第682回 共学中の入試問題 平面図形 4
「第682回 共学中の入試問題 平面図形 4」
これまで、近年の共学中の入試で出された「平面図形」の中から「角の大きさ」、「求積」、「曲線図形」について見てきました。
今回は「辺の比と面積比」がテーマの問題を取り扱います。
1問目は、基本レベルの問題です。
【問題】図のような1辺5㎝の正方形ABCDがあります。EF=EGである二等辺三角形EFGを、点Eが辺ADのまん中の点となるようにおいたところ、点Bが辺EF上、点Cが辺EG上に重なりました。FGの長さが7㎝のとき、四角形BFGCの面積を求めなさい。
(東京農業大学第一高等学校中等部 2024年 問題4-(7))
【考え方】
二等辺三角形は、2つの合同な直角三角形に分けることができます。
三角形EBHと三角形EFIは相似で、相似比は
BH:FI=5/2:7/2=5:7=EH:EI
です。
AB=EH=5㎝ですから、
EI=5㎝×7/5=7㎝
です。
7㎝-5㎝=2㎝ … HI(=台形BFGCの高さ)
(5㎝+7㎝)×2㎝÷2=12㎠
答え 12㎠
本問は、「ピラミッド型」相似の基本が確認できる問題です。
「二等辺三角形は2つの合同な直角三角形に分ける」という知識も合わせてチェックしておきましょう。
2問目も、基本レベルの問題です。
【問題】図のように、平行四辺形に対角線をひき、さらに底辺を三等分する点のうちの1つと平行四辺形の頂点を結んで、平行四辺形を4つの部分あ○~え○に分けました。い○の部分とう○の部分の面積の和が26㎠であるとき、この平行四辺形の面積は何㎠ですか。
(慶應義塾中等部 2024年 問題2-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
問題図のまま相似な三角形に着目してもよいですし、「四角形は三角形に分ける」を利用した解き方もあります。
ここでは、補助線を引いて「四角形を三角形に分ける」ことにします。
台形AECDに着目します。
台形を2本の対角線で4つの部分に分けると、面積比は次のようになります。
この問題ではAD:EC=3:1ですから、
面積比 あ○:う○:え○:か○=(3×3):(3×1):(1×1):(3×1)=9:3:1:3
です。
ACは平行四辺形ABCDの対角線なので、三角形ABCと三角形CDAは合同です。
9+3=12 … 三角形CDAの面積=三角形ABCの面積
12-1=11 … い○の面積
11+3=14
にあたる面積が26㎠ですから、
12×2=24
にあたる平行四辺形の面積は
26㎠×24/14=312/7㎠=44 4/7㎠
です。
答え 44 4/7㎠
本問は、台形の面積比に関する知識が確認できる問題です。
なお、○あと○えが相似であること、あ○(またはえ○)とう○が高さの等しい三角形であることを使って解いてもOKです。
3問目は、定番の応用問題です。
【問題】図のような正方形ABCDにおいて、辺BC上の点をMとし、辺CD上の点をNとすると、BM:MC=1:3、CN:ND=1:3になりました。また、点Aと点Nを結ぶ線と、点Dと点Mを結ぶ線が交わる点をPとします。
(1)DPとPMの長さの比は何対何ですか。
(2)APとPNの長さの比は何対何ですか。
(3)三角形DPNの面積が6㎠のとき、ABの長さは何㎝ですか。
(4)四角形ABMPの面積が154㎠のとき、ABの長さは何㎝ですか。
(開智中学校 2024年 問題3)
【考え方】
(1)
ANとBCを延長(交点をQとします)すると、2組の相似な三角形ができます。(「ダブル・チョウチョ相似」の完成)
三角形ANDと三角形QNCの相似比は
ND:NC=3:1=AD:QC
なので、
4:□=3:1 → □=4×1÷3=4/3
です。
ですから、三角形APDと三角形QPMの相似比は
AD:QM=4:(3+4/3)=12:13=DP:PM
です。
答え 12:13
(2)
(1)より、AN:NQ=3:1、AP:PQ=12:13です。
これらのことを連比に整理します。(「ダブル・チョウチョ相似」の利用)
よって、
AP:PN=48:(100-48-25)=16:9
です。
答え 16:9
(3)
三角形DPAと三角形DPNは高さが等しい三角形ですから、面積比は底辺の比と同じです。
底辺の比 AP:PN=16:9
↓
面積比 △DPA:△DPN=16:9
また、三角形ANDと正方形ABCDは高さが同じですから、面積比=(上底+下底)の比です。
(上底+下底)の比 ND:(AB+CD)=3:(4+4)=3:8
↓
面積比 △AND:□ABCD=3:8
三角形DPNの面積が6㎠ですから、正方形ABCDの面積は
6㎠×(16+9)/9×8/3=400/9㎠
です。
400/9㎠=20/3㎝×20/3㎝
なので、ABの長さは20/3㎝=6 2/3㎝です。
答え 6 2/3㎝
(4)
三角形ANDと三角形DMCは合同な直角三角形なので、三角形DAPの面積を16□とすると、四角形MCNPの面積も16□です。
また、三角形ANDと正方形ABCDの面積比が3:8ですから、正方形ABCDの面積は
(16□+9□)×8/3=200/3□
です。
よって、四角形ABMPの面積の154㎠が
200/3□-(16□+9□+16□)=77/3□
にあたります。
1□=154㎠÷77/3=6㎠
6㎠×200/3=400㎠ … 正方形ABCDの面積
400㎠=20㎝×20㎝
ですから、AB=20㎝です。
答え 20㎝
本問は、(1)が相似の完成、(2)が2組の相似な三角形の辺の比(「ダブル・チョウチョ相似」)、(3)と(4)が辺の比と面積比の関係の考え方が確認できる問題です。
いずれも大切な解き方ですから、正解できなかったときはできるだけすぐに復習をしましょう。
今回は、2024年度に共学中の入試で出された「辺の比と面積比」から、基本問題を中心にご紹介しました。
次回は応用問題を中心に取り扱う予定ですので、今回の問題で正解できない問題があれば、それまでに基本の知識や解法のどこに課題があるのかを見つけて修正ができるといいですね。