第694回 共学中の入試問題 文章題 1
「第694回 共学中の入試問題 文章題 1」
前回まで近年の共学中の入試で出された「場合の数」の問題を見てきました。
今回からは「文章題」を取り扱います。
はじめは「消去算」や「差集め算」などの問題です。
では、1問目です。
【問題】170人が大型バス3台と中型バス2台に乗ると、席が2席分余りました。大型バス1台には中型バス1台より14人多く乗れます。中型バス1台には何人乗れますか。
(成蹊中学校 2024年 問題2-(2))
【考え方】
乗車する人数の和とバス1台あたりの人数の差がわかっている、「和と差の消去算」です。
「和と差の消去算」は、線分図や式に条件を整理することができます。
ここでは、線分図を利用してみます。
中型バス1台に□人が乗れるとします。
□人×(3台+2台)+14人×3台=170人+2人
□=(172人-42人)÷5台=26人
答え 26人
本問は「和と差の消去算(代入タイプの消去算)」の解法が確認できる問題です。
解答例では線分図を用いましたが、次のように式に整理して解くこともできます。
大×3台+中×2台=170人+2人 … ア
大×1台=中×1台+14人 … イ
イを3倍して「大」をアの「大×3台」にそろえます。
大×3台=中×3台+14人×3 … イ×3=ウ
ウをアに代入します。
中×3台+14人×3+中×2台=170人+2人
中×5台+42人=172人
(172人-42人)÷5台=26人
続けて、2問目です。
【問題】A、B、C、D、Eの5つのおもりの重さについて、次のことがわかっています。
・AとBの合計は550gです。
・AとCの合計と、BとDの合計は、どちらも700gです。
・CとEの合計は、DとEの合計より、70g重いです。
このとき、Dの重さは何gですか。
(青稜中学校 2024年 問題2-(2))
【考え方】
A、B、Cなどの「文字(未知数)」が5種類もあり、またその和や差がわかっているので「消去算」のなかまだと見当づけることができます。
文字の種類が多いので、条件を式に整理することにします。
A+B=550g … ア
A+C=B+D=700g … イ
C+E=D+E+70g … ウ
イを利用すると
A+C+B+D=700g+700g=1400g … エ
となります。
アとエに着目すると
C+D=1400g-550g=850g
とわかります。
また、ウより、CがDより70g重いこともわかります。
CとDの和が850g、差が70gですから、Dの重さは
(850g-70g)÷2=390g
です。
答え 390g
本問は、「文字(未知数)」が多い「消去算」の考え方が確認できる問題で、条件イの使い方がポイントになっていました。
解答例の他に、CとDの差が70gであることからわかるAとBの差の70gを利用してもよいでしょう。
なお、本問ではEの値を求めることができない(求めなくてもDの値がわかる)条件設定となっています。
それでは、3問目を見ていきましょう。
【問題】ある学年で、生徒1人につきボールペンを5本ずつ、ノートを2冊ずつ配ると、ボールペンは20本余り、ノートは30冊不足します。ボールペンの本数はノートの冊数の3倍です。この学年の生徒は何人いますか。
(明治大学付属八王子中学校 2024年 問題2-(2))
【考え方】
「過不足算」といわれる「差集め算」のなかまです。
「過不足算」は、同じだけの数を用意しても、配り方が異なるために過不足が生じることを利用して解くことが基本です。
そこで、用意するノートの冊数を3倍にして、ボールペンの本数と同じにします。
この場合、生徒1人にノートを
2冊×3=6冊
ずつ配ると、
30冊×3=90冊
不足します。
ボールペンとノート(3倍)の1人あたりの配り方の差と、その結果の過不足に着目します。
(20+90)÷(6-5)=110人
答え 110人
本問は、用意した数が異なる過不足算の解き方を確認できる問題です。
用意した数や人数が共通で、配り方だけが異なるように条件を整えることが、問題を解くときの大切なポイントです。
最後は、定番の「おまけ」問題です。
【問題】あるスーパーでは、ペットボトルのお茶が1本108円(税込み)で売られています。このお茶のキャップを4個集めると、もう1本同じお茶が貰えます。お茶を22本飲むには、いくら払えばよいですか。ただし、貰ったお茶のキャップも使用することができ、払う金額をできるだけ少なくするものとします。
(芝浦工業大学柏中学校 2024年 問題1-(2))
【考え方】
「おまけ」問題は、次のように長方形の箱にペットボトルなどを立てて入れ、それを上から見た図で考えることができます。
22本÷4本=5列あまり2本
よって、長方形の箱に22本のお茶を立てて入れた様子は、次のように表せます。
このような図で表すと、「おまけ」のお茶の本数は4本ずつ並んだ列の数と同じとわかります。
ですから、支払う金額は
108円×(22本-5本)=1836円
です。
答え 1836円
本問は、「おまけ」問題の考え方が確認できる問題です。
今回は、2024年度に共学中の入試で出だされた「消去算」や「差集め算」などの問題をご紹介しました。
どれも入試では正解したい問題ばかりですので、もし、正解できないようでしたら、それぞれの文章題に応じた条件整理(例:差集め算を表に整理)の方法や、その後の処理(例:差集め算は配り方の差と過不足に着目)の方法をマスターしているか、基本レベルから中級レベルの問題を解いて、確認をしましょう。