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第674回 共学中の入試問題 比と割合 6

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割合の練習問題 2024年06月08日18時00分

「第674回 共学中の入試問題 比と割合 6」

ここまで近年の共学中の入試で出された「比と割合」の問題を見てきました。

最後に「ニュートン算」について考えていきます。

 

1問目は基本レベルの大問形式の問題です。

 

【問題】ある工場であめの箱詰め作業をします。作業を始める前に空箱が何箱かあり、1時間ごとに空箱が80箱運ばれてきます。4人で作業すると20時間後に空箱はなくなり、6人で作業すると12時間後に空箱はなくなります。

(1)1時間あたり1人で何箱詰められますか。

(2)作業を始める前に空箱は何箱ありましたか。

(3)何人で作業すると5時間後に空箱はなくなりますか。

(中央大学附属中学校 2023年 問題5)

 

【考え方】

ニュートン算には、単位量に着目する考え方と全体量に着目する考え方があります。

ここでは、単位量に着目してみます。

単位量を利用するときは、次のような「水そう解法」で整理すると考えやすくなります。

作業を始める前にあった空箱の個数を時間(20時間、12時間)の最小公倍数の60□とします。

4人で作業をすると20時間で空箱がなくなるので、1時間に空箱が

60□÷20時間=3□

ずつ減り、6人で作業をすると12時間で空箱がなくなるので、1時間に空箱が

60□÷12時間=5□

ずつ減ります。

ですから、

6人-4人=2人

が1時間にする作業量は

5□-3□=2□

です。

2□÷2人=1□ … 1人が1時間にする作業量

4人が作業をすると1時間に

1□×4=4□

の空箱が減るはずですが、実際に減る空箱は3□です。

その理由は、1時間ごとに80箱の空箱が運ばれてくるからです。

4□-80箱=3□ → 1□=80箱

答え 80箱

 

(2)

60□=80箱×60=4800箱

答え 4800箱

 

(3)

条件を「水そう解法」で整理します。

4800箱÷5時間=960箱/時 … 1時間に960箱減る

960箱+80箱=1040箱 … 何人かが1時間にする作業量

1040箱÷80箱=13人

答え 13人

 

本問は、ニュートン算の基本が確認できる問題です。

全体の仕事量がわからない問題を単位量に着目して解くときは、全体の仕事量を時間の最小公倍数または1とおけることをチェックしましょう。

 

2問目も基本レベルの問題です。

 

【問題】はじめにある量の水が入っている水そうがあります。この水そうに毎秒6mLずつの水を入れながら、同じポンプを何台か使って排水します。ポンプを3台使用したときは35秒で水がなくなり、ポンプを5台使用したときは15秒で水がなくなります。ただし、どのポンプも1秒間で排水する水の量は等しいものとします。

(1)1台のポンプで1秒あたりに排水する水の量は何mLですか。

(2)ポンプを9台使用すると、何秒で水そうの水がなくなりますか。

(成蹊中学校 2024年 問題3)

 

【考え方】

前問では単位量に着目しましたので、今度は全体量に着目する解き方を利用してみます。

このとき、水そうの水がなくなるので、「排水量=はじめにあった水の量+注水量」という関係が成り立つことに注意します。

ポンプ1台が1秒間に排水する水の量を1として、条件を線分図で表します。

差に着目します。

(210mL-90mL)÷(105-75)=4mL … 1にあたる水の量(=ポンプ1台が1秒間に排水する水の量)

答え 4mL

 

(2)

4mL×5台×15秒-90mL=210mL … はじめに入っていた水の量

ポンプ9台を使用すると□秒で水がなくなるとします。

36×□mL=210mL+6×□mL

□=210mL÷(36mL-6mL)=7秒

答え 7秒

 

本問は、ニュートン算の基本が確認できる問題です。

 

では、3問目です。

 

【問題】あるワクチンの接種会場には3分間に10人の割合で接種希望者が来ます。接種担当の医師はA、B、Cの3人で、Aは2分間に3人の割合で、Bは3分間に4人の割合で接種を完了します。ある日の9時に、接種待ちの人がいない状態からAとBの2人で同時に接種を開始しました。10時30分には接種待ちの列が長くなったため、そこからCも加わり3人で接種したところ、11時30分に接種待ちの列はなくなりました。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)10時30分の接種待ちの人は何人でしたか。

(2)Cは1人あたり何秒の割合で接種を完了しますか。

(明治大学付属明治中学校 2023年 問題4)

 

【考え方】

(1)

10時30分-9時=1時間30分=90分間

この90分間の様子を、全体量に着目して整理します。

10人×90分/3分=300人 … 10時30分までに来た接種希望者

3人×90分/2分=135人 … 10時30分までにAが担当した人数

4人×90分/3分=120人 … 10時30分までにBが担当した人数

300人-(135人+120人)=45人

答え 45人

 

(2)

条件を「水そう解法」に整理すると、次のようになります。

11時30分-10時30分=1時間=60分間

45人÷60分間=0.75人 … 1分間に減る接種待ちの列

接種待ちの列がなくなっていくので、

AとBとCが1分間に担当する人数=1分間に来る接種希望者+1分間に減る接種待ちの列

という関係が成り立ちます。

10人÷3分間+0.75人=49/12人 … AとBとCが1分間に担当する人数

49/12人-(3人÷2分間+4人÷3分間)=1.25人 … Cが1分間に担当する人数

Cは1.25人を担当するのに60秒かかりますから、1人あたり

60秒÷1.25人=48秒

かかります。

答え 48秒

 

本問は、ニュートン算の考え方が確認できる問題です。

なお、解答例の(1)は接種開始から30分後の接種待ちの列の人数を問われていますので全体量に、(2)は1人あたりの時間を求めますので単位量に着目しましたが、次のように考えてもOKです。

 

今回は、2024年度と2023年度の共学中の入試で出された「ニュートン算」の問題をご紹介しました。

ニュートン算は、全体量と単位量のどちらに着目するかという方針の決定と、方針にそって条件を見やすく整理することの2点が重要です。

もし、1、2問目のような定番問題が正解できないようでしたら、この2点が実行できているかをまずはチェックしてみましょう。

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割合の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年06月08日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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