2017年度中学入試 6 桜蔭中
「第327回 2017年度中学入試 6」
前回は2017年度の関西エリア入試から
大阪星光学院中の入試問題をご紹介しました。
今回は首都圏の桜蔭中の入試問題をご紹介します。
昨年、2016年度入試では、
大問Ⅰの小問集合で計算・規則性・図形の移動、
大問Ⅱはおまけシールを題材とした範囲のある文章題、
大問Ⅲが回転体、
大問Ⅳが周期算、
大問Ⅴが旅人算
という問題構成でした。
今年度の入試は、
大問Ⅰの小問集合が計算と場合の数、
大問Ⅱは2点の移動、
大問Ⅲが水そうとグラフ、
大問Ⅳが立体図形をテーマにした文章題、
大問Ⅴが立体切断
と、
昨年同様に速さと図形の混合問題を中心とした問題構成で、
難度もほぼ同じであったように感じました。
そんな桜蔭中の2017年度の問題から、何問かご紹介します。
1問目は新6年生でもチャレンジできる問題です。
(解答例)(2)-①
「0~9より異なる2個の数字を選ぶ」のですから、
選び方は10C2=45通りです。
その選んだ2個の数字をA、Bとすれば、
(A、A、A、B)(A、A、B、B)のように、
3個と1個、2個と2個の2つの場合に分けることができ、
並べ方は、
(A、A、A、B)が4C1=4通り、
(A、A、B、B)が4C2=6通り あります。
45通り×(4通り×2+6通り)=630通り
ここでも、前回ご紹介しました大阪星光学院中の大問6と同じように、
①「選ぶ&並べる」の2段階で考える、②場合分けをする
といった、場合の数の基本的な解き方で正解を得ることができます。
他の解き方でも構いませんが、正解できなかった場合は、
「①「選ぶ&並べる」の2段階で考える、②場合分けをする」の
どの部分ができていなかったのかを、
チェックするようにしましょう。
(解答例) (2)-②
「2020は2□□□台のはじめの方の数だから、
0001から1999までは計算で、あとは数えよう」
という方針が立てられれば素晴らしいと思います。
※①で求めた630通り÷10=63通りも、もちろんOKです。
(解答例) (2)-③
②でA□□□が63通りあることがわかりましたから、
大きい方から数えて92番目は8□□□の数です。
9998から88□□までで、63+31=94通りの数があるとわかりましたから、
あとは数えればOKですね。
大きい方から数えて94番目が8800ですから、
93番目は8808、92番目は8811となり、
8811が答えとわかります。
大問Ⅰ-(2)は、桜蔭中の問題らしく、
①→②→③と「誘導形式」になっている問題でした。
2問目も、新6年生がチャレンジできる問題です。
(1)に「初めて」、(2)に「4回目」とありますから、
「動きを調べていけば何か規則があるのかも…」
と予測できます。
出会うことができるのは、DG上だけです。
点PがDG上にいるのは8秒後(1回目)+36秒/周×□周から10秒間、
点QがGD上にいるのは24秒/周×□周から10秒間なので、
次のようなグラフをかいて解くこともできます。
グラフより、
(1)は9秒後、(2)は51秒後+72秒=2分3秒後 と求めることができます。
周期が72秒と短いこと、
速さが同じなのでグラフをかいたときに二等辺三角形になることなど、
計算面で比較的楽ができるような数値設定になっている
親切な問題=正解しなければいけない問題だといえそうです。
3問目は、「立体切断」が未習の新6年生には難しい問題ですが、
解き方自体は「立体切断の基本通り」でOKですから、
習っていればチャレンジしてみてください。
(解答例)
(1)
(2)
(3)
大問Ⅴも(1)から順に難度は上がっていきますが、
前問の解き方が次の問題の解き方につながっています。
パターン学習ですと(1)しか正解できないかも知れませんが、
切断そのものをマスターしていれば全問正解が可能ですし、
処理時間を使うこともないでしょう。
桜蔭中は女子御三家のトップとして偏差値で位置づけられていますが、
出題に奇問難問の類はなく、
5年生で学んだことを含め、
理由まで理解しているかどうか、
これまでの学習の質を問うものです。
計算力をつけると同時に、
問題演習の際には「理由」まで身につけるようになれるといいですね。