第679回 共学中の入試問題 平面図形 1
「第679回 共学中の入試問題 平面図形 1」
前回まで近年の共学中の入試で出された「速さ」について見てきました。
今回からは「平面図形」の問題を取り扱っていきます。
その1回目のテーマは「角の大きさ」です。
1問目は、基本レベルの問題です。
【問題】下の図のように三角形ABCの辺AC上に点Dがあり、ABとADの長さは等しく、イの角度はアの角度の2倍で、ウの角度はアの角度の6倍です。このとき、エの角度は何度ですか。
(栄東中学校 2024年 問題1-(6) 問題文一部変更)
【考え方】
角アの大きさを①度として、条件を図に書き込みます。
角の問題は、
角の五原則
1.三角形の内角
2.三角形の外角
3.二等辺三角形
4.合同
5.復元
を利用することができます。
上の図では、「三角形の外角のきまり → 二等辺三角形を利用 → 三角形の内角の和」の順に考えることができます。
⑥-②=④ … 角ABD
②+④+④=180度 → ①=18度
角エは三角形BCDの内角なので
180度-(18度+18度×6)=54度
です。
答え 54度
本問は、角の5原則の使い方が確認できる問題です。
角の大きさの問題に慣れないうちは「わかるところから順に書き込む」ようにして解き、学習が進んだら「角の5原則の何が使えるか」というように方針を立てて解いてみましょう。
2問目も、基本レベルの問題です。
【問題】下の図のように、正五角形ABCDEの中に正三角形FCDをつくりました。角xの大きさは何度ですか。
(芝国際中学校 2024年 問題2-(8) 問題文一部変更)
【考え方】
角の大きさが与えられていませんので、角の5原則の「3.二等辺三角形」から考えていきます。
条件より、次の図の青色の辺の長さはどれも等しいので、三角形CBFは二等辺三角形です。
また、正三角形の1つの内角の大きさは60度(=★)、正五角形の1つの内角の大きさは108度(=☆)なので、
○=108度-60度=48度
です。
三角形CBFが二等辺三角形なので、
●=(180度-48度)÷2=66度
です。
x=108度-66度=42度
答え 42度
本問は、正多角形の内角の大きさと角の5原則の使い方が確認できる問題です。
既習であれば、
正□角形の1つの内角の大きさ=180度×(□-2)÷□
と
正□角形の1つの外角の大きさ=360度÷□
の両方が使えることをチェックしましょう。
3問目は、前問までよりレベルの上がった問題です。
【問題】下の図のあ○の角度を求めなさい。
(早稲田実業中等部 2024年 問題1-(3))
【考え方】
角の大きさが与えられていますので、角の5原則の「1.三角形の内角」「2.三角形の外角」が利用できます。
角ABC=180度-(40度+70度)=70度
角ABD=180度-(40度+22度+59度)=59度
以上より、三角形ABCと三角形ABDはどちらも二等辺三角形とわかりますから、
AB=AC=AD
です。
よって、三角形ACDもAC=ADである二等辺三角形です。
角ADC=(180度-22度)÷2=79度
あ○=79度-59度=20度
答え 20度
本問は、角の5原則の使いこなしが求められる問題です。
この「内角の大きさを求めると、二等辺三角形が見つかる」という問題は大切ですので、正解できないときは必ずまちがい直しをしましょう。
最後は折り返しと角の問題です。
【問題】下の図1の三角形ABCを図2のように折りました。次に、図2の三角形BDCをBCで折り返すと図3のようになりました。最後に、図3の三角形BCDをBDで折り返すと図4のようになりました。色のついた部分の角度が8度のときア○の角の大きさは何度ですか。
(青山学院中等部 2024年 問題11 問題文一部変更)
【考え方】
折り返しの問題は、折り返す前の図形も残した図をかくことがポイントです。
ですから、三角形ABCをBDで折り返すときの図は次のようにかきます。
折り返しはBDを対称の軸とする線対称移動なので、三角形BDCと三角形BDC’は合同です。
よって、角BC’D=52度です。
次に、BC’で折り返します。
さらに、BD’で折り返します。
図の青線の三角形に着目すると、三角形の外角のきまりより
角A=52度-8度=44度
とわかります。
さらに、三角形ABCに着目すると、三角形の内角の和が180度であることより
●=(180度-52度-44度-8度)÷4=19度
もわかります。
最後に赤色に着色された三角形に着目します。
ア○=180度-52度-19度=109度
答え 109度
本問は、折り返しと角の問題の考え方が確認できる問題です。
折り返す前と折り返した後を1つの図に表し、「折り返す=線対称=合同」という知識を用いると、角の大きさを求めることができます。
今回は、2024年度に共学中の入試で出された「角の大きさ」がテーマの問題をご紹介しました。
角の5原則と折り返しの作図はどちらも大切な解法ツールなので、もし、正解できない問題があれば、類題などを用いておさらいをしましょう。