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第672回 共学中の入試問題 比と割合 4

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割合の練習問題 2024年05月25日18時00分

「第672回 共学中の入試問題 比と割合 4」

これまで、近年の共学中の入試問題で出された「比と割合」の問題について考えています。

前回は「食塩水の濃さ」の基本問題を見ました。

今回は、「食塩水の濃さ」の応用レベルの問題を中心に取り扱っていきます。

 

1問目は、2通りの混ぜ方をする問題です。

 

【問題】5%の食塩水と9%の食塩水を3:5の割合で混ぜて、新しい食塩水1000gを作ろうとしました。ところが、あやまって9%の食塩水を( )gこぼしてしまったため、できあがった食塩水の濃度は6%になりました。( )をうめなさい。

(青山学院横浜英和中学校 2024年 問題1-(3) 問題文一部変更)

 

【考え方】

同じ濃さの食塩水を2通りの混ぜる問題ですから、2つの天びん図(ダブル天びん)で整理することができます。

「予定」の天びん図より、5%の食塩水を

1000g×3/8=375g

と9%の食塩水を

1000g×5/8=625g

混ぜる予定であったことがわかります。

 

また、「実際」の天びん図より、5%の食塩水と9%の食塩水を3:1の割合で混ぜたこともわかります。

 

5%の食塩水はこぼしていませんから、実際は9%の食塩水を

375g×1/3=125g

混ぜています。

 

ですから、こぼした食塩水は

625g-125g=500g

です。

答え 500g

 

本問は、天びん図の使い方が確認できる問題です。

解答例では2つの天びん図を用いましたが、次のような面積図に整理することもできます。

 

2問目は、食塩水のはじめの濃さがわからない問題です。

 

【問題】濃度のわからない500gの食塩水があります。はじめに、この食塩水から100gを取り出し、代わりに100gの水を加えてよく混ぜました。次に、再び100gを取り出し、代わりに100gの水を加えてよく混ぜたところ、濃度が9.6%になりました、このとき、もとの食塩水の濃度は何%か求めなさい。

(東邦大学付属東邦中学校 2024年 問題2-(3))

 

【考え方】

条件を整理します。

取り出す食塩水と加える水の重さが同じですから、水を加えた後の食塩水の重さが500gとなることに注意します。

500g×0.096=48g … 最後の食塩水に含まれる食塩の重さ(=▲g)

48g÷400g×100=12% … 2回目に食塩水を取り出した後に残る食塩水の濃さ(=■%)

500g×0.12=60g … △g(=●g)

60g÷400g×100=15% … 1回目に食塩水を取り出した後に残る食塩水の濃さ(=□%)

答え 15%

 

本問は、流れ図の使い方が確認できる問題です。

食塩水を取り出しても濃さが変わらないことがポイントになっています。

 

なお、食塩水を取り出す前の食塩の重さと取り出した後に残る食塩の重さの比が

500g:400g=5:4

となることに着目すると、次のように考えることもできます。

□%×4/5×4/5=9.6%

□%=9.6%×5/4×5/4=15%

 

3問目は、「やりとり」の問題です。

 

【問題】Aの容器には8%の食塩水が200g、Bの容器には12%の食塩水が入っています。Aの半分の量をBに入れ、よくかき混ぜてからその半分をAに戻したところ、Aの食塩水は10%になりました。Bの容器に最初に入っていた食塩水は何gですか。

(青山学院中等部 2023年 問題7 問題文一部変更)

 

【考え方】

やりとりの様子を流れ図に整理します。

200g×0.08=16g … 容器Aのはじめの食塩の重さ

200g÷2=100g … 容器Aから容器Bに移す食塩水の重さ=容器Aに残る食塩水の重さ

16g÷2=8g … 移す食塩水に含まれる食塩の重さ=容器Aに残る食塩の重さ

 

整理しましたが、条件が不足しているため、このままでは食塩水の3公式も天びん図(面積図)も利用できません。

そこで、はじめに容器Bに入っていた食塩水の重さを100□と仮定して、流れ図の空欄をうめていきます。

100□×0.12=12□ … 容器Bのはじめの食塩の重さ

 

操作を終えたときの容器Aの食塩水の濃さが10%なので

(50□+150g)×0.1=6□+12g

5□+15g=6□+12g

1□=3g

とわかります。

 

よって、容器Bにはじめに入っていた食塩水の重さは

3g×100=300g

です。

答え 300g

 

本問は、流れ図の読み取り方が確認できる問題です。

混ぜる部分や分ける部分に着目しても解き進められないことから、容器Bに入っていたはじめの食塩水の重さを仮定しようと考えられることが大切なポイントです。

 

なお、本問は「食塩水を加えても混じり合わなければ…」と考える解き方もあります。

図の点線で囲まれた部分は、8%の食塩水150gと12%の食塩水□gを混ぜると10%の食塩水になることを表しています。

図より、□=150gとなりますから容器Bにはじめに入っていた食塩水の重さは

□g×2=150g×2=300g

とわかります。

 

今回は、2023年度と2024年度に共学中の入試で出された「食塩水の濃さ」の応用レベルの問題を中心にご紹介しました。

1問目は前回ご紹介した解法のおさらいともいえますので、もし、正解できなかったときは基本の解法の復習が必要です。

2問目は流れ図の応用問題、3問目はやりとりの応用問題です。

工夫のしかたも含め、解き方を確認しましょう。

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割合の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年05月25日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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