第668回 共学中の入試問題 数と計算 5
「第668回 共学中の入試問題 数と計算 5」
これまで近年の共学中の入試問題でだされた「数と計算」の問題について見てきましたが、今回はその最終回です。
テーマは前回に引き続き「数の規則性」です。
では、1問目です。
【問題】ある整数が偶数であればその数を2で割り、奇数であればその数を3倍して1を加えるという操作を繰り返し行い、1になれば操作を終了します。例えば、10から始めると、10→5→16→8→4→2→1となり、6回の操作で1になります。
(1)12から始めると、何回の操作で1になりますか。
(2)128から始めると128→64→32→16→8→4→2→1となり、7回の操作で1になります。このように、7回の操作で1になる整数の中で128以外のものをすべて答えなさい。
(芝浦工業大学柏中学校 2024年 問題3)
【考え方】
(1)
12は偶数なので2で割って6になります。 … 1回目
6は偶数なので2で割って3になります。 … 2回目
3は奇数なので3倍して1を足すと10になります。 … 3回目
10は問題文中の例から、6回の操作で1になります。
よって、12は
3回+6回=9回
の操作で1になります。
答え 9回
(2)
1から遡って調べます。
答え 3、20、21
本問は、数の操作に関する問題の基本が確認できる問題です。
問題のルールに従うこと、順序よく調べられることが求められています。
2問目も1問目とよく似た問題ですが、作業量がやや多くなっています。
【問題】2以上の整数Nに対して、以下の操作を行います。
(操作)Nが7の倍数のときは、7で割り、7の倍数でないときは1を足す。
この操作を1になるまで続けます。例えば、Nが24のときは、24→25→26→27→28→4→5→6→7→1となります。また、1になるまでに行った操作の回数を「N」と表すことにします。この例は、操作を9回行っているので、「24」=9となります。
(1)「2024」はいくつですか。
(2)「N」=6となる2以上の整数Nは何個ありますか。
(3)「2」+「3」+「4」+「5」+…+「49」はいくつですか。
(栄東中学校 2024年 問題5)
【考え方】
(1)
2024÷7=289あまり1
なので、はじめに「1を足す」という操作を6回行います。
2024+1×6=2030
2030は7の倍数ですから、7で割ります。
2030÷7=290
290÷7=41あまり3
なので、「1を足す」という操作を4回続けて行います。
290+1×4=294
294は7の倍数なので、7で割ります。
294÷7=42
42も7の倍数なので、7で割ります。
42÷7=6
以下、6→7→1となります。
よって、
「2024」=6+1+4+1+1+2=15
です。
答え 15
(2)
少し調べてみます。
「N」=1のとき1個、「N」=2のとき2個、「N」=3のとき4個、…のように、操作が1回増えると、整数Nの個数は2倍になっています。
ですから、「N」=6となる整数の個数は
1個×2×2×2×2×2=32個
です。
答え 32個
(3)
これも調べてみましょう。
N=2のとき
2÷7=0あまり2 ですから、「1を足す」を5回行うと7になります。
「2」=5+1=6
N=3のとき
3÷7=0あまり3 ですから、「1を足す」を4回行うと7になります。
「3」=4+1=5
・
・
・
N=6のとき
6÷7=0あまり6 ですから、「1を足す」を1回行うと7になります。
「6」=1+1=2
N=7のとき
「7」=1です。
N=8のとき
8÷7=1あまり1 ですから、「1を足す」を6回行うと14になり、次に「7で割る」と2になります。
「8」=6+1+「2」=6+1+6=13
N=9のとき
9÷7=1あまり2 ですから、「1を足す」を5回行うと14になり、次に「7で割る」と2になります。
「9」=5+1+「2」=12
・
・
・
N=13のとき
13÷7=1あまり6 ですから、「1を足す」を1回行うと14になり、次に「7で割る」と2になります。
「13」=1+1+「2」=8
N=14のとき
14÷7=2 ですから、「14」=1+「2」=7です。
N=15のとき
15÷7=2あまり1 ですから、「1を足す」を6回行うと21になり、次に「7で割る」と3になります。
「15」=6+1+「3」=12
これらのことから、次のように整理できます。
よって、
「2」+「3」+「4」+「5」+…+「49」
=6+5+…+1+(7+6+…+1)×6+(「2」+「3」+…+「7」)×7
=21+28×6+(6+5+…+1)×7
=21+168+147
=336
です。
答え 336
本問は、規則性の見つけ方が確認できる問題です。
規則が見つかるまで調べ、その結果を表などにまとめて見やすくすると、そのあとの方針を立てやすくなります。
今回は、2024年度の共学中の入試で出された「数の規則性」の問題をご紹介しました。
1問目は丁寧な作業、2問目はそれに加えて調べたことを整理して規則を見つけるという問題でした。
1問目の(1)から2問目の(3)まで、階段状に難度が上がっています。
「数の規則性」の問題は入試や模擬テストでもよく出されますので、もし、つまずいた小問があれば、その難度に応じた類題で演習をして弱点をなくすようにしましょう。