第370回 2018年度中学入試 1
「第370回 2018年度中学入試 1」
2018年度入試が始まりました。
これまでにも何校かで入試が実施されていますが、
今日12月16日は、海陽中等教育学校(特別給費)や岡山中学校(B日程)で
入試が行われました。
中でも海陽中等教育学校(以下、海陽中)の特別給費入試は、
3回実施される海陽中の入試の中で最も難度が高い入試(日能研R4 68)です。
2017年度の場合は、
男子約20名の募集に対し376名が受験して合格は27名(海陽中HPより)という結果で、
算数(100点)の平均点も、受験者全体が45.3点出会ったのに対し、
合格者は71.0点と大きな差がありました。
2018年度も12月8日時点で特別枠を含み322名の出願(サピックス調べ)があり、
今年度もハイレベルな入試だったと思われます。
そこで今回は、海陽中の2017年度の入試問題をご紹介していこうと思います。
海陽中 2017年度 特別給費入試 算数より
問題4 1辺が10cmの正三角形があります。三角形のそれぞれの頂点を中心とし、他の2つの頂点を通るような半径10cm、中心角60°のおうぎ形を3枚重ねると、右のような図形Aができます。この図形について、次の問いに答えなさい。ただし円周率は3.14とします。
(1) 図形Aの周の長さは何cmですか。
(2) 図1のように図形AがXの位置からYの位置まで、直線上をすべることなく1回転しました。このとき図形Aが通過した部分を表すと次の①~⑤のどのようになりますか。もっとも近いものを記号で答えなさい。
① 上側が直線である
② 上側の真ん中が少しふくらんでいる
③ 上側の真ん中が少しへこんでいる
④ 上側がまず上にふくらみ波打っている
⑤ 上側がまず下にへこみ波打っている
(3) 図2のように図形Aと円が、図形Aの周上の点Pで触れています。図形Aが円の周りをすべることなく転がると、再び点Pが円に触れたとき円の周りをちょうど1周して元の位置に戻りました。
(あ) この円の半径を求めなさい。
(い) 図形Aが通った部分の面積を求めなさい。
(4) 図3のように図形Aが2つあり、一つは固定されていて動きません。もう一つの図形Aが、固定されている図形Aの周りをすべることなく1周して元の位置に戻りました。転がった図形Aが通過した部分の外周の長さを求めなさい。ただし式も書くこと。
「ルーローの三角形」と呼ばれる図形の転がり移動問題です。
ルーローの三角形は知育玩具にもありますし、
ロボット掃除機にも似た形の「ルーロ」という商品があります。
【解答例】
(1)
20cm×3.14×1/6×3=31.4cm
(2)
転がる様子は次のようになります。
答え ①
(3)
(あ)
1周して元の位置に戻ったので、
図形Aのまわりの長さと固定されている円のまわりの長さは同じです。
半径×2×3.14=31.4cm → 半径=5cm
(い)
(2)で図形Aの下にある直線を「円になるように曲げていく」と考えればOKです。
15cm×15cm×3.14-5cm×5cm×3.14=628cm2
(4)
(2)の答えを(3)と同じように「曲げて」いきます。
すると固定された図形Aの頂点部分の動きが「頂点を中心に回転」することもわかります。
(40cm×3.14×1/6+20cm×3.14×1/6)×3=94.2cm
円やおうぎ形の転がる様子を正しく作図できるかどうかが正解の鍵です。
合格率80%偏差値の高い難関中では、転がり移動の問題もよく出されます。
2018年度入試に向けた最後の準備としてこの問題などを利用し、
「どうしてそのような転がり方になるのか」などが再確認できるといいですね。