第364回 5年生の学習ポイント 2
「第364回 5年生の学習ポイント 2」
はやいもので、もう11月です。
5年生が塾で6年生の授業を受けるまで、あと3ヶ月となりました。
受験学年である6年生になれば、
どの塾であっても、学習する内容が5年生よりも多くなり、
また、高いレベルまで学習することになります。
今回と次回は、そのレベルがどのように高くなっていくのかを、
サピックスで学ぶ「旅人算」を例にしてみていこうと思います。
サピックスの5年生の場合、旅人算の学習機会は3回あります。
1回目は春期講習明けのNo.8、
2回目は夏期講習明けのNo.21、
3回目は5年生の最終回であるNo.37です。
具体的な問題を見てみましょう。
サピックスDaily Support No.8
E問題-3 円形の池のまわりに、右図のような道があります。A、B、Cの3人が、同じ地点からAとBは左まわりに、Cは右まわりに同時に出発しました。Aは分速90mで、Bは分速40mで、Cは分速60mで進みます。AとCが出会ってから10分後にBとCが出会ったとき、この道の長さは1周何mですか。
春先のNo.8で学ぶ内容は、
「速さ×時間=距離」のような速さの3公式と、
「2人の速さの和×出会うまでの時間=出会うまでに2人が進んだ距離の和」といった
旅人算の公式がメインです。
ですから、この時期に学ぶ解き方は次のようになります。
【解き方】
(40m/分+60m/分)×10分=1000m…QRの長さ
QRの長さは「AとCが出会ったときのAとBの進んだ距離の差(隔たり)」なので、
1000m÷(90m/分-40m/分)=20分…AとCが出会うのは、3人がPを出発してから20分後
Pを出発してから20分でAとCが出会っているので、
(90m/分+60m/分)×20分=3000m…1周の長さ
このように「BとCが10分間に進む距離の和=AとBが□分間に進む距離の差」という関係を
「問題の条件や図から読み取る」ことを学びます。
夏期講習明けのNo.21では「速さと比」をE問題で取り扱いますが、
D問題までの学習内容はやはり「問題の条件や図から読み取る」ことです。
No.21の問題を見てみましょう。
サピックスDaily Support No.21
D問題-1 分速100mの速さでいけば、目的地に予定の時間より1分早くつき、分速80mの速さでいけば、10分遅くつきます。目的地までの距離は何mですか。
【解き方】
もし立ち止まらなければ、予定時刻にどこにいるかを線分図に表すと次のようになります。
100m/分と80m/分では1分間に進む距離が20mと違いますから、
900mの差ができるのは (100m+800m)÷(100m/分-80m/分)=45分後です。
ですから目的地までの距離は、100m/分×(45分-1分)=4400m とわかります。
(他の計算方法もあります)
では、5年生の最終回であるNo.37ではどのようなことを学ぶのでしょうか。
問題を見てみましょう。
サピックスDaily Support No.37
E問題-2 大川君はA地からB地に向かって、小山君はB地からC地に向かって、同時に歩き始めました。2人は歩き始めてから60分後にP地点で出会いました。大川君は出会ってから30分後にB地に着きました。そのとき、小山君はA地点の手前6000mのところを歩いていました。
(1) 大川君と小山君の速さの比は何対何ですか。
(2) A地とB地は何mはなれていますか。
(3) P地点は、A地から何mのところですか。
No.37になると、問題文が長くなっています。
ということは、問題の条件が増えているということですから、
条件整理がポイントなってきます。
【解き方】
問題条件を線分図に表すと、次のようになります。
(1)
線分図を見るとPB間を進むのに、大川君は30分、小山君は60分かかっています。
同じ距離を進む時間の比が1:2とわかっているのですから、速さの比は 2:1 です。
(2)
(1)で速さの比が2:1とわかりましたから、同じ時間に進む距離の比も2:1です。
図より、①=6000mとわかりますので、AB間は12000mです。
(3)
(2)で、同じ時間に進む距離の比が2:1、AB=12000mとわかりましたから、
次の図のように、③=12000m → ②=8000m とわかります。
(他の考え方もあります)
サピックスの場合、5年生で学習する「旅人算」の内容が、
春と秋は「問題の条件や図から読み取ったことを、速さの3公式を利用して解く」というものでしたが、
冬には「線分図中に速さと比を書き込んで解く」というものにレベルアップしていることが、
これら3問からわかります。
では、6年生になると、レベルはどのように上がるのでしょうか。
次回はこの点についてみていきたいと思います。