2017年度中学入試 9 武蔵中
「第330回 2017年度中学入試 9」
もうまもなく春休みです。
春休み中に解決したいことは決まりましたでしょうか。
新6年生で「まだ」という場合は、
ここまでご紹介してきた2017年度の中学入試問題を参考にして
課題を決めるということもありではないかと思います。
今回も、引き続き、入試問題をご紹介いたします。
チャレンジすれば、新しい課題が見つかるかも知れませんね。
ご紹介する学校は、首都圏の男子御三家から、武蔵中です。
ここ数年は比較的得点しやすい出題でしたが、
今年度は全体的に難化し、
合格者平均は13.2点(100点満点)も低くなりました。
新6年生には少し難しい問題もありますが、
難関中の受験が目標であれば、
挑戦してみる価値はあると思います。
大問1 やぎ牧場A、B、Cがあり、AにはBの2/5倍より10匹多いやぎがいて、CにはBの4/3倍より17匹少ないやぎがいます。また、Bにいるやぎが最も多いそうです。A、B、Cにいるやぎの合計は何匹ですか。考えられるものを全て答えなさい。
「やぎ復活!!」
やぎさん、久しぶりの登場です。
と思いながら問題文を読んでいくと、
最後に「考えられるものを全て」と、
1問目からいきなりの「複数解答」問題です。
「えっ?!」と思った受験生もいたことでしょう。
しかし、
「比と割合の文章題は、割合から手をつける」という大原則を思い出せば、
冷静さを取り戻せたことでしょう。
Bのやぎが15の倍数とわかりますので、
あとは順に調べると正解を求めることができます。
「やぎの数は整数」という「整数条件」の活用がポイントになる問題でした。
次は平面図形の問題です。
大問2〈図1〉において、2つの四角形ABCDと四角形EFGHはどちらも正方形で。AE=6cm、AF=10cmです。次の問いに答えなさい。
(1) 〈図1〉に正方形PQRDをかき加えてできたのが〈図2〉です。SQは何cmですか。
(2) 〈図1〉に正方形EFGHと同じ大きさの正方形IJKLをかき加えてできたのが〈図3〉です。図のア、イ、ウ、エ、オ、カ、キ、クの8つの点を頂点とする八角形の面積は何cm2ですか。
(1) 「自分の手で図を描く」という練習ができていれば、
「図2を描くためには、点P、Q、R、S、Tのどれかの点の位置がわかればいいのだが…」
と考えることが可能です。
すると、点Qが対角線BDと辺EGの交点であることがわかりますので、
そこから先は1本道です。
この問題は多くの新6年生にとって「初見」だと思われますから、
「自分の手で図を描く=初見の問題でも解ける」力の
よいバロメーターです。
(1)の解き方がわからなかった場合は、
「自分の手で図を描く」ことを家庭学習に取り入れてみましょう。
(2) (1)が正解できれば、
必要な長さや比は全てわかりますから、
いろいろな方法で解くことができます。
線対称図形の特徴を利用した場合、
例えば、次のような解き方になります。
2017年度の武蔵中の入試問題のように、
前年より問題が難化しても、
「比と割合の文章題は、割合から手をつける」
や
「自分の手で図を描く」
のように、
問題に応じた大方針を持っていたり、
初見問題にも対応できる家庭学習の取り組みできていたりすれば、
正解することは十分に可能です。
今回ご紹介した2問を通じて課題の発見があった新6年生は、
春休みからと言わず、
今すぐに学習の取り組み方を変えていくとよいでしょう。
少しでも早く修正に取りかかり、
春休みやゴールデン・ウィークなどのまとまった時間を利用して、
確認と補強を行えるといいですね。