第695回 共学中の入試問題 文章題 2
「第695回 共学中の入試問題 文章題 2」
前回は、近年の共学中の入試で出された「文章題」の中から「消去算」と「差集め算」などの問題を見ました。
今回は「つるかめ算」を取り扱います。
では、1問目です。
【問題】あるお店では、1個90円のチョコレートと1個80円のガムが売られています。次の問いに答えなさい。
(1)チョコレートとガムを合わせて10個買ったところ、代金は860円となります。それぞれ何個買ったのか求めなさい。
(2)チョコレートとガムを合わせて何個か買うと、代金は1200円となります。それぞれ何個買ったのか求めなさい。ただし、どちらも少なくとも1個は買うものとします。
(3)チョコレートを10個買うごとにガムを1個無料でもらえるものとします。チョコレートとガムを何個か買ったとき、無料でもらえるガムも含めて30個になり、代金は2500円となりました。チョコレートを何個買ったか、考えられる個数をすべて求めなさい。
(広尾学園中学校 2024年 問題2)
【考え方】
(1)
つるかめ算は、「もし、○○だけだったら…」と仮定することが解き方の基本です。
そこで、「もし、チョコレートだけを買った場合」から始めて、個数が変化したときの代金を表に整理します。
答え チョコレート 6個、ガム 4個
(別解)… 規則性の利用
チョコレートだけを10個買ったときの代金が900円、実際の代金が860円、チョコレート1個とガム1個の代金の差が10円ですから、チョコレート1個をガム1個に代えることを
(900円-860円)÷10円=4回
繰り返せばよいことがわかります。
10個-1個×4=6個 … チョコレートの個数
0個+1個×4=4個 … ガムの個数
(2)
1200が80の倍数であることが利用できます。
1200円÷80円=15個
つまり、チョコレートを0個とガムを15個買うと、代金が1200円になります。
チョコレートを□円分買い、代わりにガムを□円分減らしても代金の1200円は変わりません。
チョコレートの代金は90の倍数、ガムの代金は80の倍数ですから、□は90と80の公倍数です。
90と80の最小公倍数は720より、チョコレートを
720円÷90円=8個
買い、代わりにガムを
720円÷80円=9個
減らしたときの代金も1200円です。
0個+8個=8個 … チョコレートの個数
15個-9個=6個 … ガムの個数
ガムの個数をさらに9個減らすことはできませんから、条件にあてはまる個数の組み合わせはこの1組だけです。
答え チョコレート 8個、ガム 6個
(3)
30個÷10個=3
ですから、無料でもらったガムは1個または2個です。
・無料でもらったガムが1個のとき
買ったチョコレートの個数は最も多い場合で19個です。
チョコレートだけを19個買うと代金の合計は
90円×19個+80円×(30個-1個-19個)=2510円
です。
(2510円-2500円)÷10円=1個
19個-1個=18個 … チョコレートの個数
・無料でもらったガムが2個のとき
買ったチョコレートの個数は最も多い場合で28個です。
チョコレートだけを28個買うと代金の合計は
90円×28個+80円×0=2520円
です。
(2520円-2500円)÷10円=2個
28個-2個=26個 … チョコレートの個数
答え 18個、26個
本問は、つるかめ算とその応用問題です。
(1)は基本レベルのつるかめ算、(2)は不定方程式タイプのつるかめ算で、いずれも大切な問題です。
(3)は応用レベルの問題ですが、「無料でもらったガムがなければ、基本レベルのつるかめ算と同じだから…」と考えることがポイントになっています。
それでは、2問目です。
【問題】花子さんは1個80円のりんご、1個120円の梨、1個160円の柿を合わせて46個買ったところ、代金は6160円でした。花子さんが買ったりんごと柿の個数の比が1:3のとき、梨の個数は何個ですか。
(青山学院中等部 2024年 問題5 問題文一部変更)
【考え方】
3種のつるかめ算です。
3種のつるかめ算は、表や面積図を利用して解くことができます。
ここでは表を用いることにします。
つるかめ算の基本の解き方は「もし、○○だったら…」と仮定することですから、「もし、りんごが0個だったら…」と仮定して、表を書いていきます。
80円×0個+120円×46個+160円×0個=5520円
80円×1個+120円×42個+160円×3個=5600円
80円×2個+120円×38個+160円×6個=5680円
表を見ると、右に1列に移ると代金が80円増えていることがわかります。
(6160円-5520円)÷80円=8列
ですから、梨の個数は
46個-(1個+3個)×8列=14個
です。
答え 14個
本問は、3種のつるかめ算の基本が確認できる問題です。
なお、「りんご1個、柿3個」の場合から考えても構いません。
今回は、2024年度に共学中の入試で出された「つるかめ算」の問題をご紹介しました。
「つるかめ算」は前回に取り扱った「差集め算」や「消去算」と合わせて、重要な文章題の問題です。
もし、正解できない問題があれば、条件整理の方法や着目する点に誤りがないか、できるだけ早めに確認をしましょう。