第365回 5年生の学習ポイント 3
「第365回 5年生の学習ポイント 3」
6年生になると大手進学塾での学習内容がどうレベルアップするのかを、
平面図形や速さを題材にみています。
今回は、前回の続きとして「6年生で学習する速さ」について、
どのようなレベルで学習するのかを、
サピックスで行われる6年生の4月度のマンスリー確認テストを例にしてみていきます。
サピックスの6年生の場合、
速さは春期講習直前のNo.6とNo.7で学びますので、
その確認が4月に行われます。
それでは問題を見ていきましょう。
サピックス4月度 マンスリー確認テストより
問題2-(3) 弟が分速75mで家から学校へ向かって出発してから6分後に、兄が分速120mで自転車をこぎ、家から学校に向かって出発しました。兄は弟を追いぬいてから1分後に学校に着きました。家から学校までの道のりは( )mです。
兄が弟に追いついた地点をPとして、問題の条件を線分図に表してみましょう。
線分図の第1原則は「→に距離をかく」ですから、
次のように数値を書き込むことができます。
求めるものは家から学校までの距離なので、
あとは家からPまでの距離がわかれば答えがでます。
ということは、下図の青枠部分に着目することが必要とわかります。
兄は450mを追いついたのですから、
450m÷(120m/分-75m/分)=10分
120m/分×10分=1200m
が、家からPまでの距離なので、
1200m+120m=1320m
が答えとわかります。
この問題は、
5年生に学習した「速さの3公式を用いる旅人算」の考え方で
解くことができました。
では、5年生の最後に学習した「比と速さの関係を用いる旅人算」で
解くとどうなるのでしょうか。
比を利用しますので、線分図の第2原則「→に距離の比をかく」を実行します。
図より③=450mとわかりますから、家からPまでの⑧=1200mが求められます。
「速さと比」を用いると、
「速さの3公式」を用いるよりも式が1つ少ない分だけ早く求めることができますが、
5年生のときと比べて、大きなレベルの違いはないように思えます。
もう1問見てみましょう。
サピックス4月度 マンスリー確認テストより
問題5 東西にのびる線路があり、その途中に鉄橋があります。東から西へ向かう分速900mの列車Aが鉄橋にさしかかってから完全に通過するまでに1分34秒かかりました。また、西から東へ向かう分速1200mの列車Bが鉄橋にさしかかってから完全に通過するまでに1分15秒かかりました。途中、列車Aと列車Bがすれ違うのにかかった時間は8秒でした。次の問いに答えなさい。
(1)列車Aの長さと列車Bの長さとでは、どちらが何m長いですか。
(2)鉄橋の長さは何mですか。
「旅人算」ではなく「通過算」なのですが、
解き方のレベル確認のために見ていくことにします。
問題条件は、次の3つの図に表すことができます。
これらの図も線分図の一種ですから、
線分図の第1原則「→に距離をかく」を実行します。
図1の1410mは「列車Aの長さ+鉄橋の長さ」、
図2の1500mは「列車Bの長さ+鉄橋の長さ」ですから、
これより(1)の答え「Bのほうが90m長い」が求められます。
さらに図3をみると、列車Aの長さ+列車Bの長さ=280mもわかりますから、
和差算を使うと
列車Aの長さ=95m、
鉄橋の長さ=1410m-95m=1315mも求められます。
これら2問を見てくると、
6年生の4月に行われるマンスリー確認テストの「速さ」の問題のレベルは
「5年生の学習レベル」だといえそうです。
では、サピックスの6年生の場合、
「速さと比」を用いて解く問題は、
8月に学習するNo.19まで出題されないのでしょうか。
そこで次回は、
同じ4月に実施される志望校判定サピックスオープンの問題で、
このことを確認してみようと思います。