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2017年度中学入試 2  灘中1日目

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中学入試の算数問題 2017年01月21日18時00分

「第323回 2017年度中学入試 2」


2017年度の中学入試も、関西エリアでは今日でほぼ終わります。


一方、首都圏では、
昨日20日の市川中、
今日21日の東邦大東邦中、
明日22日の澁谷幕張中など、
千葉県を中心に中学入試が行われています。


また、東京都や神奈川県は2月1日以降が主な入試日となっています。


そこで今回は先日行われました関西エリアの中から、
灘中の入試問題をご紹介しようと思います。


はじめは入試結果です。


受験者数が増加したため、
実質入試倍率は2.76倍と昨年、一昨年よりも高くなり、
また合格者平均も346.3点(3教科5試験500点満点)と
直近5ヶ年で最も高い点数になりました。


算数は、
1日目の合格者平均が63.1点(受験者平均49.1点)、
2日目の合格者平均が62.4点(受験者平均48.4点)
という結果でした。


今回ご紹介する問題は、2日間入試のうちの1日目です。


2016年度入試と比較すると、
比較的、取り組みやすい問題構成だったように感じました。


1問目は、「濃さ 比の利用」を習い終えている新6年生ならば、正解できる問題です。


チャレンジしてみませんか。

20170120180144.jpg









「濃さのやりとり算」です。「やりとり算」ですから、いったん「流れ図」に整理してみましょう。

20170120180211.jpg

整理すると上の図のようになり、
あとの濃さがA、Bとのわかっているのですが、
(ウ、エ)(オ、キ)(カ、ク)がわからないために、
面積図や天びん法が少し使いにくくなっていることに気づけます。


「食塩水の濃さ」問題の原則は「食塩の量に着目」することですが、
この問題のように上手くいかないときは、
「水の重さ」に着目してみるようにします。

20170120180254.jpg



水の重さに着目すれば、
「濃さの3公式と比の関係」を利用して答えを求めることができました。


このように、灘中の出題にも5年生の学習範囲があります。


新6年生の授業開始が目前ですが、
5年生の学習に不安があれば、
新学年開始までの調整期間など利用して「潰して」おきましょう。




次にご紹介する問題も、5年生の学習内容からの出題でした。

20170120180354.jpg









灘中でよく出される、「数の性質」に関する問題です。これも問題文を整理してみましょう。

20170120180415.jpg


整理していくと、
「整数条件の問題」ということに気がつけますから、
答えまではほぼ一本道です。








ここまでの2問を見てくると、5年生の学習が大切なことが、本当によくわかります。


最後は立体図形の問題をご紹介します。


体積の計算はできなくても、見取り図を書くことはできますから、学年に関係なく挑戦してみませんか。

20170120180504.jpg









どんな立体になるかがわかれば解けそうな問題です。


隣り合う長さの等しい辺が重なることを利用すると、
重なる頂点もわかります。(下図)

20170120180531.jpg

図より、「合同な台形2つ、正三角形1つ、直角二等辺三角形1つ」を1つの組にして考えることができます。

20170120180609.jpg

さらに、
台形の上底どうし、
正三角形と直角二等辺三角形の最も長い辺がくっついていることから、
次のような立体だとわかります。

20170120180644.jpg


この問題も、灘中でよく出される「立方体の切断」問題の仲間でした。

20170120180733.jpg



展開図の組み立てはこれまでの中学入試でよく出題されています。


その中でも、合同な立体図形を2つ重ね合わせてできる立体図形の問題も、
最近増えているように感じます。


受験学年になるまでに、
実際に展開図を組み立てる機会があると、
塾で上記のような問題を練習するときの一助になると思います。






今回は、
2017年1月14日に行われました灘中の入学試験 第1日の算数より、
3問ご紹介しました。


いずれの問題も新6年生がチャレンジできるように、
6年生になるまでの学習が本当に大切だとわかります。


2月の授業が始まるまでに少しでも時間を見つけて、
これまでの学習のヌケモレをなくしたり、より深い学習をしたりすることで、
新学年のよいスタートが切れるといいですね。

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中学入試の算数問題 2017年01月21日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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