苦手の克服 相似1
「第300回 苦手の克服 相似1」
今回から、相似を中心とした、「辺の比と面積比」について、
苦手の克服を考えていこうと思います。
その1回目は、「相似」です。
相似の基本は
「ピラミッド型」
「砂時計形(チョウチョ型)」
「直角三角形型」 の3つですが、
それぞれが単独で苦手というケースは少ないようです。
「相似が2組ある問題」
「相似とそれ以外の融合問題」
「相似を完成させる問題」など、
いわゆる「相似の応用」を
安定して解くことができないことがお悩みに多くあります。
そんな問題のひとつを、早速見ていきたいと思います。
2012年9月16日実施 四谷大塚 第1回合不合判定テスト 算数[男子]より
大問4 右の図の四角形ABCDは長方形で、GはBDとCEの交点、HはBDとEFの交点です。これについて、次の問いに答えなさい。
(1)EG:GCを求めなさい。
(2)三角形EHGの面積は何cm2ですか。
「ダブル・チョウチョ(砂時計型相似が2組重なった問題)」の典型問題です。
「相似が2組ある問題」を苦手でなくすために、
一番始めに取り組むことは、
「小問ごとに図を書く」
ことです。
テスト中は時間がないかも知れませんが、
家庭学習をする際には、
このことをぜひ実践していってください。
「小問ごとに図を書く」ということは、次のようなことです。
上記の問題を用いて、具体的に説明していきます。
「1.問題文中にある、元となる図形を書く」
問題文を前から順に見ていくと、
一番はじめに「右の図の四角形ABCDは長方形で」とあります。
この長方形ABCDが「元となる図形」です。
「2.線を加えなくてよい点を書き込む」
長方形の4つの頂点や、点E、点Fは
すぐに書き加えることができる点です。
このような点を「元となる図形」に書き加えます。
「3.小問に必要な点を作図する」
(1)の問題文を見ると「EG:GC」がでてきますが、
まだ書いた図の中に「点G」がありません。
この「点G」を書き加えることが、
「小問に必要な点を作図する」ということです。
このようにして書き上げた図を見ると、
「EG:GCを求めるのだから、三角形EGDと三角形CGBの『チョウチョ(砂時計)』を使えばOKだ」
とすぐにわかります。
答え 4:5
(2)も同様にして解いていきます。
(2)の問題文を見ると、
まだ書き込んでいない「点H」が必要だとわかります。
テスト中は時間に余裕がありませんから、
(1)で書いた図の中に書き加えることになるのでしょうが、
家庭学習では、もう一度、はじめから書くようにします。
(1)と同じような図形になりますから、
EH:HF=2:1を求めることが可能だと気づけます。
これで(2)を解くヒントが1つ増えました。
そこで、(1)(2)の図を1つにまとめると次のようになります。
ここから先は「相似」ではなく、「求積テクニック」の受け持ちです。
図から、三角形EHGの面積を求める方法は大きく3つあります。
最速手順から順にご紹介しますので、
どの「求積テクニック」まで習得できているかチェックし、
最速でない場合は、
1つ上の「求積テクニック」の習得を目指しましょう。
「隣辺比」が最速の解法ですが、
BH:HG:GDを求める問題もありますから、
「ダブル・チョウチョ」も重要です。
この問題に「魔女の帽子」というニックネームをつけておき、
「ダブル・チョウチョ+隣辺比」という流れを覚えておくとよさそうです。
また、この問題の変形として「四角形HFCGの面積」という問題もありますので、
「魔女の帽子」はぜひ克服したい問題のひとつです。
さて、今回は、
「小問ごとに図を書く」ことによって、
「問題を解くために必要な図形を見やすくなる・見つけやすくなる」
というテクニックをご紹介しました。
次回も、
「相似が2組ある問題」「相似とそれ以外の融合問題」「相似を完成させる問題」など、
「相似の応用」を安定して解けるようになる方法を考えていこうと思います。