クラスB日程、
18日東大クラスの特待生入試となっています。


栄東中の2017年度の入試では延べ9460名が受験をしましたが、
その中で東大Ⅰ(日能研R4 偏差値67)の試験は、
受験者1369名に対し合格者は564名で、
受験者の平均点は221.9点(4科目450点満点)、
合格基準点は231点というものでした。


そこで今回は、その東大Ⅰの入試問題の中から、
直前復習にも使用できそうな「速さの条件整理」の問題を
ご紹介していこうと思います。




栄東中 2017年度 東大Ⅰ 算数より 問題3 

駅からAさんの家までの一本道の途中にパン屋、本屋、八百屋、花屋がこの順にあります。駅から1800m離れたところにAさんの家があり、駅から1050m離れたところに本屋があります。Aさんは9時ちょうどに家から駅に向かって出発し、本屋にいたBさんは9時1分にAさんの家に向かって出発しました。ところが,お互いに途中ですれちがったことに気づかずにBさんはAさんの家に着いてしまいました。Bさんはすぐに引き返して分速200mで走って駅に向かったところ、9時20分にAさんとBさんは同時に駅に着きました。それぞれの店主に話をきくと、次のように答えました。パン屋:Aさんが店の前を通過した1分50秒後に、Bさんが店の前を通過しました。花屋:AさんとBさんが店の前ですれちがった後、しばらくしてBさんだけが店の前を通過しました。八百屋:店の前を通過した順番はBさん、Aさん、Bさんでした。そして、Bさんが通過してからAさんが通過するまでの時間と、Aさんが通過してから再びBさんが通過するまでの時間は同じでした。

(1) 駅からパン屋までの道のりを求めなさい。

(2) 花屋の前でAさんとBさんがすれちがってから、再びBさんだけが花屋の前を通過するまでの時間を求めなさい。

(3) 駅から八百屋までの道のりを求めなさい。








速さの長文問題ですから、条件整理がポイントになりそうです。


登場人物は2人、距離条件は2つ、時間条件は5つという問題ですから、
時間条件が記入しやすいダイヤグラムを利用してみます。

20171218163845.jpg


(1) 
「駅からパン屋」について問われていますから、
グラフもその部分に着目してみます。

20171218163903.jpg


ダイヤグラム解法の第2原則「山&谷」がありますから、
Aの速さがわかれば解くことができます。

Aは家から駅までを20分で歩いていますから、
1800m÷20分=90m/分 が、Aの速さです。

速さの比A:B=90m/分:200m/分=9:20 → 時間の比A:B=20:9 

この差が1分50秒なので、
Bはパン屋から駅まで 1分50秒÷11×9=1.5分 で進むことがわかります。

200m/分×1.5分=300m 


(2) 
グラフの問われている部分について、
時間条件などわかることを探します。

20171218163937.jpg


Bが走る速さは200m/分ですから、
Bは 9時20分-1800m÷200m/分=9時11分 にAの家についたことがわかります。

ですから、
はじめのBの速さ (1800m-1050m)÷(9時11分-9時1分)=75m/分
も求められます。

20171218164032.jpg


これらのことから、
9時1分+(750m-90m/分×1分)÷(90m/分+75m/分)=9時5分 に、
AとBが花屋の前ですれ違ったことがわかります。

従って、Aの家から花屋までの距離も 90m/分×5分=450m とわかりますので、
Bが2回目に花屋の前を通る時刻が
9時11分+450m÷200m/分=9時13分15秒
と求められます。

9時13分15秒-9時5分=8分15 


(3) 
これまでにわかったことをグラフに書き込んでみます。

20171218164055.jpg


ダイヤグラム解法の第1原則「相似」がありますが、
時間条件が不足しているために使えなさそうです。

そこで第2原則の「山&谷」に着目してみます。

20171218164236.jpg


これより、Aの家と八百屋の距離が 90m/分×0.4分×20=720m とわかりますので、
答えは1080mです。




(3)は難しいと思いますが、(1)、(2)を含め、
ダイヤグラムの読み取りが少し難しい問題の実戦練習にはちょうどよいかもしれません。


また、読み取り前の「グラフを書く」部分においても、
一度で正確なグラフを書くのが結構難しく、
計算結果を基に書き直しながら解き進めていくという点は、
条件整理の復習に適しています。


1月になれば知識の総復習や基本的な解法の確認が中心になると思いますが、
12月中は実戦的な練習があってもよいでしょうから、
時間を作ってこのような問題にチャレンジできるといいですね。

mflog.GIF

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中学入試の算数問題 2017年12月23日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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